長野市議会では7日、新年初めての会派合同会議が開かれ、加藤市長があいさつするとともに、懸案となっている子どもの医療費助成=福祉医療費の給付事業拡大をはじめ、昨年12月の降雪に伴う停電被害対応や新幹線延伸・善光寺御開帳対策プロジェクトにおける「門前文化の魅力発信」事業の展開、第三次長野市男女共同参画基本計画の策定などについて、市側から説明を受けました。
加藤市長は、5日の仕事始め式で、本年のキーワードを「共に夢に向かって挑戦」とし、3月の北陸新幹線(長野経由)金沢延伸や4月からの善光寺御開帳などを長野市にとってのチャンスと捉え、みんなで力を合わせてやっていこうとあいさつした旨を報告、市議会の協力を求めました。
祭り好き、賑わい好きの加藤市長らしい年頭の言葉です…。
新年を迎え、課題が山積する長野市政ですが、懸案となっていた子どもの福祉医療費の中学3年生までの拡大について、市の対応方針が示されました。
トピックスとして報告します。
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長野県…「入院」のみ支援対象年齢を拡大
長野県が12月25日に「子育て支援戦略」を発表し、第3子以降の保育料軽減に取り組む市町村を支援するほか、子ども医療費助成のうち、入院についてのみ対象を「小学3年生まで」から「中学校卒業まで」に拡大する方針を示したことを受け、県都長野市の対応を注目していたのですが、残念ながら、県の新たな支援スキームを超えるものとはなっていません。
県の医療費助成では、新しい支援戦略でも「通院」については「就学前まで」を拡大していませんから、中途半端さが否めません。
長野市…「入院」は中学卒業までに拡大
入院については、「比較的費用負担が大きい」ため、H27年4月診療分から、対象年齢を「小学6年生まで」から「中学校卒業まで」に拡大することにはなりました。社会福祉審議会の議を経て新年度予算に盛り込まれます。
中学1年生から3年生までの給付見込み額は850万円で、内2分の1が県から助成されることになります。市の単独事業分は425万円の増加に留まるものです。
「通院」の対象年齢拡大は先送り
通院の対象年齢拡大は「所得制限の導入を含めさらに検討」と先送りです。市側は所得制限のラインを1年間かけて検討しH28年度には拡大したいと考えてはいるようです。
通院の医療費助成を中学卒業までに拡大すると約1億円必要とされるものですが、子育て支援先進都市を標榜するのであれば、捻出できる、否、捻出すべき財源でしょう。
子育て支援に関しては、メリハリのない予算措置といわなければなりません。
所得制限を設ける場合に、どこをラインとするかは難しい課題です。子育て世帯を広く支援する趣旨から考えれば、所得制限なしで即時拡大することが求められています。
精神障害児(18歳未満)の所得制限を廃止
障害児(18歳未満)の福祉医療については、身体障害者手帳(1・2・3級)、療育手帳(A1・A2・B1)所持者では、すでに所得制限を撤廃済みで、新たに精神障害者保健福祉手帳(1・2級)所持者についてもH27年4月診療分から所得制限を廃止するとしました。
県の支援スキームに合わせたもので、2分の1が県から助成されます。
子育て支援に求められるもの
一番は子育て世帯の経済的負担を軽減することです。入院や通院の医療費助成をはじめ、保育料等の軽減、児童センター利用料の無償継続なども必要です。
そのうえで、子育てと仕事の両立を支援すること、子育てに関する相談機能を充実すること、発達障害が心配される児童・保護者への支援を充実すること、若い子育て世代の市内の移住・定住を促進できるよう、雇用や住宅などの生活基盤を拡充整備することなどの課題が考えられます。
県の子育て支援戦略の隙間を基礎自治体である長野市がキチンと埋める視点を持ちつつ、しっかり取り組みたいテーマです。