1町3村と合併する新長野市は来年1月1日にスタート、いよいよ大詰めの段階を迎えています。総務委員会で合併する4町村を視察した折に痛感したことは、とにかく「広い」ということ、町村の庁舎がいずれも築まもなく立派なことです。同時に豊かな自然が新しい財産となるとはいえ、厳しい財政状況のもとで山間地の皆さんの暮らしの安定・向上を図り続けることは大変なことだとつくづく感じました。
合併で重い負担も
新市の財政計画で10年間分の試算がされました。10年間で1兆3、249億円の財政計画といわれても市民にはぴんと来ません。例えば豊野町土地開発公社の事例に見られる「売れ残る土地」に象徴されるような負の財産の引継もあり、重い負担となる現実があります。本来引き継がれるべき貯金が10億円近く減って引き継がれるという事態も生んでいます。また、有利な起債とはいえ、借金となる合併特例債を291億円使う見込みともなっている計画です。「三位一体改革」のもとで、国庫補助金の削減、地方財政計画の見直し、地方交付税の起算となる基準財政需要額の算定根拠の見直しなどが指摘される中で、本当に大丈夫なのだろうかと懸念されます。市は「市民に新しい負担は生じない」と強調していますが、であればなおさらのこと、厳しい財政状況を見据え、かつ市民の必要度・満足度にてらして、新市のまちづくりの計画、財政計画について厳しくチェックするとともに、事業を厳選していくことが問われてきます。
合併建設計画は事前・事後の行政評価を行い見直し進める
そこで、駆け込み事業を懸念する声もある中、決定されている「合併建設計画」の事業が、当面それぞれの町村の基本計画や諸施策をまとめたものにならざるをえないことから、事前・中間・事後の行政評価をしっかり行い市民の目線で事業の見直しを図っていくべきと正しました。また、「サービスは高いほうに、負担は低いほうに」を基本に事業のすりあわせが進められてきていますが、例えば村営バスの維持など「当面現行どおり、合併後に見直し」とする事業が多くある点に関して、住民参加を保障し、負担の増大や不便にならないように見直すことを求めました。
一体感あるまちづくりを、「第四次総合基本計画」を策定へ
さらに、合併する5市町村が新長野市として一体感を持った「多軸都市」として発展していくためにも、一体感を持ちえる基本計画・まちづくりのグランドデザインづくりが必要であることから、新市になることによって「長期計画」の見直しを早期に図るべきとの提案も行いました。
市長は、①合併建設計画を進めるにあたっては必要性、妥当性を吟味し事前・事後の行政評価を実施しながら事業を進める ②住民サービスの急激な変化を緩和するため、合併後に見直すとした事業は、効果等を見極め、合併町村に作る「地域審議会」を通して見直しを進める ③新市のまちづくりのコンセプトは「都市と自然が共存する美しいまち」にある。それぞれの地域の特性・魅力を生かした活力ある「多軸型の都市」をめざしたい。そのために「第四次長野市総合計画」を来年度から策定作業に着手、H19年度からスタートさせたいと考え方を示しました。
合併町村で都市内分権のモデル実施を
合併に伴う、まちづくりの受け皿となる地域自治組織のあり方について、市長の諮問機関である「地域審議会」方式をとることになりました。この地域審議会が、旧町村の住民が、本当の意味で自らのまちづくりを考え検証するテーブルになっていくことを願っていますが、一方で都市内分権のあり方が調査研究され11月には最終報告がまとめられることになっており、これらの兼ね合いは不透明さをぬぐえません。新たに発足する支所の権能、地域審議会と行政連絡区との位置づけ、都市内分権でいう「住民自治協議会」との位置づけも然りです。
合併のスタート地点から合併の10年先、20年先を見越して、地域住民自治、地域コミュニティの拠点となる足がかりをしっかり作り、住民自治を育て、地域の自立と活性化を進めていきたいとの想いから、それぞれの位置づけの明確化、都市内分権の先行モデル実施を求めました。
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