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05年3月10日
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05年3月議会(2月25日〜3月25日)で質問 
 2月25日に開会した3月議会は、市長の施政方針、新年度予算案をはじめとする議案の提案の後、26日から3月6日までスペシャルオリンピックス世界大会のために休会、7日から再開し代表質問・一般質問が行われました。3月9日に一般質問を行いました。
 テーマは次の通り。

  1.「努力目標が明確になっていない政策課題」(市長)の取り組みについて
  2.財政構造改革について
     ア)市財政の見通しと構造的改革の視点(自主財源の確保と借金財政からの脱却)
     イ)行政評価システムの拡充、事業の絞込みと優先順位化
     ウ)市民の必要度・満足度、市民合意と役割分担
  3.公共交通機関を柱とした交通体系の整備について
     ア)「バス路線網再編基本計画」の実効性の確保
     イ)マイカーの抑制・規制
     ウ)交通バリアフリー法への対応
     エ)その他


質問の内容 05.03.09

 43番、市民ネットの布目裕喜雄です。質問いたします。
なお、発言通告3項の「交通バリアフリー法への対応」は割愛します。

1.まず「努力目標が明確になっていない政策課題」の取り組みについてです。

(1)市長は2月に開かれた農村いきいきフォーラムのあいさつで、市行政として努力目標が明確になっていない課題として、少子化対策、環境問題・地球温暖化対策、中山間地対策の三つを挙げました。数値目標を立てにくい、或いはマニフェスト化しにくい政策課題として指摘されたものです。(率直な発言だと思いました)国の法そのものが数値目標を設定していない事情もあり、数値目標の設定の困難さという点では、一概に否定するものでありませんが、行政として、究極の目標を設定し、段階的実行プランが策定され、市民との協働作業で実現していくことが必要だと思います。
 行政内外において「目標管理」なるものが注目・指摘される今日、例えば、少子化においては、出生率何%、保育所待機児童ゼロ%、中山間地対策として担い手不足の解消率の設定や遊休荒廃地の何十%削減などといった目標を主体的に設定して具体化を図ることが重要なのではないでしょうか。いずれも差し迫った政策課題だけに、国の施策を超えて市長の前向きな姿勢を打ち出してもらいたいと考えます。第4次総合計画の策定において具体化されたく、市長の基本的考えを伺います。

2.さて、次に財政構造改革について伺います。

(1)危機に立つ地方財政は、この先も厳しい情況が続きます。このままでは基金、いわゆる貯金が底をつき、借金で破産しかねないから、いわく「少しでも財政的体力のある今だからこそ、積極的な改革に取り組まなければならない」という危機意識、問題意識は共有します。 しかしながら、唐突感を否めません。一年前、今年度当初予算の説明の中で、基金を取り崩すが決算段階で返納できる見通しとされ、財政の悪化の兆しについて深刻な状況にはないとの認識が示されてきたと振り返るからです。確かに、一昨年暮の地方財政計画の突如の見直し、不透明な「三位一体改革」の成り行き、景気低迷による税収の減少、市町村合併などが、財政構造改革を必要とする要因となっているのでしょうが、本当にそれだけなのでしょうか。ここ数年、自主財源率は低下し、国の交付金や補助金に依存する割合が増え、同時に借金の返済となる公債費比率は増え続けてきました。今後、最悪の展開として財政再建団体への転落という状況も想定されるのでしょうか。市民への説明責任という点から、財政悪化の要因と現状、今後の率直な見通しについて明らかにしてもらいたいと思います。

