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06年3月23日
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06年3月議会から(その2) 1,322億2,000万円の予算案、暮らしへの影響は?etc.

 3月議会は明日24日で閉会となります。終わりに近づいてからの議会報告ですが、この議会での焦点と課題を順不同で整理してみました。
 内容は、
防犯条例案のその後/予算案・暮らしへの影響/イオン進出に「ノー」の後の課題/都市内分権・住民自治協議会マニュアルへの疑問/木造住宅耐震診断/銀座D-1駐車場の取得などの問題です。

●異論ありとしてきた「防犯条例」は総務委員会で賛成多数で可決(3月15日)
 総務委員会で「長野市防犯まちづくり推進条例」に反対したのは、丸山かおり市議と宮崎利幸市議の2人だけで9対2の賛成多数で可決なってしまいました。また、国民保護計画を策定するための国民保護協議会設置条例等も賛成多数で可決しました。明日の本会議、条例案には反対で臨みます。

1,322億2,000万円の予算案、暮らしへの影響は?
■予算案のポイント
 H18年度の予算案のポイントは、市の提案によれば三つあります。一つは「選択と集中」による施策の展開で7つの重点プランに沿った施策を展開することを基本に、緊急度や優先度によって施策を厳選したこと、二つは財政健全化の推進で、これから本格化する「市立高校の建設」や「ごみ焼却場の建設」などの大規模事業に備え、市の貯金である財政調整基金等からの取り崩しを前年比で▲20億円の40億円に抑制するなど財政のスリム化を図ったこと。三つは「持続可能な地域社会の実現」を掲げ、「財政構造改革プログラム」による「工程表」を策定し、行政の役割と受益者負担のあり方を見直すこと。

■子育て支援や雇用に重点、でも目玉がなく無難な予算
 総額1,322億2千万円となる予算案は、市税や地方交付税の減少などで厳しい財政運営が見込まれる中、子育て支援や雇用対策、農業や観光の振興などに重点的に配分する内容となっています。歳出では民生費が5%(約15億円)の増の他、農林業費が8.3%(約3億円)の増。一方で公債費(借金の返済分)は5%(約11億8千万)の減、土木費や商工費も減りました。目玉はないものの暮らしのセーフティネットに堅実で無難な予算配分と言えます。

 主な新規拡大事業:柳町保育園に休日保育を導入=1369万、病後児保育(保育所に通所中の乳幼児で病気の回復期で安静が必要な場合に医療機関に一時預けられる制度、子育てと仕事の両立を図るもの)に316万、市内17箇所の児童クラブの閉館時間を午後5時半から6時に延長、フリーターやニートに対する就業体験支援に540万、児童手当の支給を小学校6年生まで拡大し所得制限を緩和する事業に6億3600万、障害者の就労支援に518万、強度行動障害児をショートスティ施設に預けられる事業に258万、裾花川や浅川など県管理9河川の洪水ハザードマップの作成に1480万、秋にオープンする生涯学習センターの管理運営事業として4690万、学校ネットコミュニティの促進(子どもの安全ネットワークを含めたセンターサーバーの更新)で2億3330万、35人学級を小学6年まで拡大する事業として1925万、1200万観光交流推進に1900万、さらに公共交通活性化市民シンポジウム開催事業として120万などなどです。
■市民負担の増も、納得のできる負担増でなければ!
 しかし、一方で市民生活に直接関わる値上げ案や補助金の見直しが含まれています。一つは国民健康保険料の改定です。医療分は据え置かれるものの、介護分が値上げとなり、一人当り平均保険料年額は86890円で1366円の増、率で1.6%のアップとなります。二つは介護保険料(=第1被保険者)です。現在の保険料5段階は6段階となりますが、市民税本人非課税で世帯課税の人で(=現在は3段階、新しい段階では4段階)、月額800円アップの3890円となります。介護給付費準備基金から2億1千万を取り崩して激変緩和を図ったものの、負担はズシリと重くなります。いずれも全体給付費が増加する中で、国の負担は50%で変わりがないため、どうしても保険料に跳ね返ってこざるを得ない側面があります。国の制度の在り方の抜本的な見直しがまず必要だと考えます。三つは下水道使用料の値上げ、平均8%の定額改定です。一般的な家庭では20?の使用で1ヶ月270円の増の約3370円位になるとのこと。市ではこれまで全戸水洗化をめざし、一般会計からの繰入金で下水道事業を進めてきました。今後、一般会計からの繰入金なしで独立採算となる経営をめざす必要があるとの認識から、今回の値上げ案となっているようです。

