今日の話題
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■05.02.10市政直行便NO.4
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目次
■合併に思う…「新長野市」誕生 過疎山間地対策、市民自治の醸成が課題
■12月議会 85億円余の補正予算案と合併関連議案を可決
■いよいよスペシャルオリンピックス 2億円の支援を決定
■小学校高学年35人学級の段階的拡大を求める請願可決。実施は?
■教育基本法の理念を活かす請願は否決に!
■編集後記

合併に想う…「新長野市」誕生。過疎山間地対策、市民自治の醸成が課題
 1月1日に「新長野市」が誕生しました。
 人口38万3千、面積約738平方キロといずれも県内最大の都市です。合併により266人の職員が長野市職員に、また現在の26の支所に加え旧4町村の役場に新たに支所が設置され、学校も小学校6校、中学校4校が増えることになりました。
 「粛々」と進んだ長野市の合併ですが、市と旧町村の住民サービスの格差の是正など課題は山積です。合併にあたっては「サービスは高いほうに、負担は低いほうに」との視点で問題提起をしてきましたが、「相当の財政負担が伴う」(市長答弁)ことから、合併町村のサービス水準が低くなるという問題が発生しています。例えば、大岡村の保育料は若者の定住対策の一環で長野市の3分の1程度に低く設定されていますが、3年間の経過措置を設け市の水準に引き上げることになります。「当面、現状維持」として市との格差是正が先送りされているサービスもたくさんありますが、合併地域の住民に皆さんにとってみるとサービスの低下・負担の増加が重くのしかかることになります。確かに財政負担の問題は避けて通れませんし、市民全体に対する公平なサービスという観点からも「見直し」は必要となりますが、過疎地・山間地において住民の生活維持のために実施されてきた高いサービスが削り取られ、結果として過疎を増幅させてしまいかねないところに、「平成の大合併」の問題点があると考えています。都市部と周辺山間地の調和と共生を如何に図っていくのか、山間地の住民の生活をどのように応援していくのか、旧長野市民にとっても大きな課題となります。
 さらに長野市版・都市内分権の具体化がこれからの課題です。それぞれの地域の特性を生かして自分たちのまちづくりは自分たちで相談し決定して進める、という点で都市内分権、言い換えれば住民自治の徹底は欠かせません。市民が「何でも行政にお任せ」ではなく、また行政も効率化・コストの削減という観点からだけではなく、街づくりの責任を分かち合い、一人一人の市民が自律していくことが真の地域主権、市民主権だと考えるからです。現在、都市内分権の最終研究報告書がまとめられ、これを基にH17年度には審議会が設置、パブリック・コメント(市民の声の把握)をはじめ広く議論をおこしていくことになります。10年間をかけて(最終目標年度はH26)具体化していく構想です。都市内分権の鍵は支所単位に設置される「住民自治協議会」の成否にかかっています。「地域に密着したサービスを完結的に提供できる拠点」として、支所をくくって「地域総合事務所」を設置する案なのですが、最終報告では長野市を3つ、5つ、7つの区域に分ける複数の案となってしまいました。職員配置や予算執行権の基本にかかわることだけに、「自治」「分権」の哲学が抜け落ちた最終報告になってしまったとの感が否めません。私は支所単位の「住民自治協議会」の充実、権限の拡大という視点で問題提起をしていきたいと考えています。
(図は長野市ホームページより)
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04年12月議会…85億円余の補正予算案と合併関連議案が可決
 12月市議会は12月6日から24日までの19日間開催され、災害復旧のための追加補正を含む85億3750万円余の補正予算案や合併にかかわる議案など165議案を審議、すべての市提出議案を可決して閉会しました。
