05年12月17日・市政報告会より
超大型店進出問題を考える(その2)…イオンの進出には反対です
大型店の出店計画を審査してきた「市大型店等出店土地利用委員会」は11月に結果報告書を市長に提出しました。「土地利用」と「地域共生度」の二つのものさしで評価した報告書で計画の適否は判断せず、最終判断は市に委ねた格好になりました。敷地面積19f、店舗面積7fという日本最大級のショッピングセンターとなるイオンの出店計画は、賛否が別れていますが、報告は「土地利用の観点からは農用地区域が含まれ、市の農業振興地域整備計画と合わない」とした上で、「地域共生度の観点からは、雇用や地元経済効果、環境面などで評価できる」とし5段階評価で上から二番目のB評価としました。
(その1)はこちら。
■大型店規制は全国的な流れ
これを受けて市長は、当初「年内に結論」としてきたものを「国の施策の動向もあり庁内で慎重に検討し年度内には結論を出したい」と結論を先送りしています。国では、全国的に郊外への大型店の出店が相次ぐことで中心市街地の空洞化が深刻化している現状を打開するため、郊外への大型店出店を抑制する方向性を打ち出し、現在、まちづくり3法(都市計画法・大規模小売店舗立地法・中心市街地活性化法)の改正案を次期通常国会に予定しています。すでに福島県では大型店の出店規制につながる「商業まちづくり条例」を制定、先ほど田中県知事も中心市街地の活性化を図るための新条例の制定を打ち出しています。大きな流れは「歩いて暮らせるまちづくり」を基本に大型店の抑制にあります。
■歩いて暮らせるまちづくりを
実際にイオンのショッピングセンターが進出した地方都市では、既存の大型店が閉店に追い込まれ、地域商店街も軒並み業績ダウンで営業が続けられなくなっています。私は、少子高齢社会の行く末や長野市の将来像を見据えたとき、歩いて暮らせるまちづくりを基本にしたいと考えています。イオンの進出計画は1極集中で超大型店は栄えるけれども、長野市全体、そして地域の“街”そのものが滅んでしまう危険性をはらんでいるため、反対です。それでは、どのようにして中心市街地に活力を呼び戻し、担い手のいない農業を維持するのか、これは難しい問題です。少なくとも、地域の商店街ではお客さんを呼び戻す努力が必要です。そして地域循環コミュニティバスを拡充し地域公共交通網を整備し、例えば、市内北部・南部・西部といった地域単位の生活商業圏を確立していくことだと考えます。農業の担い手問題は深刻です。市が計画する「農業公社」の活動に期待するとともに、例えば旧大岡村で取り組まれている「クラインガルテン(菜園付滞在施設)」…都市と農村との交流事業を市街地で展開すること、市街地における体験農業の組織化を考えてもよいのではないでしょうか。
■東信から大北、上越までが商圏、3000人の新規雇用というが
イオンの出店計画では3000人の新規雇用(正社員500人・パート2500人)があるとしています。しかし、ほとんどがパートで不安定雇用であり、現実的には「新規」ではなく既存の大型店や商店の労働者が「移動」するだけに終わるのではないでしょうか。撤退したダイエー長野若里店では店舗跡利用も決まらない一方、従業員263人の内、再就職先が決まっているのは13人にとどまり(11月現在)深刻な問題となっています。イオンが進出することを考えると他の企業はダイエー跡への出店に二の足を踏むことは間違いなし。悪循環を生むことになります。一日も早く「イオンはノー」の決定が求められていると考えますが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。
■環境面からも負荷大
市民と事業者、市でつくる「ながの環境パートナーシップ会議」では、イオンが進出した場合の二酸化炭素の排出量を研究し、市内の約1万世帯分の排出量に相当する年間3万6000トンに上るとの推計を発表しています。地球温暖化防止が課題となる中、環境面から超大型点出店の影響を検討したもので、注目に値します。
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