長野地区憲法擁護連合から提出された請願を紹介します。6月市議会に向け県護憲連合が県下で取り組んでいるもので、この請願の採択が広がっています。
「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」とする政府見解の堅持を求める請願
5月15日、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は報告書を提出し、「我が国と密接な関係にある外国に対して、武力攻撃が行われ、その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときには、我が国が直接攻撃されていない場合でも、その国の明示の要請または同意を得て、必要最小限の実力を行使して、この攻撃の排除に参加し、国際の平和及び安全の維持、回復に貢献することが出来るとすべきである」と「集団的自衛権」行使を容認する見解を明らかにしました。これを受けて、同日、安倍首相は、歴代政府が積み上げてきた「集団的自衛権」行使は憲法上容認されないという見解を変更し、容認するという「基本的方向性」を発表しました。
私たちは、アジアで2000万人以上、日本で310万人の死者を生み出した、先のアジア・太平洋戦争の深い反省から、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」(憲法前文)、「国民主権」「戦争の放棄」「基本的人権の保障」を三大原理とする日本国憲法を制定して戦後の歩みを始めました。
そして、「憲法第9条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解し、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」との見解をまとめ、歴代政府において踏襲されてきました。さらに、PKO協力法の制定にあたっても、国際協力において海外における武力行使に極めて抑制的であることで、「戦争しない国」として世界の日本への信頼を得てきたのです。
集団的自衛権の行使を「限定的」であれ憲法解釈の変更で認めることは、憲法第9条の恒久平和主義を放棄し、海外における武力行使の道を開き「戦争する国」へと大転換を図るものに他なりません。同時に、憲法が定めるわが国の根幹を内閣の一存で変更することは、憲法が国民の自由や権利を守るために政府を縛る規範であるという立憲主義を否定するものといわなければなりません。
そもそも、集団的自衛権の行使を憲法が禁じることで、何か不都合があったのでしょうか。安全保障環境の変化がことさら強調されていますが、集団的自衛権の行使を容認する論拠とはなっていません。「戦争する国」に転換することで北東アジアの軍事的緊張を一挙に高めてしまう危険を顧みることもされていません。
武力によって平和を創り出すことはできません。国際紛争を解決する道は、国際的な人道的経済支援と徹底した平和外交の展開にあります。
私たちは、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」とする政府見解の堅持を強く求めます。
ついては、長野市議会において、国に対し、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」とする政府見解を堅持するよう求める意見書を採択されるよう請願します。