(2)次に財政構造改革の視点、プログラムの策定について伺います。
市長は、改革にあたり「既存の枠組みの中での見直しには限界があり、構造的転換が図られなければならない」としました。私は基本的な視点として、進める財政構造改革が、市民サービス・行政水準の低下と負担増、自治体労働者の労働条件の切り下げ、コストダウン優先の自治体経営とならないことを強調したいと思いますが、どのように考えますか。
 国が進める「三位一体改革」は、地方の切実な要請とは異なり、現状では三位バラバラで、国のツケを地方にしわ寄せするものにしかなっていません。財務省の財政再建・削減重視の流れは、余分な金はないから地方の面倒はみれない、交付税も補助金も削れるだけ削るから、地方は効率化で乗り切れ、この一辺倒ですし、総務省にしても、自治体よりの姿勢を見せつつも、省として自治体への統制権を維持し続けることに汲々とし、国の地方財源補償が後退する中でもやっていけるように自治体行財政の効率化を図ることを強いています。中央集権から分権・自治への大きな転換期にあって、極論ともなりますが、国主導の「三位一体改革」の行方に振り回されず、自治体としての自立経営を図るとともに、自治体の立場から国の干渉・関与を薄め、自由な自治体運営の幅を広げていくといった基本姿勢が必要ではないでしょうか。
 国に対し、国と地方の財源配分の再分配、すなわち例えば地方所得税方式の採用、地方消費税の配分割合の拡大などによる地方への財源の移譲、所得税や法人税の累進課税の再強化などを強く求めていく姿勢が問われています。また、補助金の採択用件や対象用件に象徴される国の規制・関与を抜本的に緩和し、地方の自由度を高めていくことも強く求めなければなりません。市長会等を通じ、積極的に問題提起されることを望みますがいかがでしょうか。同時に、財政構造改革を単純な縮小再生産に終わらせないためには、「入を計る」ことが重要です。産業振興・観光振興などによる税収の増を図る検討を積極的に進めるとともに、課税自主権を確立し、法定外課税を活用することを検討してよいのではないでしょうか。もちろん、見境のない財源探しで、とりやすいところから取り立てるようなことはできませんし、受益と負担のバランスに慎重さが求められる課題ですが、市民の理解を得られる方策に着手すべきと思いますがいかがですか。

(3)次に行政評価についてです。
 予算編成にあたり、行政評価はどのように有効に作用したのでしょうか。H16年度の行政評価から、事前評価を取り入れ、合併建設計画事業を含むH17年度の新規事業、9月補正予算分からの新規事業など183事業の評価が実施されています。しかしながら、その結果についてはまだ市民の知るところとはなっていません。ましてや新年度予算においてどのように反映されたのかも不透明です。財政構造改革が必要であるならばなおさらのこと、さまざまな施策事業について、事後及び事前の行政評価をした結果、「こういう風に見直すことになりました」という説明責任が果たされなければなりません。
 今後、第4次総合計画の策定などを見据え、事業の絞込みは避けて通れません。そのためにも行政評価システムの機能強化が必要です。事業評価から政策評価へと進めていく上でも財政構造改革と連動する機能強化が不可欠となります。さらに肝心なことはそのプロセス・情報が市民に広く開示されることです。行政評価そのものの事務量の増大も避けられないだけに、(以前にも提案しましたが)行政評価課として拡充することを検討すべきだと考えます。

(4)財政悪化・危機をいたずらに強調し市民の不安をあおる必要はありませんが、今日の財政状況についてわかりやすく市民に知らせ共通認識を作っていくことが大切です。同時に市民の自治体行財政への参加・協働関係を広げていくことも重要です。「何でも行政にお任せ」から脱却し、市民自身にできることは市民の協働作業で成し遂げる役割分担の確立です。行政の仕事の下請けにしない自治意識・参加意識の涵養とともに共同体としての地域のつながりが鍵となりますが、栄村の「田直し」「道直し」のように地域住民と市職員が一緒に進める取り組みを参考にしてもよいのではないでしょうか。この役割分担は、国・県・市の役割分担にも言えることです。財政構造改革の中でどのように考えていくのか、伺います。また、長野市版・都市内分権も究極の目標がこの点に置かれてはじめて実を結ぶと思います。役割分担をどのように決めていくのか、基本認識と具体化の道筋について伺います。

