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06年4月5日
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06年3月議会から(その4) 一般質問に対する市側の答えetc.
 春の到来を感じさせるこのごろですが、3月末以来、うららかな一日だなと思えば雪が舞うといった不安定な天候が続いています。ご自愛ください。区の総会をはじめ、各種団体の総会シーズンです。3月議会で決まった新年度予算の良い面、課題を残している面を中心に挨拶をさせていただいています。
 今日5日は小学校・中学校の入学式でした。初々しい姿に感動します。子どもたちの安全と夢と希望ある将来を願わずにはいられません。

 さて、このページでは、3月8日に行った一般質問のポイントと市の答弁、ごみ焼却施設建設をめぐる課題、大規模・大型事業の見直しの問題についてまとめました。ご意見をお待ちしています。

3月議会では5点にわたって提案を含め質問。答弁を含めポイントを紹介
 超大型店イオンの進出を「ノー」としたことを踏まえ、これからのまちづくりの視点と方向性についてをメインに、人権問題、指定管理者問題、平和の問題などについて市の考えをただしました。(質問全文はこちら

1.地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウンを提案

 今日、コンパクト・シティがまちづくりのキーワードだといわれます。大型店の郊外進出の規制を緩和するなど郊外開発を進めてきた結果、中心市街地の空洞化、衰退が止まらず深刻な問題となっていることから、郊外開発にはブレーキをかけ、中心部再生にアクセルを踏む、中心市街地に都市機能を集積させ「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり」をめざすとするものです。国のまちづくり3法の見直しはこうした視点から行われるもので、長野市においても、イオンの進出を断念した背景の一つになっており、第4次総合計画の策定も「コンパクト・シティ」論を根底においています。

私は、国の「郊外から中心市街地へ」といった転換を後追いするだけでは、地方都市である長野市の未来図を作ることはできない、合併して広域となった長野市のまちづくりを考えるとき、国の方針転換を超える発想の転換、もう一つのまちづくりの視点を持つ必要があるのではないかと想いから、地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウン構想を提案しました。それは、基本的に生活の圏域となる市内30地区の地域コミュニティに根ざした「コンパクトなタウン」の形成に重きをおく視点です。中心市街地は重要な「長野市の顔」ですが、中心地だけでなく30のそれぞれの特色ある「顔」を持つ長野市構想です。人口の減少、少子高齢社会の進展を見据えたとき、一人ひとりの市民が自らの住まいを拠点として、あるいは最寄の駅、スーパーや商店、支所や公民館などの公共施設を核として、車椅子でも杖をついてでも、日常生活に必要な衣・食をまかない、また安らぎを享受することのできるまちづくりです。

 このことを基本に据え、まちづくりを進めるために市民参加によるワークショップの活用、庁内横断かつ市民参加による「コンパクト・タウン・プロジェクト」の発足、歩いて暮らせるまちづくりの鍵となる「地域商店街の再生プロジェクト」の発足などを提案しました。

 市長は、「コンパクト・シティ、コンパクト・タウン、あるいは多軸都市と言葉はいろいろあるが、生活圏域を中心とするまちづくりという意味では『めざすところは一緒』、一番難しいのは地域商店街の再生にある」と述べ、「市全体はもちろんのことだが、地域、地区の個性や優れた面を存分に発揮させた計画作りを進めたい」としました。

 その上で、私が提案した「地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウン」構想は、「住民自治協議会が策定する『地区まちづくり計画』であり、また都市計画マスタープランで提案している地域まちづくり計画に準じた計画でもあり、『地区まちづくり計画』に活かされることを期待する」とし、ワークショップの活用や「コンパクト・タウン・プロジェクト」は、都市内分権の具体化に際しこれから設置していく「住民自治協議会」のマニュアルに提案していきたい、としました。

