超大型店イオンの進出を「ノー」としたことを踏まえ、これからのまちづくりの視点と方向性についてをメインに、人権問題、指定管理者問題、平和の問題などについて市の考えをただしました。(質問全文はこちら)
1.地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウンを提案
今日、コンパクト・シティがまちづくりのキーワードだといわれます。大型店の郊外進出の規制を緩和するなど郊外開発を進めてきた結果、中心市街地の空洞化、衰退が止まらず深刻な問題となっていることから、郊外開発にはブレーキをかけ、中心部再生にアクセルを踏む、中心市街地に都市機能を集積させ「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり」をめざすとするものです。国のまちづくり3法の見直しはこうした視点から行われるもので、長野市においても、イオンの進出を断念した背景の一つになっており、第4次総合計画の策定も「コンパクト・シティ」論を根底においています。
私は、国の「郊外から中心市街地へ」といった転換を後追いするだけでは、地方都市である長野市の未来図を作ることはできない、合併して広域となった長野市のまちづくりを考えるとき、国の方針転換を超える発想の転換、もう一つのまちづくりの視点を持つ必要があるのではないかと想いから、地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウン構想を提案しました。それは、基本的に生活の圏域となる市内30地区の地域コミュニティに根ざした「コンパクトなタウン」の形成に重きをおく視点です。中心市街地は重要な「長野市の顔」ですが、中心地だけでなく30のそれぞれの特色ある「顔」を持つ長野市構想です。人口の減少、少子高齢社会の進展を見据えたとき、一人ひとりの市民が自らの住まいを拠点として、あるいは最寄の駅、スーパーや商店、支所や公民館などの公共施設を核として、車椅子でも杖をついてでも、日常生活に必要な衣・食をまかない、また安らぎを享受することのできるまちづくりです。
このことを基本に据え、まちづくりを進めるために市民参加によるワークショップの活用、庁内横断かつ市民参加による「コンパクト・タウン・プロジェクト」の発足、歩いて暮らせるまちづくりの鍵となる「地域商店街の再生プロジェクト」の発足などを提案しました。
市長は、「コンパクト・シティ、コンパクト・タウン、あるいは多軸都市と言葉はいろいろあるが、生活圏域を中心とするまちづくりという意味では『めざすところは一緒』、一番難しいのは地域商店街の再生にある」と述べ、「市全体はもちろんのことだが、地域、地区の個性や優れた面を存分に発揮させた計画作りを進めたい」としました。
その上で、私が提案した「地域コミュニティ30の顔を持つコンパクト・タウン」構想は、「住民自治協議会が策定する『地区まちづくり計画』であり、また都市計画マスタープランで提案している地域まちづくり計画に準じた計画でもあり、『地区まちづくり計画』に活かされることを期待する」とし、ワークショップの活用や「コンパクト・タウン・プロジェクト」は、都市内分権の具体化に際しこれから設置していく「住民自治協議会」のマニュアルに提案していきたい、としました。
また、「歩いて暮らせるまちづくり」「地域商店街の再生」は大変重要であるとしたものの、まちづくり・まちおこしの視点から、行政、市民、商店街、個人店主が一体となってプランを作っていくために提案した「地域商店街再生プロジェクト」については、行政ができる範囲で支援していくことは大切だが、「住民自治協議会の中で地域の特性に応じ研究してもらうことも一つの方策」とするにとどまりました。
都市内分権、住民自治協議会マニュアルについての質問と答弁は3月23日付けのページを参照してください。
2.部落差別撤廃を柱とした人権施策の拡充について質問
日本社会固有の差別である部落差別は、いまだに解消にしていません。市は「部落解放都市宣言」を行い「人権条例」を定めてきていますが、宣言や条例の制定の原点に立ち返り、部落差別撤廃を柱とする人権施策の拡充が必要であると主張しました。
市は「部落差別は依然として解消されていないという認識に立ち、同和問題を重要な柱に人権問題を総合的に考える教育・啓発の充実に取り組んできており…より力を注ぎたい」と答弁。さらに「特別措置法」が失効した現在は、「人権教育及び人権啓発の促進に関する法律」ならびに「同基本計画」に基づいた人権同和教育・啓発の推進が求められているとし、「地区人権同和教育促進協議会など長野市人権同和教育を担う市民の育成、質の高い教育・啓発のあり方などが大きな課題」であるとした。
