市教育委員会で国交付金の申請漏れ…29億5,700万円余の財源確保に影響

 6月市議会定例会は9日から24日までの会期16日間で開かれます。
 この6月議会に先立ち提出議案等の事前説明を受ける市議会・会派ごとの総会で、とんでもない報告がありました。
 
 教育委員会で、H27~H28年度の継続事業となっている小中学校の改築改修工事や、H28年度に実施する小中学校の新規改築工事、およびH26~28年度に計画する第四学校給食センター建設工事に必要な国交付金の申請手続きがなされず、事業の進捗とその財源確保に重大な影響が発生しているとの報告です。

 H28年度に予定する学校施設の改築改修、第四学校給食センター共同調理場の建設事業費は、総額で48億1530万円で、うち34億5975万円を国交付金4億9870万円と起債(借金)29億6100万円で賄うことにしていたものですが、今年1月に国に申請しなければならない手続きがなされず、国の新年度予算の中で事業採択・予算化されない深刻な事態を招来させたものです。

 5月12日に県からの問い合わせで申請漏れが発覚・確認され、直ちに国に対し追加採択を求めたところ、5月27日に豊栄小学校と東北中学校分の5,720万円の交付金追加採択、4億4550万円の起債採択の内示が得られたとしています。

 それでも、H28年度に計画している西条小学校、七二会中学校、通明小学校、信田小学校、若穂中学校、綿内小学校、北部中学校等の校舎・体育館等の改築・改修工事、第四学校給食センターの建設工事の事業が未採択のまま積み残しとなっています。

 市教育委員会では、県をはじめ県選出国会議員等を通じ、追加採択されるよう働きかけを強めているとする一方で、6月定例会に予定していた第四学校給食センターの財産取得議案を見送るとともに、事業の延期を含め再検討せざるを得ないとしました。

 H29年4月オープンを予定していた第四学校給食センターは、最悪の場合1年間の延期を見込まざるを得ないとする苦渋の報告です。
 また、学校施設の工事は、国の追加採択がなされない場合は、市の一般財源(市費)を投入し市単独事業として実施せざるを得ない状況も想定され、財政計画にも大きな影響を及ぼします。

第四学校給食センター建設工事の現況。来年4月にはオープン予定だったのだが…。

第四学校給食センター建設工事の現況。来年4月にはオープン予定だったのだが…。


 学校給食センターは第四センターを整備後、第一センターを改築、その後、第三センターを廃止し、三つのセンターで運営する計画となっています。
 また、アレルギー食対応も、第四センターの整備に伴い、順次進める計画になっていたものです。

 来年4月の第四センターオープンに向け、豊野の共同調理場の廃止・統合、関係小中学校への周知が完了している段階での不祥事。影響は大です。

 そもそも、何故こんなケアレスミスが発生したのか、ということも問題です。
 通常の国庫補助金(交付金)の申請手続きは、新年度に向けて6月に第一次申請、11月に本申請、年明け1月の確認申請をもって完了し、国によって内示決定されるとのこと。

 新年度に向けた国に対する補助金申請は、毎年のルーティンワークと考えられますが、これまでは1月段階の申請で「変更」が伴ったため申請書を提出していたそうで、今回は「変更」がなかったため申請の必要がないものと受け止めていたことが原因としています。

 いずれにしても、事務上のケアレスミスが市政執行上の重大問題を惹起させたということです。

 国の補助金申請はそれぞれ担当課で行われているとのことですが、担当課への申請手続きの徹底と財政部を含めた二重のチェック体制を構築し再発防止を図ることがまずは必要です。

 国が追加採択をどこまで許容してくれるかに期待をつないでいますが、熊本・大分地震への災害支援が優先される中、予断を許さない状況にあります。
 今後の推移に目が離せません。

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