■合併、三位一位改革の影響、災害対策、SO支援、35人学級などに質問が集中
 この議会では、年明け1月1日に迫る合併への取り組み、そして都市内分権、いわゆる「三位一体改革」の影響と財政見通し、台風23号被害・新潟県中越地震災害などを受けての災害対策、学校や家屋の耐震診断・補強工事、2億円に上るSO支援、小学校5・6年生における35人学級導入問題、指定管理者制度の導入問題、中心市街地3小学校の統廃合、超大型店イオンの進出問題と長野市商業環境形成指針などに質問が集中しました。
■所感、市長の議案提案説明を聞いて

市長は議案説明の中で今年度の重点課題として「①市町村合併と都市内分権の推進②行政改革の継続と民間活力の導入③廃棄物処理対策の充実④教育環境・内容の充実⑤公共交通機関を柱とした交通体系の整備・充実」の5項目を改めて強調、「外面的には『長野市版・都市内分権』の実現をめざすこと、内面的には『人事制度改革』により職員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる職場環境作りをめざすこと、この二つを大きな目標として「長野改革を推進」したいとの姿勢を打ち出しました。いずれも重要な課題であり総論的には異論はありませんし、これらの積極的な推進が図られるよう議会としてチェックしていくことが大切ですが、全体的に「きれいにまとまり」過ぎて、市民の悩みや不安、そしてこれに応えようとする行政の苦悩や苦心がなかなか伝わってこないというのが率直な感想です。市長の「外面的…、内面的…」の言い方も、「わかるようでわかんないな」と思ってしまいました。「長野改革」と大きく打ち出すのであれば、もっと具体的な提起が必要なのではないでしょうか。もっとも、だからこそ議会の存在意義かあるのですが…。依然として厳しい雇用問題、負担増だけが先行する医療・介護・福祉の問題が「二の次」にならないよう取り組みを強めなければなりません。今年の「まちづくりアンケート」で、特に力を入れてほしい施策のトップに「高齢者福祉サービスの充実」、第3位に「子育て支援の推進と子どもが夢をもてる社会」が上げられていることからもなおさらです。
■合併で増える借金、一人当たり92万円に
 12月議会には合併に伴い必要とされる条例が122件(新規・改正を含めて)も提案されました。県段階では木曽郡山口村の越県合併が大きな問題となり、最終的には議員提案の形で合併議案を可決する事態を招きましたが、長野市の合併はいわば「粛々」と進みました。一昨年の12月議会で合併への関心を高め自治意識を高めていくために「せめて市民アンケートくらいとるべき」と提案しましたが「編入合併だから必要ない」とかなわずじまいとなった経過があります。「合併に賛成か反対か」を問わないまでも、合併への期待や不安を意識調査することで、これから先、より一体感のある「まちづくり」を進める上でプラスになると思ったのですが…。
 合併時に長野市に引き継がれる合併町村の地方債残高は404億円にも上ることが明らかとなりました。簡単に言えば合併で404億円の借金が新たに増えるということです。今年度末(H17年3月末)の長野市の地方債残高は3517億円、合併後の38万人で割ると一人当たり92万5千円、4人家族で約400万円の借金ということになります。国の「三位一体改革」の行方が地方にしわ寄せするだけの「改革」に終わりそうな気配だけに、大変なことです。市民の必要度・満足度に照らして、借金を着実に減らす事業の見直しと事業の優先順位化が必要です。
■災害復旧に16億円余を追加補正、一日も早い復旧を
  大きな被害をもたらした台風23号による道路、河川、農林、公園、体育施設等の災害復旧費として、総額16億3600万円を追加補正しました。合併4町村分を含むもので、積雪の時期を向かえ復旧工事は大変ですが、一日も早い復旧が求められます。また、流木など台風水害で千曲川敷地内の農地に堆積したものを除去するため、緊急地域雇用創出特別交付金(国から県を通じて交付)530万を活用することになりました。シルバー人材センターを通して雇用することになりますが、20人位の臨時雇用にとどまるとのこと。厳しい雇用情勢のもと、災害復旧で新しい雇用を積極的に作っていくことも課題です。
