一昨日「廃止」を多数決で決めた長野電鉄屋代線について、市議会では今日、公共交通対策特別委員会を開き、行政側からの報告を受ける形で議論しました。委員からは、「住民の合意が得られていない」「廃止ありきの協議ではないか」「納得できない」「容認できない」といった厳しい批判、異論が相次ぎました。
特別委員会としては今後、2月24日に開かれる第13回活性化協議会をにらみながら、2月中旬にも沿線住民代表を「参考人」に招き意見を聴き、一定の意見集約を図った上で市長や協議会への対応を進めることを確認しました。
委員会後の正副委員長の相談で、「参考人」は1団体1人となり、また双方向のやり取りができないなど制約があることから、もっと広く住民の意見を聴くため、委員会として沿線に出かけ住民(自治協代表はもとより、若穂のチーム屋代線、松代の屋代線対策会議のメンバーを想定)との意見交換会にすることにしました。
私は、多数決で「廃止」とした活性化協議会の決定は、「協議会の総意とならない」と指摘した上で、「決定そのものに重大な齟齬がある。協議会は廃止とした議論をやり直すべきだ」と質しました。
一つは、沿線住民との合意がないことです。協議会の根拠である地域公共交通活性化再生法の趣旨は、利用者・住民、事業者、行政の3者一体の連携・協働で公共交通の再生を図ることにあります。従って、沿線住民との合意は絶対必要条件なのです。「実証実験の継続」を求めてきた沿線住民代表組織である自治協は「廃止」することに合意していません。住民との合意無き決定は、法の想定外です。
二つは、そもそも屋代線の活性化再生が目的である協議会が「鉄道の廃止」を結論付けることは、協議会の目的を逸脱していることです。上下分離方式や第三セクター方式、またディーゼルへの転換など新しい運営形態への移行の検討は、充分な議論がないまま、費用対効果から「バス代替が優位」との方向性を導きだし、協議会の議論をリードしました。費用面ではバス代替が優位であっても、鉄道の社会的意義を捉え、新しい運営形態のスキームについて優先順位をつけ、公的支援のあり様を真剣に検討した形跡は極めて乏しいといわなければなりません。「廃止ありき、バス代替ありき」の議論になっていると批判される所以です。
三つは、協議会の委員構成の問題です。沿線住民代表に「千曲市地域公共交通会議」(これもまた法に基づき設置されたもの)の代表として千曲市行政の理事者が選任されていたことは看過できません。公正・公平な委員の選任となっていないということです。また、利害関係者である当事者が少ないことも課題であるといわなければなりません。
これに対し、行政側は「市民アンケートや実証実験の結果を踏まえて協議会が客観的に判断した結果。委員の皆さんが決めたこと」と協議会の決定にすべての責任を転嫁する姿勢に終始しました。「協議会と市民と、長野市行政はどっちを向いているのだ」と声を荒げざるを得ません。「客観的な判断が重要」というのであれば、総合連携計画に盛り込んだ27全ての推進施策を実験した上で、結果を検証し客観的な判断がされるべきであって、実証実験半ばでの結論は、あまりに拙速で無責任であることは明らかです。
さらに、今年度の屋代線利用者が50万人を超え、当面の目標である60万人に限りなく近づいた場合、鉄道の再生を検討し直す余地、可能性は残されているのかを質しました。市側は「論理的な可能性としてはある」と答えました。問題は長野電鉄の前向きな姿勢であり、基本は沿線住民の意思と行動にあると考えます。終わりではないのです。
このまま、バス代替に向かって粛々と議論が進むことに、黙っているわけにはいきません。しかも、今後、鉄道の再生を検討すべき協議会が、継続して「バスの運行」を協議するというのは、道理がありません。悲しい「笑い話」です。