 また、「歩いて暮らせるまちづくり」「地域商店街の再生」は大変重要であるとしたものの、まちづくり・まちおこしの視点から、行政、市民、商店街、個人店主が一体となってプランを作っていくために提案した「地域商店街再生プロジェクト」については、行政ができる範囲で支援していくことは大切だが、「住民自治協議会の中で地域の特性に応じ研究してもらうことも一つの方策」とするにとどまりました。

 都市内分権、住民自治協議会マニュアルについての質問と答弁は3月23日付けのページを参照してください。

2.部落差別撤廃を柱とした人権施策の拡充について質問
 日本社会固有の差別である部落差別は、いまだに解消にしていません。市は「部落解放都市宣言」を行い「人権条例」を定めてきていますが、宣言や条例の制定の原点に立ち返り、部落差別撤廃を柱とする人権施策の拡充が必要であると主張しました。

 市は「部落差別は依然として解消されていないという認識に立ち、同和問題を重要な柱に人権問題を総合的に考える教育・啓発の充実に取り組んできており…より力を注ぎたい」と答弁。さらに「特別措置法」が失効した現在は、「人権教育及び人権啓発の促進に関する法律」ならびに「同基本計画」に基づいた人権同和教育・啓発の推進が求められているとし、「地区人権同和教育促進協議会など長野市人権同和教育を担う市民の育成、質の高い教育・啓発のあり方などが大きな課題」であるとした。

 また、人権専門部署の一本化を提案しました。これに対しては、「人権同和対策課と人権同和教育課の統合について協議を重ねてきたが方向性を見出すまでにはいたらず、今後、さまざまな人権問題を総合的に取り組む体制作りの可能性について検討していきたい」とするにとどまりました。

 さらに、今後の人権教育・啓発にあたり、差別されている当事者の痛み、悲しみ、憤りを原点にした取り組みを重視すべきであるとの主張に対しては、「差別の現実に学ぶ」ことは人権同和教育の大切な学習方法であるとの認識を示し、「足を踏まれた当人が別の場所で誰かの足を踏んでいないかを自問自答する発想を持つ」(私の質問)ことこそが一人ひとりに育みたい人権感覚であり、こうした観点から「人権同和教育を今後も推進していきたい」としました。

3.体育施設のカラ予約の改善を
 体育施設の利用にあたりインターネット予約が導入されて以降、地域の皆さんから「カラ予約が多く、公平に施設が利用できない」との声を受け、カラ予約を解消するために実態把握をした上で、公平な利用となるよう改善策を講じるべきであると質問しました。教育委員会体育課では「抽選にもれ以前のように気軽に施設が利用できないとの意見や予約があるにもかかわらず誰も利用していないという実態は認識している」「システム導入後間もないため、不要となった予約の取り消しを忘れたり、または故意に取り消ししないなどのモラル・マナーが十分に浸透していないことが原因」との認識を示した上で、「カラ予約や無届キャンセルの発生状況を見ながら、『施設利用規約』(最大4ヶ月間の利用停止のペナルティを定めている)により、悪質な場合にはペナルティを実施するとともに、有効で公平な施設利用に努めたい」と答弁しました。私は再質問で「ペナルティを解決策とする前に十分な実態調査をし、丁寧で適切な指導を行うべきである」と注文しました。

 また、社会体育館利用について無料を維持することを強く求めました。今、市では財政構造改革プログラムの中で「施設利用の受益者負担の適正化を図るため」とし有料化を検討しているからです。市民の健康増進、スポーツ振興を図るためにも「無料」を維持することが重要です。また施設の維持管理で市民協力を仰ぐ体育館愛護活動などを広げることで、施設の維持管理、モラル・マナーの向上を図ることが必要だと主張しました。

 財政構造改革を打ち出した市では、公共施設の利用について減価償却費を含めた維持管理費用を広く市民に求めていくことを基本にすえています。これから検討が具体化していくと思われます。引き続き「無料の維持」を求めていきたいと思います。