■安茂里・松ヶ丘小学校裏山崩落で伸縮計など監視体制を強化
 台風23号により松ヶ丘小学校の裏山が崩落した災害に対しては、土のう積み等の応急措置が施されてきましたが、本格的な対策工事が完了するまでの間、小学校や付近住民の安全を図るために、崩落現場に伸縮計と雨量計が設置され、監視体制が強化されました。監視システムが作動した場合には、消防などが急行し緊急対応することになります。また、松ヶ丘小学校体育館の耐震補強工事は来年度実施される予定です。

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いよいよスペシャルオリンピックス
2億円の支援を決定、知的発達障害への偏見、差別なくす機会に
■大会の成功を
 2月26日から3月5日にかけてスペシャルオリンピックス冬季世界大会(略称SO)が開催されます。アジアでは初めての開催となる今大会には、世界から約80カ国、およそ3150人の選手団が参加します。SOは知的発達障害がある選手たちが個々の目標と可能性に向かってベストを尽くす大会であり、市民とボランティアが支え「皆で集い、共に楽しむ」大会をめざしています。知的発達障害への偏見と差別をなくし、障害・国籍を越えて心のバリアフリーを広げていく大きなチャンスにしていくためにも、大会の成功を願わずにはいられません。関心は徐々に高まっていますが、もう一押しです。
■公的資金援助で議論
 12月議会の補正予算には、県議会でも焦点の一つになっていた「スペシャルオリンピックス(SO)冬季世界大会」の運営費補助金として1億6千万円余が盛り込まれ、当初予算で計上した分とあわせ2億円規模の支援が提案され決定しました。SO関連で、長野市が拠出する資金は、大会運営補助金2億円の他に市民協力会負担金3527万円、児童生徒参加補助金1500万円が見込まれ、総額で2億5027万円となります。そもそもSOは、大会運営に必要な資金28億円について、盛田英夫氏が理事長を務める実行委員会(GOC)の元で公的な財政支援を当てにせず民間の資金で賄うとして出発、しかし民間資金が思うように集まらず、16億円分の公的支援を求めることになりました。国が8億、長野県が6億、そして長野市が2億円といった枠組みです。
■市民への説明、十分か
 市長は、12月2日にGOCから「陳謝の表明があったこと」、その際に寄附金が集まらない理由として、「過去の開催国では自国開催の支援が精一杯、国内企業は愛知万博への支援でSOまで余裕がないこと」などをあげ「地元自治体に8億円の支援を要請する、民間による12億円は責任を持って集めることを約束したこと」を明らかにする一方、総額28億円の算出根拠は明示されていないことも指摘しました。しかし、GOCとしての市民に対する説明責任はまったく不十分です。
■2億円は精算補助方式でSONAに支援
 世界大会成功のために2億円を限度として支援する、支援方法は精算補助方式とする(企業寄附金が目標額を上回った場合に市と精算し返済する方法)、支援先はGOCではなく地元の運営責任団体であるSONAとする方針を示しました。GOCの見通しの甘さを指摘・批判しつつ大会成功に向けたギリギリの判断として公的支援決定を議会に要請する市長の姿勢は、県知事の対応姿勢とは異なり、評価できるものと考えます。今後の全体的な資金問題の行方は未だ不透明ですが、開催市となる市レベルでは、せっかくのSO世界大会が資金問題で色あせることの無いよう大会成功の機運を盛り上げていかなければなりません。もっとも、これでGOCの説明責任、とりわけ盛田理事長の責任が免罪となるものではないことを改めて強調したいと思います。
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小学校高学年35人学級の段階的拡大を求める請願可決。実施は?