 また、市民健康診査が無料から1000円に、在宅福祉介護料や敬老祝い金の見直し・減額が図られることに。さらには斎場使用料が25%アップ、指定管理者制度の導入に伴い働く女性の家や勤労青少年ホーム、茶臼山動物園の使用料・入園料がアップします。

 いずれも、国の制度による事情、受益者負担の適正度合いの事情があるものの、「はい、わかりました」と即応できる心境にはありません。市民にとって負担が重くなることがやむをえないとするならば、負担に見合ったサービスの向上が図られなければなりません。

「イオン」進出に「ノー」、その後の課題は…優良農地守る「農業公社」が具体化
 超大型店「イオン」等の出店に「ノー」の答えを出した長野市。私自身は進出に反対してきた一人ですが、近隣市町村を含め広域での影響の大きさ、既存商店街への打撃、農業振興の観点から、また国におけるまちづくり3法の見直しなどから「出るべくして出た結論」と受け止めています。問題はこれからです。市長はこの議会で「計画地は20ha以上の集団性を持った市内でも有数の優良農地であり地域農業がより良き方向へ向かうよう手助けしなければならない」と述べ、農地の保全や農業振興策の具体として、地域の組織による営農、認定農業者や農業生産団体への農地の集積、農業法人への貸出などを例示、その上で農地流動化や農作業の受委託、担い手の育成を図るために、行政と農協の連携による「農業公社」(仮称)を設立していく方向を踏み込んで示し、10月には準備委員会を作り、来年4月に公社を設立するとしました。

今の段階で、「農業公社」という方式をとるのが最善なのかどうか、正直に言ってよくわかりません。農業を生業として維持し持続させること、環境保全など農地・農業の持つ公益的機能を高めること、こうした視点から、市民菜園の拡充、都市型農業体験・就農運動、地産地消の組織化などを図ることが大事なのでは、と考えます。担い手問題は農業従事者や地権者の皆さんだけで解決しようと思っても無理です。市民参加、市民の共同事業により担い手を育成し、農地の保全を図ることが必要だと思います。いずれにせよ「農業公社」のあり方についてしっかりと研究しなければなりません。

●木造住宅の簡易耐震診断が拡充

 長野市が2005年度に行った木造住宅400戸の簡易耐震診断では、「危険」と「やや危険」で6割を超える結果が判明しました。

 市では05年度から、新耐震基準が施行された1981年(昭和56年)5月末以前に着工された木造一戸建て住宅の耐震診断を実施。希望のあった400戸に対し、講習を受けて県の名簿に登録されている木造耐震診断士を派遣、外観調査や聞き取りなどの簡易耐震診断を実施。そのうち「危険」「やや危険」と診断されたものが250戸で6割を超えました。このうち40戸について精密検査を実施、37戸で耐震補強工事が必要と診断され、2戸が耐震補強工事を施しました。19戸はそれぞれの事情から補強工事を辞退されているそうです。耐震補強工事では60万円を限度に工事費の2分の1を補助する制度があります。

 2006年度(H18年度)では360万円を増額、計1590万を計上、簡易耐震診断300戸と精密診断130戸、17戸の耐震補強工事を見込んでいます。

 また、所属する建設企業委員会では、耐震偽装問題への対応について質問し、国における建築基準の厳正化などの法改正にしっかり対応できるよう注文しました。

●都市内分権元年、住民自治協議会作りをスタート

■立ち上げ支援に補助金
 去る1月の都市内分権審議会の答申を受け、市長はH18年を「都市内分権元年」と位置づけ、新しい住民自治組織となる「住民自治協議会」を30支所単位にこれから4年間で発足させていく方針を打ち出しました。また、「住民自治協議会」で取り組むべき喫緊の課題は地域福祉の推進や自主防災・防犯体制の整備にあるとし、「都市内分権推進計画」を策定し、あわせて「住民自治協議会」の設立や活動に関する手引書・マニュアルを作成し、広く市民の関心と協力を呼び起こしていきたいとしました。各地区における設立準備会の立ち上げを支援するため補助制度(註*)をスタートさせることを新年度予算に盛り込みました。

