9月市議会定例会、8月7日に行った質問の原稿をアップします。前向きな答弁もありましたが、平行線のままの課題も…。
今任期中の最後の質問です。11分の質問時間では、集大成というわけにはいきませんが、安茂里での認知症の方の行方不明から改めて推進が求められる認知症施策、そしてこれまで質問で取り上げてきた課題の顛末をテーマにしました。
後ほど、市側の答弁を含め、まとめて報告します。
1.認知症対策について
(1)7月25日午後から安茂里・犀北団地にお住いのHさんが行方不明のままとなっています。81歳の女性で、要介護度2、認知症です。過去、徘徊と思われる行動で、数回に渡り保護された経験をお持ちです。
行方不明以来、防災無線による情報収集、ご家族、地元住民による懸命な捜索活動が続けられましたが、有力な目撃情報が無いまま推移。ご家族の強い要望で消防団に捜索活動を依頼、30日には、消防団をはじめ、消防署、警察による大規模な捜索が行われましたが、残念ながら発見に至りませんでした。関係者の皆さんには改めて感謝申し上げるものです。ご家族のつらい心情は察するに余りあります。早期発見に一縷の望みを託しているところです。
(2)さて、H24年段階では、我が国の認知症の人の数は約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計され、軽度認知障害(MCI)と推計される約400万人と合わせると、65歳以上高齢者の約4人に1人が認知症の人またはその予備軍ともいわれています。既に高齢者の7人に1人が認知症であるにもかかわらず、地域の介護サービスが追いつかず、深刻な徘徊事故も問題になっています。
市の新しい「安心いきいきプラン21」(H27~H29)では、国の新しいオレンジプランを踏まえつつ、認知症対策として「認知症ケアパスの作成」「認知症地域支援推進員の配置」「認知症初期集中支援チームの設置」「認知症カフェの支援」を柱に取り組むとされています。
(3)市民一人ひとりが、認知症を正しく理解し、だれもが安心して暮らせるようみんなで支えあい、住み慣れた場所で生活が続けられる大切さを共有したいと願います。
安茂里での徘徊・行方不明を踏まえ、まず3点質問します。
一つに、徘徊高齢者家族支援サービスとして、市ではGPS機能付き端末の購入、維持経費の一部を助成する事業を実施していますが、その利用状況と課題、今後の対策についてどのように考えているのか。
二つに、大牟田市をはじめ、先に福祉環境委員会で視察した北九州市などの取り組みから、「徘徊高齢者等SOSネットワークシステム」の構築や「捜索模擬訓練」への取り組みが大切であると考えますが、いかがか。
三つに、認知症への理解を深めるとともに重大な徘徊事故を防止するため、医療・介護分野、消防、警察はもとより、商工会議所、郵便局、金融機関、交通機関、小売業の代表らによる「認知症施策推進会議」、長野市版オレンジ会議的な組織の立ち上げ、官民一体の取り組みは考えられないか。
(4)認知症疾患に対する医療的支援として、市民ネットでは、長野市民病院に認知症疾患医療センターを整備するようH25年度から予算要望してきています。6月議会では、県や医師会等の関係機関に北信地域における設置を打診していきたいと答弁されていますが、積極的な働きかけによる早期実現を求めるところです。また、認知症初期集中支援チームの増設について、認知症相談件数や対応の状況を見ながら検討するとされていますが、それぞれ、市としての構えと今後の見通し等について伺います。
2.公共施設マネジメント指針について
(1)公共施設白書を踏まえ、「将来世代に負担を先送りすることなく、よりよい資産を次世代に引き継ぐ」ことを基本理念とする「公共施設マネジメント指針」を策定し、今後20年間で公共施設の総延床面積で20%削減することを打ち出しました。
聖域なき20%縮減とされながら、1割を占める五輪施設が先送りとされている点や、施設分類ごとの見直しの優先度・重要度の考え方が希薄な点等、課題は残されていると考えていますが、問題は、公共施設を縮減・見直してもなお、市民・住民の理解と合意のもとに質の高い住民サービスが如何に維持されるのかということにあります。