また、人権専門部署の一本化を提案しました。これに対しては、「人権同和対策課と人権同和教育課の統合について協議を重ねてきたが方向性を見出すまでにはいたらず、今後、さまざまな人権問題を総合的に取り組む体制作りの可能性について検討していきたい」とするにとどまりました。
さらに、今後の人権教育・啓発にあたり、差別されている当事者の痛み、悲しみ、憤りを原点にした取り組みを重視すべきであるとの主張に対しては、「差別の現実に学ぶ」ことは人権同和教育の大切な学習方法であるとの認識を示し、「足を踏まれた当人が別の場所で誰かの足を踏んでいないかを自問自答する発想を持つ」(私の質問)ことこそが一人ひとりに育みたい人権感覚であり、こうした観点から「人権同和教育を今後も推進していきたい」としました。
3.体育施設のカラ予約の改善を
体育施設の利用にあたりインターネット予約が導入されて以降、地域の皆さんから「カラ予約が多く、公平に施設が利用できない」との声を受け、カラ予約を解消するために実態把握をした上で、公平な利用となるよう改善策を講じるべきであると質問しました。教育委員会体育課では「抽選にもれ以前のように気軽に施設が利用できないとの意見や予約があるにもかかわらず誰も利用していないという実態は認識している」「システム導入後間もないため、不要となった予約の取り消しを忘れたり、または故意に取り消ししないなどのモラル・マナーが十分に浸透していないことが原因」との認識を示した上で、「カラ予約や無届キャンセルの発生状況を見ながら、『施設利用規約』(最大4ヶ月間の利用停止のペナルティを定めている)により、悪質な場合にはペナルティを実施するとともに、有効で公平な施設利用に努めたい」と答弁しました。私は再質問で「ペナルティを解決策とする前に十分な実態調査をし、丁寧で適切な指導を行うべきである」と注文しました。
また、社会体育館利用について無料を維持することを強く求めました。今、市では財政構造改革プログラムの中で「施設利用の受益者負担の適正化を図るため」とし有料化を検討しているからです。市民の健康増進、スポーツ振興を図るためにも「無料」を維持することが重要です。また施設の維持管理で市民協力を仰ぐ体育館愛護活動などを広げることで、施設の維持管理、モラル・マナーの向上を図ることが必要だと主張しました。
財政構造改革を打ち出した市では、公共施設の利用について減価償却費を含めた維持管理費用を広く市民に求めていくことを基本にすえています。これから検討が具体化していくと思われます。引き続き「無料の維持」を求めていきたいと思います。
4.安定雇用を確保し、市民サービスの向上につながる指定管理者制度に
4月から実施される指定管理者制度についても質問しました。指定管理者制度の導入によって経費を2億円削減できるとしていますが、この削減のしわ寄せがパート労働者などの不安定雇用を助長することにならないのか、本当に市民サービスの向上につながるのかを正したかったからです。答弁は「施設で勤務する職員の賃金、労働条件などの関係法令を遵守すべきことは募集要項に規定しており、事業者と交わす基本協定書においても、関係法令を遵守すべきことを明記」していくので「大丈夫」とするものです。「法律を守るといっているから大丈夫」という発想そのものが「お役所答弁」です。法律・法令を守らず、「儲け主義」で市民や従業員の安全を二の次にしている民間企業が続出しているからこそ「法令遵守」が声高に叫ばれているわけで、せめて「あってはならない法令違反が懸念される社会状況もあり、指定管理者に対し日常的に監視・調査を行い、市民サービスの維持向上に厳格に対応していきたい」とする姿勢を強く示してもらいたかったと思います。
とにかく171の公共施設で指定管理者制度が動き出しました。個々の施設の運営状況を独自に調査・把握し、安心して働ける労働環境・雇用環境の確保、市民サービス向上に向けたチェックをしていくつもりです。指定管理者による施設の管理運営やサービスに関する意見、情報をお寄せいただければと思います。
5.平和都市宣言の意義と戦時計画となる国民保護計画の作成について
既に報告していますので、略します。こちらのページを参照ください。
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