4.安定雇用を確保し、市民サービスの向上につながる指定管理者制度に

 4月から実施される指定管理者制度についても質問しました。指定管理者制度の導入によって経費を2億円削減できるとしていますが、この削減のしわ寄せがパート労働者などの不安定雇用を助長することにならないのか、本当に市民サービスの向上につながるのかを正したかったからです。答弁は「施設で勤務する職員の賃金、労働条件などの関係法令を遵守すべきことは募集要項に規定しており、事業者と交わす基本協定書においても、関係法令を遵守すべきことを明記」していくので「大丈夫」とするものです。「法律を守るといっているから大丈夫」という発想そのものが「お役所答弁」です。法律・法令を守らず、「儲け主義」で市民や従業員の安全を二の次にしている民間企業が続出しているからこそ「法令遵守」が声高に叫ばれているわけで、せめて「あってはならない法令違反が懸念される社会状況もあり、指定管理者に対し日常的に監視・調査を行い、市民サービスの維持向上に厳格に対応していきたい」とする姿勢を強く示してもらいたかったと思います。

 とにかく171の公共施設で指定管理者制度が動き出しました。個々の施設の運営状況を独自に調査・把握し、安心して働ける労働環境・雇用環境の確保、市民サービス向上に向けたチェックをしていくつもりです。指定管理者による施設の管理運営やサービスに関する意見、情報をお寄せいただければと思います。

5.平和都市宣言の意義と戦時計画となる国民保護計画の作成について
 既に報告していますので、略します。こちらのページを参照ください。

大豆島で進むごみ焼却施設建設をめぐる課題

 3月議会に「大豆島ごみ問題を考える会」から「ごみ焼却施設建設候補地の見直しを求める陳情」が提出されました。長野市議会では「陳情書」は参考資料として全議員に配布されるのみで、「請願書」(請願は委員会に付託され議決の対象となる)のように議会審議に対する拘束力をもっていません。市民の声として議員が受け止め、それぞれの判断で問題提起することになります。

 「陳情」は4つのことを求めています。一つは40年以上にわたりごみ焼却施設を受け入れてきた大豆島に、これ以上処理施設を集中させないこと。二つは建設候補地検討委員会が説明責任を果たしておらず、大豆島地区に決定した経過に納得できないこと。三つは焼却炉に付属して建設される灰溶融炉は、全国でも爆発事故が発生、いまだ危険なため、住宅地に建設しないこと。四つはH15年に廃プラスチック処理施設の建設受け入れに伴い大豆島区長会が提出した「今後、新たなごみ処理施設の建設は絶対行わないこと」を求めた要請書と1100人の賛同区民署名を尊重すること、です。

 そもそも、新しいごみ焼却施設の建設は、長野市など11市町村でつくる長野広域連合が計画するもので、まず長野市に焼却能力450トン/日のものを、2基目を千曲市に100トン/日のものを建設することになっています。長野市の施設には焼却灰を高温で溶かす「灰溶融炉」も建設されることになっています。この決定を受け、市では「市ごみ焼却施設建設地検討委員会」を発足させ、委員会では2ha以上の空き地を現況の土地利用や交通状況、環境への影響などを評価し、最終的に松岡(大豆島地区・サンマリーンながの一帯)と川合新田(芹田地区)を候補地として答申。市は答申をもとに庁内で検討の結果、昨年11月に松岡を候補地として一本化決定しました。

 検討委員会では、学識経験者(=信大工学部助教授)から市域を500メートル四方で細分化し適地をより客観的に検討する手法などが提案されましたが、採用されないまま推移した他、検討委員会として、「中間報告会」など市民に検討状況を説明し市民の声を反映させるなどの取り組みをしないまま候補地を答申しました。ごみ焼却施設というすべての市民に関わる施設の建設にあたり、市民参加の道を自ら閉ざしてしまう課題を残したといえます。建設地の住民合意を得るためには、検討の過程においても市民に開かれた審議が必要です。そしてより客観的で多角的な検討がされなければなりません。確かに検討委員会では客観的な評価項目を設定し検討はされてきました。しかし、本当に十分な審議がされたかというと、学識経験者と公募委員の2人の委員が途中で辞任してしまった事実からも疑問となります。また、委員会での検討そのものを再検証することもされていません。