■「市民が主役」が生きているか!…行政主体のマニュアルに疑問あり

 この議会で私は、都市内分権の具体化にあたり、住民自治協議会立ち上げのマニュアルは、行政中心の官製のマニュアルではなく、マニュアルそのものをワーク・ショップを活用し、市民が主体となり市民参加で作っていくことを提案しました。都市内分権の意義が残念ながらまだまだ市民一人ひとりのものになっていない今日、すべてを市民参加、手作りで進めていくことが本当の自治をはぐくんでいくことになると考えたからです。市長は「マニュアルはあくまでもたたき台」「市民参加によるワークショップの活用は地区のまちづくり計画を作成していく上で大切な手段であり、マニュアルにもワークショップの活用を掲載していきたい」としました。私としては、住民自治組織を新たに作る「たたき台」だからこそ、行政=上からの提示ではなく、地域住民=下から積み上げて作っていくことが大切だといいたかったのですが…。

 行政は大変手際がよくて(?)、この議会中の20日には「都市内分権推進計画(案)」と「マニュアル(原案)」が示されました。「素案」であること、適宜「改定」していくことを強調していましたが、いったんペーパーになると、議論はあっても、これをベースにした取り組みになりがちです。「市民とともに歩む新たなまちづくりをめざして」を副題とするマニュアルは、93ページと結構ボリュームのあるマニュアルです。「市民とともに歩む」という副題そのものが「市民が主体」ではなく「行政が主体」の発想と感じるのは私だけでしょうか。せめて「市民がともにつくる新たなまちづくりをめざして」とならなかったのでしょうか。ワークショップのプロセスをたどると、例えば「私たちが考えつくり支えるまちづくり…市民参画マニュアル」といった副題になるのではないでしょうか。
■とにかく動き出す都市内分権、市民の共同作業で「形」に

 まだ、推進計画やマニュアルの全文を吟味していません。改めて所感を述べたいと思います。とにかく、都市内分権は動き出します。まずは安茂里の中で、住民の皆さんとの共同作業で「形」にしていきたいと考えます。

 *「住民自治組織設立支援補助金」

 市内30地区単位の準備会に対し、会議の開催に関する経費と地区住民に対する広報に要する経費を補助するもの。補助金額は均等割り分=1準備会に2万円と世帯割り分=1世帯17円×H17年1月1日現在の世帯数の合計額となります。因みに安茂里地区では17万1千円です。

●銀座D-1駐車場で150台分を市が2億2700万で取得、相談利用者も有料に

 旧そごう跡地で進む市街地再開発、新しいSBCのビルや生涯学習センタービル、昭和通りを挟んでの駐車場の建設は、今年10月のオープンをめざし着々と工事が進んでいます。今議会で、銀座D-1地区の駐車場(旧そごうの平地駐車場跡)の活用について明らかになりました。この駐車場は7階建て(1Fはテナント商業施設に)で430台を収容できる中心市街地との基幹駐車場として、さらにもんぜんぷら座や生涯学習センターなど公共施設の附置義務駐車場として整備されるもので、150台分を市が2億1690万で取得、管理を委託し委託費として年間1010万円を支払うことになります。200円/1時間の駐車場料金が収入となり20年でペイできる計画とされています。もんぜんぷら座や生涯学習センターの利用者は1時間につき100円を割り引くことになるそうです。もんぜんぷら座には今年10月、日本司法支援センターが入り、同時に消費生活センター、雇用相談窓口が同施設に移動することから利用者・相談者が増えることが見込まれます。公共施設利用者の駐車料金の無料化(市役所の場合は無料ですから)を強く主張しましたが、中心市街地活性化事業の基幹的駐車場であること等から困難とのこと…経過を見ながら、利用者の声を上げていくしかないのでしょうか。???です。


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