「廃止」決定後はじめてとなる屋代線活性化協議会が開かれ、長野電鉄の笠原社長は「3月中に廃止届を出す。従って来年3月には廃止となる。代替バスへの不安感を1年間かけて払拭したい。関係者としっかり協議したい」と公式の場で初めて廃止届の提出時期を表明しました。
沿線の住民代表からは、「諦めきれない。存続に向けなお努力する」との意見が出されるとともに、「廃止」に伴うバス代替の在り方に対し、沿線代表をはじめ国や県からも異論や疑問が相次ぎ、バス代替への移行の議論は入口からつまづき、混乱しました。協議会では、総合連携計画・最終版として「H23年度以降の計画については、バス代替運行に関する検討を行う」とし、代替バス運行に関する検討の主な項目として6点を掲げる案を提案したにもかかわらず、一方で、長野電鉄が作成した「屋代線廃止に伴うバス運営形態について(概要)」が協議事項として提案したことが発端です。
長電が作成した代替バス運行形態の内容は➊路線は須坂駅から屋代駅間とし、電車と並走する国道403号線を基本的な運行ルートとする➋停留所は13の駅を基本に、駅間にも増設する➌運行本数は電車と同様15往復とする。通勤通学時間帯は2台連なって運行➍長野電鉄が運行主体となり、運行会社は長電バスとする➎運賃は、激変緩和措置として電車運賃からバス運賃に段階的に値上げを検討する➏車両は5台とし、増発車両として2~3台が必要とするものです。
総合連携計画・最終版(案)では、バス代替運行に関する検討はH23年度に実施するとしながら、実質的に運行形態案が示されたことに対する異論です。国や県からも運行形態案の位置付け等について疑問が呈されました。最終的に、「長電作成の資料は参考資料に過ぎず、バス代替に関する検討は、白紙から沿線住民と協議して合意を図る」ことが確認されました。
そうなると、長電の廃止届の時期が問題となります。2月2日の廃止決定後の記者会見で笠原社長が「ルートや本数、料金など代替バス運行に関する協議が整ったところで廃止届を提出したい」としたことと矛盾するからです。
午後に開いた公共交通対策特別委員会でも論点の一つになりました。私は、「代替バス運行の検討はゼロから始めるというのが法定協の今の段階。従って、長野電鉄に対し代替バス運行計画について住民と合意できるまで廃止届を提出しないよう求めることが筋である」と強く指摘しました。沿線の住民代表の間には、合意なき廃止決定に加え、バス代替の運行方針も住民の合意なきまま決定されてしまうのではないかとの不信感が改めて強まった格好です。市側は「廃止届は事業者の判断」とする一方、「長電も地元と協議したいと言っているので、地元住民との合意形成に力を尽くしたい」とするものの、住民との合意による公共交通の再生に大きな問題を残しています。
また特別委員会では、バス代替が優位とする費用便益分析を行ったパシフィックコンサルタンツ㈱(略=パシコン)を参考人に招き、便益分析について検討しました。詳細の報告を省きますが、パシコンからは「前提条件の捉え方で結果は異なってはくるが、バス代替の優位性には変化はない」と述べるとともに「法定協・事務局からオーダーのない検討は行っていない」としました。そもそも行政からの分析項目のオーダーの仕方に疑問が残ります。またパシコン側は「費用便益分析は一つの指標に過ぎない。どう評価するかは法定協の議論」と指摘。法定協の議論において、バス代替が優位との結果を導いた費用便益分析結果が「廃止」へのターニングポイントになったことを振り返ると、費用便益を「一つの指標」として多角的に屋代線の再生が議論・検討されたのかが改めて問われることになるのではないでしょうか。
明日は3月議会初日です。冒頭での市長の所信表明が注目されます。3月4日(金)午前10時40分ごろから一般質問を行います。市長の所信表明を聴いてから発言通告をまとめるつもりですが、質問時間が18分しかないため、公共交通一本で質問を構成せざるを得ないかなとも考えています。市民会館建て替え問題や雇用確保、セーフティネットの構築など課題はたくさんあります。「この問題を質して」…皆さんからのご意見をいただければ幸いです。