生活バス交通・屋代線の再生へ、マイカーからの利用転換策を質す
3月議会では地域公共交通の再生の課題も論点となりました。生活バス交通の再生に向けた「ながのバス交通プラン」や長電屋代線の存続・活性化に向けた総合計画がH22年度から事業展開するからです。市長自身、中山間地域の活性化と合わせ、3期目の最重要課題の一つに挙げる地域公共交通の再生は、まさに待ったなしの課題です。
地域公共交通の再生をテーマに、効果のある「ながのバス交通プラン」とするために、また屋代線を鉄路として残すために、課題を絞って質問しました。
バス回数券を活用し公共交通エコポイント制度の新しい仕組みを
圧倒的な利便性を誇るマイカーから公共交通に転換していくためには、呼びかけのみでは難しく、利用者のお得感を刺激するインセンティブも必要」とし「ICカード導入にあたり、魅力ある割引制度を導入し、効果的な普及に努めるとともに、エコポイントを導入している自治体もあり、提案を含めて検討していきたい」としました。現在、川中島バス・長電バスが販売している「エコ定期券」(土休日、通勤定期券を持つ方と同乗する家族は1乗車100円に)や「買い物回数券」(通常運賃の2割引)がありますが、市民の認知度はエコ定期券が3%、買い物回数券は18%と低く、もっと普及宣伝する必要があるともしました。
エコ通勤奨励事業者に税制上の優遇措置を
バス利用者を増やすためには、バスが便利な乗り物になることが前提ですが、通勤手段をマイカーから公共交通機関に変えることも必須です。企画政策部長は「税制上の優遇措置は大変にインパクトのある方法であるが、税の公平性が求められる中、どのように制度設計するか慎重に研究したい」と答弁しました。
屋代線存続に向けた実証運行で「バス代替でも仕方がない」にしてはならない
長電屋代線の活性化・再生事業では「乗って残そう」と7月から実証運行が始まりますが、電車を使っての実証運行は1ヶ月間にとどまり、2ヶ月間のバスによる代替輸送実験が盛り込まれています。地方鉄道の存廃対策でバス代替が成功した事例はなく、バス代替でも仕方がないとの結論を導き出すような取り組みにしてはならないと強く求めました。市は「車両や要員の不足から、やむを得ず実施するもので、バス代替でも仕方がないとの方向性を導き出すようにな取り組みではない」と明言しました。
地域公共交通の再生に総予算1%枠の確保を
国の地域公共交通活性化・再生総合事業への予算は、H22年度当初で40億円。H21年度は当初44億、補正25億、合計69億円でした。事業費の2分の1を支援する国土交通省は、自治体の取り組みについて「メリハリをつけた査定を行う」とし、長野市の生活バス交通の再生や長電屋代線の活性化に向けた事業が予定通り国の支援を受けられるかどうかが事業展開の壁になっています。「国からスキーム通りの支援がない場合は、総合連携計画で定めた目標の実現は不可能であり、当然、計画の見直しが必要になる」とし、単独で市費を投入してでも、計画を実施する意気込みは感じられません。
一方で、地域公共交通の活性化で、「総合連携計画実施の3年後以降(H25年度以降)も継続は不可欠」とし、「公共交通機関は重要な都市インフラであり、交通政策は都市政策そのものとの認識で、公共交通の活性化を図りたい。財源は特別交付税、基金、その他の補助金を活用する」としました。
こうしたことから私は、高齢社会が進展する中、地域公共交通の再生がより喫緊の課題であることから、総予算の1%、約15億円を公共交通の再生に充てるべきであると提案しました。市側は「市民の交通手段の確保、環境負荷低減など本市の新たな課題に対し、市がこれまで以上に主体的な役割を担うことが求められている」との認識を示したうえで、「交通政策課の公共交通事業に、お出かけパスポートやスクールバス、福祉自動車などの経費を足し上げると約10億円になる」とし「サービスレベルをどこまで確保するのか、財政状況を勘案する中で検討する」と答弁するにとどまりました。
特別交付税で8割措置される公共交通事業費、市単独事業費に厚みを
地域公共交通にかかる事業費は、特別交付税で8割が措置されることになっています。大雑把に言うと、約10億円のうち8億円は特別交付税で国から支援されるわけで、単独市費分は2億円という勘定になります。交付税による国の支援を見込んで、市としての財政措置に厚みを持たせることが求められる所以です。
生活バス交通では地域循環バスや交通空白地域での乗合タクシーの導入など10地区で6月から、長電屋代線では7月から、それぞれ実証運行が始まります。前途多難な課題ではありますが、「乗って活かす、乗って残す」をスローガンに、エコでスローなライフスタイルへの転換も志しながら、引き続き問題提起をしていきたいと考えます。
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