平成17年度予算を決める3月議会は、1345億6千万円の新年度予算等を可決し閉会しました。1月の合併による新長野市としての初めての予算は、借金の借り換えによる特殊要因を除くと対前年度比で5.7%の増加、前年度の合併5市町村の合計で比べると4.7%の減となっています。市町村合併と機をいつにして、国の三位一体改革の成り行きの不透明さもあり、地方交付税の減や市税収入の落ち込み等により、俄かに市財政の厳しさがクローズアップされたのが特徴です。
市長自身も「(財政の)見通しに甘さがあった」と率直に認めましたが、合併によって「市民サービスの低下はない」としてきたことに危険信号が灯りはじめたのでは憂慮しています。市では早速「財政構造改革懇話会」を立ち上げ、財政構造改革に乗り出すことになりました。(写真は05年3月議会・一般質問)
■2年続いて基金を取り崩し、財政調整の基金残高は149億円
平成16年度では58億円の基金を取り崩し、平成17年度では更に60億円の基金を取り崩すことに。基金とは、不況や災害による思わぬ支出に備えて積み立てておく貯金のこと。平成4年には600億円余りありましたが、冬季五輪の施設整備で大きく取り崩し、平成11年の中核市移行に伴い新たな積立をしたものの、ここ2年間で120億円近く取り崩すことになるものです。財政調整のための3基金の残高は149億、スポーツ振興など目的を定めたその他の基金が81億、合計で230億円。今のままでは、あと3~4年で貯金が底をつくことになりかねません。
■市民一人当たり92万円の借金
一方、市債等の借金残高は一般会計だけで1729億円、市民一人あたり45万円の借金、特別会計を合わせると3500億円余り、一人当たり92万円にものぼります。6割ほど地方交付税で措置されることになりますが、国の「三位一体改革」の行方が地方にしわ寄せするだけの「改革」に終わりそうな気配だけに、先行きの不安は募ります。
■財政構造改革に着手、市民サービスの低下にならない財政改革を求める
市が着手する財政構造改革では、行政の守備範囲の見直し、総人件費の抑制、経費・コストの削減、受益と負担、給付水準の見直しなど、「削減」のメニューが並びます。私は、質問の中で、財政構造改革の基本的な視点として「市民サービス・行政水準の低下と負担増、自治体労働者の労働条件の切り下げ、コストダウン優先の自治体経営とならないこと」を強調するとともに、国主導の「三位一体改革」に振り回されず、自治体としての自立経営を図り、国の干渉や関与を薄め、自由な自治体経営の幅を広げるために市が積極的に問題提起すること、市として産業振興や観光振興によって税収増を図るとともに、法定外課税の検討を提案しました。ムダを省き、市民の必要度に応じて事業を再チェックすることは不可欠です。同時に「何でも行政にお任せ」から脱却し、市民自身にできることは市民の協働作業で成し遂げる役割分担も必要です。こうした視点から「削減ありき」ではない財政構造改革を求めていきたいと考えます。
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