 今年の1月から2月にかけて大豆島地区で計11回の住民説明会が開かれました。延べ500人の区民が参加されたそうです。説明会では選定経過への疑問や批判、環境悪化を懸念する声が相次ぎ、市環境部長は「住民合意を得ない限り大豆島地区には建設しない」と述べたと報道されています。

 現在の市清掃センターが建設から20年以上経過し、耐用年数を超えていることを考えると、新しいごみ焼却施設の建設は不可欠です。一方、大豆島・松岡地区は20年前とは一変し住宅密集地となっており、環境の悪化を懸念する意見も理解できます。

 私は以前に本会議で、大型焼却施設を一極集中で建設するのではなく、ごみ処理の効率的な地域循環を図るために焼却施設を地域に分散させるべきとの提案を行いましたが、「広域連合での検討結果と異なるため困難」との答弁に終わり、今日を迎えています。

 ごみ焼却施設の建設には地域住民の理解と合意が鍵となります。同時に市民一人ひとりにとって他人事であってはなりません。また、地域住民への説明と合意形成は行政の責任だからとして、行政にお任せとなってもいけないと思います。

 「だから、何ができるのか」…私自身、率直に言って「壁」を感じています。検討委員会は何回か傍聴しましたが、この検討経過に納得できていないからです。昨年11月にごみ焼却施設建設市民検討会が開かれ、私も参加しました。検討選定経過に対する疑問や批判、灰溶融炉の危険性が指摘されていました。私なりに検討経過を再検証してみたいと思います。その上で「何ができるのか」…答えを出したいと思います。

財政が厳しいのであれば、必要度を吟味し、大規模・大型事業の見直しを

 前号で長野駅前開発が動き出す状況にあることを報告しましたが、投資額は数十億円の大規模なものになると思われます。既に旧そごう跡地を対象とする銀座A−1地区や、長野駅前A−1地区など市内6箇所で進む市街地再開発事業(内、事業完了は3地区)では総事業費で318億円にのぼる規模となっています。もっとも国の補助金等がありますから、市費の投入は約3分の2で、200億円を上回ります。

 現在進行形で進む大規模事業をいくつか例示すると(総事業費ベース)

    *北部スポーツ・リクリエーションパーク建設費に22億2千万円
    *市立高校建設費(皐月高校の改革)には約50億円
    *篠ノ井中央地区公園(6ha)に43億円
    *若穂中央地区公園(5ha)に16億2千万円
    *豊野駅周辺整備(駅前広場・ロータリーなど)に3億9千5百万円
といった具合です。私が所属する建設企業委員会では、道路の維持建設の他、都市公園の整備も審議の対象となっています。地区公園として整備が進められる上記2公園について、「地域住民の要望によるものと思うが、防災や緑化といった本来の都市公園整備の目的を損なわない範囲で、厳しい財政状況を見据え、例えば一律10%の総事業費削減の見直しなどを図る必要がある。市民一人当たりの公園面積は7.7uで県の10uを下回っており、大型公園の整備より街区公園など生活に密着した公園整備を重点にすべき」と主張しました。市側は「指摘はその通り、随時見直しを図っている」と答弁はしましたが、もっと大胆な見直しを図る必要があると思います。市では市民にとっての必要度・満足度に照らして事業の見直しを図ることを目的に行政評価制度を導入していますが、大規模事業に関しては見直しが十分に行われているとは思えません。具体例としてあげた事業そのものを否定するつもりはありませんし、上記2公園の用地取得費を計上した予算案には賛成しましたが、今後も大型事業の見直しを求めていきたいと考えます。限られた財政の中で何を優先するのか。補助金の廃止・縮減や受益者負担の増など、市民の生活を直撃しかねない事業の見直しの前に、手をつけるべきところがあると思います。


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