12月市議会は12月6日から24日までの19日間開催され、災害復旧のための追加補正を含む85億3750万円余の補正予算案や合併にかかわる議案など165議案を審議、すべての市提出議案を可決して閉会しました。
■合併、三位一位改革の影響、災害対策、SO支援、35人学級などに質問が集中
この議会では、年明け1月1日に迫る合併への取り組み、そして都市内分権、いわゆる「三位一体改革」の影響と財政見通し、台風23号被害・新潟県中越地震災害などを受けての災害対策、学校や家屋の耐震診断・補強工事、2億円に上るSO支援、小学校5・6年生における35人学級導入問題、指定管理者制度の導入問題、中心市街地3小学校の統廃合、超大型店イオンの進出問題と長野市商業環境形成指針などに質問が集中しました。
■所感、市長の議案提案説明を聞いて
市長は議案説明の中で今年度の重点課題として「①市町村合併と都市内分権の推進②行政改革の継続と民間活力の導入③廃棄物処理対策の充実④教育環境・内容の充実⑤公共交通機関を柱とした交通体系の整備・充実」の5項目を改めて強調、「外面的には『長野市版・都市内分権』の実現をめざすこと、内面的には『人事制度改革』により職員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる職場環境作りをめざすこと、この二つを大きな目標として「長野改革を推進」したいとの姿勢を打ち出しました。いずれも重要な課題であり総論的には異論はありませんし、これらの積極的な推進が図られるよう議会としてチェックしていくことが大切ですが、全体的に「きれいにまとまり」過ぎて、市民の悩みや不安、そしてこれに応えようとする行政の苦悩や苦心がなかなか伝わってこないというのが率直な感想です。市長の「外面的…、内面的…」の言い方も、「わかるようでわかんないな」と思ってしまいました。「長野改革」と大きく打ち出すのであれば、もっと具体的な提起が必要なのではないでしょうか。もっとも、だからこそ議会の存在意義かあるのですが…。依然として厳しい雇用問題、負担増だけが先行する医療・介護・福祉の問題が「二の次」にならないよう取り組みを強めなければなりません。今年の「まちづくりアンケート」で、特に力を入れてほしい施策のトップに「高齢者福祉サービスの充実」、第3位に「子育て支援の推進と子どもが夢をもてる社会」が上げられていることからもなおさらです。
■合併で増える借金、一人当たり92万円に
12月議会には合併に伴い必要とされる条例が122件(新規・改正を含めて)も提案されました。県段階では木曽郡山口村の越県合併が大きな問題となり、最終的には議員提案の形で合併議案を可決する事態を招きましたが、長野市の合併はいわば「粛々」と進みました。一昨年の12月議会で合併への関心を高め自治意識を高めていくために「せめて市民アンケートくらいとるべき」と提案しましたが「編入合併だから必要ない」とかなわずじまいとなった経過があります。「合併に賛成か反対か」を問わないまでも、合併への期待や不安を意識調査することで、これから先、より一体感のある「まちづくり」を進める上でプラスになると思ったのですが…。
合併時に長野市に引き継がれる合併町村の地方債残高は404億円にも上ることが明らかとなりました。簡単に言えば合併で404億円の借金が新たに増えるということです。今年度末(H17年3月末)の長野市の地方債残高は3517億円、合併後の38万人で割ると一人当たり92万5千円、4人家族で約400万円の借金ということになります。国の「三位一体改革」の行方が地方にしわ寄せするだけの「改革」に終わりそうな気配だけに、大変なことです。市民の必要度・満足度に照らして、借金を着実に減らす事業の見直しと事業の優先順位化が必要です。
■災害復旧に16億円余を追加補正、一日も早い復旧を
大きな被害をもたらした台風23号による道路、河川、農林、公園、体育施設等の災害復旧費として、総額16億3600万円を追加補正しました。合併4町村分を含むもので、積雪の時期を向かえ復旧工事は大変ですが、一日も早い復旧が求められます。また、流木など台風水害で千曲川敷地内の農地に堆積したものを除去するため、緊急地域雇用創出特別交付金(国から県を通じて交付)530万を活用することになりました。シルバー人材センターを通して雇用することになりますが、20人位の臨時雇用にとどまるとのこと。厳しい雇用情勢のもと、災害復旧で新しい雇用を積極的に作っていくことも課題です。
■安茂里・松ヶ丘小学校裏山崩落で伸縮計など監視体制を強化
台風23号により松ヶ丘小学校の裏山が崩落した災害に対しては、土のう積み等の応急措置が施されてきましたが、本格的な対策工事が完了するまでの間、小学校や付近住民の安全を図るために、崩落現場に伸縮計と雨量計が設置され、監視体制が強化されました。監視システムが作動した場合には、消防などが急行し緊急対応することになります。また、松ヶ丘小学校体育館の耐震補強工事は来年度実施される予定です。
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