いよいよ、来年度中を目途に、第3ステップである「公共施設再配置計画」、「長寿命化計画」の策定段階に移行します。
(2)私はこの間、公共施設の見直しは、市民生活に直結する問題であるだけに、市民の共通認識と理解が不可欠であることから、施設白書の作成段階や再配置計画の策定段階において「市民とともにつくる白書、市民とともにつくる再配置計画」を求めてきました。(2012.9月議会)
施設の複合化・多機能化・集約化など、地域コミュニティの核となる施設の再構築に向け、「市民とともにつくる」市民参画の仕組みを作り、例えば市民が一定の協議権・決定権を持ってまちづくりを進めていくことが重要であると考えます。
諮問機関である「公共施設適正化検討委員会」とは別に、地域ごとに市民参画による「(仮称)公共施設見直し市民委員会」を設置するなど、再配置計画の策定における市民参画と市民が協議し決定できる仕組みづくりについて、市長に考え方を伺います。
(3)指針では、「最初の10年間の第1次計画は、推進力となる戦略的かつモデル的な再配置を検討する」とされています。戦略的、モデル的再配置の対象施設は、何を基準にどのように絞り込まれるのでしょうか。
例えば、篠ノ井市民会館の廃止を伴う支所・公民館の複合化、北部市民プールの廃止を伴う皐月保育園の幼保連携型認定こども園化は、モデル事業という位置づけなのか。篠ノ井市民会館の廃止、市民プールの廃止という大きな問題について、地域住民の合意形成はどのようになされているのか。当該地域の住民の意見はどのように集約・反映されるのか。
それぞれについて伺います。
(4)全庁的マネジメント組織について。再配置計画は、多極ネットワーク型コンパクトシティ、そして小さな拠点づくりを目指すとされる都市計画マスタープランの改定、立地適正化計画と、公共交通ビジョンを踏まえた地域公共交通ネットワークの再構築と連動・連結させ、位置付けることが重要です。統合部署の第一歩として「公共施設マネジメント推進室」が設置されていますが、全庁的・総合的を目に見える形にすするため、例えば「公共施設マネジメント推進局」の設置であるとか、部局横断の「公共施設マネジメント推進プロジェクト」による推進軸を立ち上げることを提案するがいかがか。
(5)2013年の3月議会で、公共施設白書の作成にあたり、将来的な公共施設の維持管理に向け「基金の創設」を提案し、「検討する」旨、答弁されてきました。指針の中で、新たな特定目的基金「公共施設等総合管理基金(仮称)」を創設する方針が打ち出されました。
ようやく形になってきたものと受け止めていますが、内容及び開設時期がイマイチ不透明です。未利用の土地・建物の売却代金や貸付料を積立金の原資とするようですが、財政調整基金等も活用し、特定目的基金を来年度にも開設することを求めたいと考えますが、具体的な検討状況を伺います。
3.市立長野高校の中高一貫教育の導入について
(1)私は3月定例会において、中高一貫校化に対する様々な疑問を提示し、「義務教育課程である小中連携、小中一貫教育こそが喫緊の課題であり、市立長野高校の中高一貫教育は拙速ではないか」と質問しました。当時の教育長は、「小中一貫も中高一貫もどちらも重要なミッションである」と強調したうえで、「中高一貫校の学校目標やカリキュラム、施設内容等を具体的に盛り込んだ教育計画に理解をいただくまでは、当初予算案に盛り込まれた校舎改築の実施設計に入らない」と答弁し、議会や市民の理解を条件とする姿勢を示しました。
(2)私は、市民の理解、合意にもっと心を砕くことを強く要請するとともに「Q&A」の作成・周知による取組等も提案しました。
今日的な、教育計画の検討状況、議会・市民の合意形成に向けた教育委員会としての取り組み状況を伺います。
また、H29年4月の中学校開校の基本計画を変更する考えはないのか、伺います。
現在の小学校5年生が最初の対象となります。子ども達が振り回されることがあってはなりません。合意形成がないまま突き進むのか、理解と合意を尊重し先送りを決断するのか、二つに一つが問われていると考えます。見解を伺います。