3.大きな三番目は公共交通機関を柱とした交通体系の整備・充実についてです。

(1)「長野市バス路線網再編基本計画案」は、パブリックコメントを経て、3月には交通対策審議会で答申化されることになっています。既存バス路線と地域循環コミュニティバス路線、さらにデマンドタクシーを連動・連結させ、バス路線の空白地域の解消を図るとともに、市民が、そして交通弱者とされる皆さんが市内を自由に移動できる交通体系を作り上げていく点で、基本計画の策定には大きな賛意を送るものです。計画に示された交通体系が、市民に理解され、歓迎され、活用される交通システムとして実効性のあるものにしていきたいとの想いから三点質問します。 
 まずその一つは、先行モデル事業として昨年9月にスタートした地域循環コミュニティバスの利用促進のための手立てです。残念ながら利用状況は厳しいものがあります。路線設定の検証とともに、沿線住民への宣伝、沿線商店街との連携など、利用促進に向けた対策が積極的に講じられなければなりません。具体的方策についてどのように考えていますか。
 二つ目は、基本計画の事業化を想定した場合、全体でどれだけの財政負担、言いかえれば投資が必要となるのでしょうか。因みに地域循環コミュニティバスでは、新しいミニ・バスが必要なことから、一路線につき年間およそ1000万、5年間の継続投資により、路線が維持されることになっています。したがって、地域コミュニティバスの全路線運行だけでも年間約1億円が必要です。絶えず費用対効果の検証が必要であることは、論を待ちませんが、バス事業者との協力・連携が不可欠な事業だけに、市民の足を守る持続可能な事業としていかなければなりません。また、公共交通を担う事業者にとって企業としての社会的責任、市民の満足度に張り合いが持てる事業にしていくことも必要です。いかがでしょうか。
 三つ目は、公共交通機関の利用度を高め、よって市民の利便性を高めていくためには、マイカー利用の抑制・規制に踏み込む必要があるということです。このことは、今日、二酸化炭素の排出の抑制、地球温暖化防止といった観点からも、強く求められる課題となっています。混雑時・イベント時において採用されているシャトルバス運行による「パークアンドライド」方式を拡大すること、渋滞緩和策として全国に先駆けてスタートした「さわやか通勤運動事業」を、今度はマイカー利用抑制の点から位置付け直し、市民はもちろん、企業体の理解と協力を求めながら、例えば「公共交通機関を利用する日」を定め具体化することなど、積極的に検討すべきと考えますがどうでしょうか。

(2)加えて、長野市の交通体系を考えたときに、合併町村における市営バスの運行継続、お出かけパスポートに見られる高齢者生きがい対策としての福祉バスの拡充、そしてスクールバス、さらにJR、しなの鉄道、タクシーとの連携を総合して体系的に構築していく必要があります。しかしながら所管はそれぞれに違い、相互連絡がないままバラバラの感が否めません。公共交通網体系の構築にあたり、庁内を横断し有機的に連携できる「連絡協議機関」の設置を図るべきだと考えます。どのように対応されますか。
以上、質問とします。理事者の皆さんの明快な答弁をお願いします。

●《時間の都合で割愛した「交通バリアフリー法への対応について」の部分を掲載します》

 2000年に施行された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化に関する法律」いわゆる「交通バリアフリー法」への対応について伺います。一日の利用者数5000人以上の旅客施設のある市町村は法に基づく基本構想を作成することになっています。昨年6月段階における国土交通省の調査では、対象となる全国562自治体の内、137自治体が作成済み、作成中またはH16年度中に作成予定は35自治体、県内では諏訪市・塩尻市で作成済み、松本市、岡谷市で作成中となっています。長野市ですが、この調査では「時期は未定だが、将来的に作成する予定」となっています。長野駅のエレベーター設置、低床バスの導入など個別にバリアフリーの対策が進んでいること、区画整理事業や再開発事業の計画の進捗状況などがあるのかもしれませんが、体系的・計画的な事業の執行が可能となること、高齢者・障害者の皆さんの目を通した客観的な計画ができること、何よりも公共団体におけるバリアフリー化が促進されるメリットを踏まえ、早期に基本構想の策定に取り掛かるべきだと考えますが、いかがでしょうか。


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