■増床含め6社が進出計画、イオンは7㌶の店舗を篠ノ井に
現在、市が策定した「商業環境形成指針」に基づき、6社が進出の事業計画を提出しています。
中でも注目されるのが篠ノ井東福寺・南長野運動公園北側に出店を計画する「イオン」の計画です。イオンの計画は敷地面積19万平方メートル、店舗面積約7万平方メートルの大規模ショッピングセンター、イオンが経営する「ジャスコ」を中心に専門店150店を誘致、映画館の集合体であるシネマコンプレックスやゲームセンターも設ける構想、駐車台数は約5000台、年商で250億円を見込むともいわれているものです。敷地面積は何と東京ドーム4個分を有します。 新規出店を計画しているのは、イオン(地図①、千葉県千葉市)をはじめ、大豆島地区に「カインズホーム」(地図②、群馬県高崎市)と食品スーパー「原信」(地図③、新潟県長岡市)が、さらに赤沼に「高見沢」(地図④?)、南長池に「ツルヤ」(地図⑤?)が計画。この5社で店舗面積は10万6600平米にのぼります。また「ながの東急」が増床計画を提出しています。(「事業計画届出店舗の一覧」図表は長野市民新聞7月4日付より)
■広域で既存商店街に大打撃、優良農地が減っていく問題も
「便利になるから大歓迎」「雇用増につながる」との声がある一方、問題もあります。一つは、郊外への超大型店の出店により、既存の商店街や大型店への打撃が大きく、長野市にとどまらず近隣市町村を含め商業環境が大きく変わってしまうこと。二つは、出店予定地のうち南長池を除く4地区が「農業振興地域の整備に関する法律(農振法)」により農業以外の利用ができない農用地区域となっていて、開発のためには農用地を解除する手続きが必要なことから、優良農地が少なくなり農業の衰退を招きかねない問題をはらんでいることなどがあげられます。
この動きに対し、長野商店会連合会は「1店集中型の超大型店の出店は既存の商店街や大型店に売上減や閉店などの悪影響をもたらす」とし計画に反対を表明、一方、地元の篠ノ井地区には停滞する篠ノ井地区の活性化につながるとし歓迎する声も少なくないようです。また農業の後継者難で遊休地が増えていることも活性化を求める声につながっているようです。まさに市民の声は2分する状況にあります。
■長野市は11月に方針を決定、全国では条例で大型店拡大抑止も
長野市は、商業環境形成指針に基づき設置する「長野市大型店等出店土地利用委員会」で多方面から総合的に評価し、11月頃には答申を受け市の基本方針を定めるとしています。
市が昨年秋に定めた「商業環境形成指針」とは、商業施設の適切な誘導と配置を図りバランスの取れた商業環境作りを狙いとして、市内を6エリア、5ゾーンに分けて、地域の特性を活かそうとする商業ビジョンです。庁内の総合調整会議と「土地利用委員会」での審議をハードルとしているものの、直接に大型店の出店を規制する内容とはなっていません。
全国に目を向けると、例えば金沢市では、長野市と同様「指針」をもつものの、その上位に「金沢市商業環境形成まちづくり条例」を定め、市内7エリア毎に店舗面積の上限を設定、実質的に大型店の郊外進出を防いでいます。商業振興、土地利用の観点からまちづくりを総合的に進める「条例」を制定しているのが特色です。
■少子高齢社会を見据え、身近な“まち中”の活性化を最優先
さて、長野市はどうするのか。私は、既存の商店街の活性化をいかに図るかをまずしっかりと考えるべきだと思います。これもたやすい事ではありませんが、商業・農業の振興、土地利用を総合的に組み合わせて「まちづくり」を考えていくことが重要です。確かに5店舗の出店で3900人の新しい雇用(出店計画から)が生まれること、また一つの店舗ですべてがまかなえる消費者にとっての利便性というプラス面は歓迎されることでしょうが、1極集中型で「超大型店栄えて“街”滅ぶ」という風になりはしないか強く懸念されます。
皆さんはどのように考えますか。ご意見をお聞かせください。
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