4月23日付のブログ「広がる東洋ゴム免震偽装、そして市庁舎・芸術館への対応の『今』」の続報です。
24日付で信濃毎日新聞が一面トップで報じましたが…。
東洋ゴム工業の免震偽装により揺れている「新庁舎・芸術館の免震装置」について、市側は27日の市議会総務委員会で「90基の免震装置をブリヂストン社製で全面交換」する方針を公式に示しました。
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市の対応の基本的な内容は、既に報告したとおりですが、取り換え工事に「相当な期間を要する」とされた部分は、精査中のためか、説明資料からは割愛されています。
【市の説明資料より…一括PDF版】
「資料1-1東洋ゴム工業(株)による免震材料不正に係る経過」
「資料1-2免震ゴム取替えにかかる検討の進捗状況」
「資料1-3免震ゴム取付作業等の写真」
*150427総務委員会資料
庁舎・芸術館建設事務局は、「現在、ブリヂストン社(以下BS社)製の免震装置の発注に向け、BS社で製作図等を作成している」段階で、「製作図等の承認を経て発注となり、この時点で製品の納期が明らかになる」としました。現段階では納期は未定としています。
また、取り換え工事の施工方法、施工に要する時間等については「精査・検討中」であるとしています。
しかし、取り換え工事の長期化は必至で、「建物の仮引渡し後、つまり開庁(開館)後に取り換える場合」を想定し、「庁舎・芸術館の運営上の検討」もされていることから、11月までに免震装置の取り換え工事が完了し、名実ともに「11月竣工」の予定は見送らざるを得ない状況にあるとみられます。
免震装置の取り換えが、庁舎・芸術館の建物の完成後や開庁・開館後にずれ込んだ場合は、建築基準法に基づく「検査済証」が受けられないため、「仮使用申請」をし、「仮使用」の状態で工事を進めることも検討するということになっています。
23日付のブログで懸念事項とした「免震装置稼働の空白時間」は、基本的に生じないとのことです。取り換え工事は1基か数基毎に行うことになり、取替中の免震装置は稼働しないものの、他の装置とのバランスを取り全体的には免震が機能するよう工事を進めることになるようです。従って、免震上の構造計算など、バランスを取った工事の進捗に技術が問われることになるということです。ジャッキアップもミリ単位になりますから、かなり神経質な工事のようです。
総務委員会では、前田・飯島JVが東洋ゴム工業製の免震装置を採用した責任を問う意見や、市長名で前田・飯島JVに要請した「工期内の竣工」や「発生する経費はJVと東洋ゴム工業の協議において負担」について、JV側からの公式な回答を得ること、東洋ゴム工業(株)が経営破たんした場合を想定しての対応を図ることなどの意見が出されました。
また、免震装置の取換工事ができる事業者は限られているため、事業者選定を急ぐこと、前田・飯島JVに早めの対応を求めることも指摘されました。
下の写真は総務委員会の資料より。
因みに、2年半がかりの長野県庁本館棟の耐震補強工事では、いわゆる「いながらリニューアル工事」で免震装置等が取り付けられました。請負業者は「鹿島・北野建設共同企業体」でした。
鹿島建設や清水建設などスーパーゼネコンでは、免震装置の設置・取替の専門の技術者養成を図っているとの話も聞きます。
ゼネコンといえども、「大手」と「準大手」の違いが表れてくるということでしょうか。