 小学校5・6年生に35人学級を導入する課題は、12月議会でも焦点の一つとなりましたが、所属する経済文教委員会では、PTA有志から提出された標記の請願を全員賛成で可決、市長に対し、その処理の経過及び結果の報告を求めることとしました。県では、来年度から県負担で小学4年生まで35人学級を実施することを決め、5年生以上については、市町村にも教員人件費を負担協力してもらう協働方式による35人学級の他、加配教員の振り替えによる方法や少人数学習やチーム・ティーチングなどから選択することを提案しています。市教育委員会は「35人学級は低学年では有効だが、高学年ではある程度の大人数の中で社会性を育むことが大事」とのスタンスで、拡大には積極的ではありません。現在、学校長にその判断を任せているのが実情です。学校ごとに対応がまちまちでは、教育の機会均等が崩れてしまいます。県の協働方式・負担金方式は私は、学級編成は25人~30人位がベター、少ないに越したことはないと考えています。当面、35人学級を全学年で実施するとともに、それに加えて少人数学習や複数教員によるチーム・ティーチングを実施していくことを求めていきます。また、財政面では、教員人件費は県が、学校施設費は市が負担することを基本にすえて臨みたいと思います。
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教育基本法の理念を生かす請願は否決に!
 「教育基本法を変えるのではなく法の理念を生かすことを求める」請願は、賛成少数で残念ながら否決されました。今、教育基本法の改正問題が急速にクローズアップされ、政府与党により推し進められようとしています。「たくましい日本人の育成」をキーワードに、新たに「公共の精神」「国を愛する心」「伝統・文化の尊重」などの理念を加えようとするものです。社会状況が変化する中で重視すべき理念も変わってきた、というのが改正の理由とされています。
  そもそも、教育基本法は行き過ぎた国家主義、全体主義の結果、戦争に突っ走った戦前の体制を反省し、国民一人ひとりの「個」を重視する目的で制定され、日本国憲法とセットで、日本の平和主義を支えてきました。「改正」の狙いは、戦後民主主義の行き過ぎを是正するという考え方を背景に、「個」から「公」に教育の重心を変えていくことにあります。結果、「個人の価値」や「自発的精神」が大きく後退することになります。しかし、果たしてそうでしょうか。いじめや不登校、さらには犯罪の低年齢化といった少年問題をみると、むしろ「個」の尊厳が大きく損なわれている現状があると思うのです。子どもたちの発するSOSをくみ取れない状況こそに問題の根っこがあるのではないでしょうか。つまりは、教育基本法でうたう「個人の尊重を重んじ、真理と平和を追求する人間の形成…」が不十分であることの表れとして少年問題が起きているのではないでしょうか。いじめや不登校など教育問題の解決を求める声は切実です。でも教育基本法の理念を変えればいじめや不登校の問題が解決するわけではなく、基本法に欠陥があるから現在の教育荒廃があるわけでもありません。「国を愛する心」が強調されるところに、憲法第9条の改悪と機を一にした狙いがあると見るのは私一人ではありません。「たくましい日本人の育成」は「国に忠誠を誓い、国際競争に打ち勝つ人材づくり」に他なりません。国家、社会を持ち出して枠にはめるより、現行の教育基本法が求めるように、まず個の確立を目指すことが大切であると考えています。

  他の請願では、「人権侵害の救済に関する法律の早期制定を求める請願」を賛成多数で可決、長野地区労農会議から提出された「WTO・FTA交渉に関する請願」「食料・農業・農村基本計画見直しに関する請願」、は全員賛成で可決、それぞれ意見書を政府に送付しました。
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編集後記
■あけましておめでとうございます。■長野市政で活動するチャンスを与えていただいて2年目。2005年は「平和」と「憲法」の年。戦争と天変地異、「災」の04年から「災い転じて福となす」一年に。合併で大きくなった市政にあっては、まさに地域主権と市民の自治が試される年。雇用や社会保障、生存権を掲げ、市民の営みの痛みと希望に光をあてる一年にしたいものです。■年男となる今年…「鶏口となるも牛後となるなかれ」の精神で頑張ります。今年も変わらぬご厚情と叱咤をお願いします。(布)
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