議会質問から➋は、「何故、エムウェーブに次世代エネルギーパークなのか」についてです。
市民等が太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーを身近に体験し、楽しみながら理解を深めることを目的に、3億円の事業費を見込みエムウェーブに次世代エネルギーパークを建設する計画が進んでいます。新年度予算案には基本計画策定や実施設計のため2,050万円の予算が計上されています。
全事業費の内訳は、太陽光発電システムに8,000万円、エネルギー体験館や体験広場の整備に2億2,000万円を見込み、10万人の来場者を想定しています。
◆「期限にとらわれず内容を詰めたい」と軌道修正が図られたものの…
代表質問でも取り上げられた問題で、市側は収支計画の詳細が確定しないことやエムウエーブから屋外に設ける施設の管理が困難である旨の意見もあることから、「今年度中に予定していたプロポーザルの実施時期については期限にとらわれず計画内容をつめたい」と答弁しました。
こうした答弁を踏まえつつ、エネルギーパークの費用対効果や建設場所を吟味し直すため、一旦白紙に戻すことを提案、エムウェーブにエネルギーパークありきの姿勢を質しました。
◆原発を直視しないテーマ設定
まず、次世代エネルギーパークのテーマです。「ポスト震災時代のエネルギーのすがた」をメインテーマにしていますが、福島原発の事故とその後を直視しないテーマ設定といわなければなりません。
今日、次世代エネルギーを考えようとすれば、「原子力エネルギー依存から再生可能エネルギーへの転換」こそメインテーマにすべきと主張しました。
市側は、「整備協議会で協議中のため、議員の意見を報告し、参考にしながら進めたい」とするに止まりました。
◆説得力に欠ける市側の説明
「なぜ、エムウェーブなのか。他に建設地を検討したのか」との問いに、市は「オリンピックムーブメント推進の一環として位置づけ、環境オリンピックとして高い評価を得た長野冬季五輪大会の象徴的施設であるエムウェーブに設置してこそ、意義が明確になりアピールできる。オリンピック記念展示コーナーと連携した誘客と運営が可能であり、他の施設に勝る候補地として選定した」と述べ、「エムウェーブありき」で検討してきた経過を説明するのですが、どうも「後付けの説明」で説得力に欠けます。
◆地下熱エネルギーも利用しているからと後追い
「後付け」の最たるものが、Mウェーブの地下熱利用でしょう。これは私も知りませんでしたが、Mウェーブではアイスリンクの氷を作るための冷凍機の冷却と正面玄関前広場の融雪のために地下熱エネルギーを利用しているそうです。「へぇ、そうなんだ」って感じです。また、産業振興ビジョン後期計画にも「Mウェーブ・次世代エネルギーパーク」が書き込まれているそうで(これもノーマークでしたが)、「既に決まっていることなのでご理解を」と強調するのですが、「ちょっと待ったぁ!」と言わざるを得ません。
◆長野の特性に合った再生エネルギーの導入調査結果を見据え再検討を
そもそも、Mウェーブに太陽光発電システムを3億円かけて整備しようとしたものの、国の補助金が得られず断念したことが出発点になっているものです。十分な収支予測も確定しない中、Mウェーブに固執する拙速な計画といわざるを得ません。
しかも、新年度で温暖化対策について長野市の特性に合った再生エネルギー導入の調査研究を始める段階。この調査結果を踏まえ、エネルギーパークに求められるテーマを吟味する姿勢こそが求められます。
◆地域・学校区単位に環境教育の拠点を
身近なところで、子どもたちが再生可能エネルギーに接する機会を増やそうとするのであれば、環境教育の観点から、学校施設や地域公民館、児童センターなどに、太陽光発電システムを導入し、地域単位、学校区単位で環境教育の拠点づくりをするほうがよほど効果を上げることができます。
また、バイオマス発電や小水力発電の現地・現場を社会見学コースに組み込むことのほうが、子どもたちへの意識啓発にもつながります。さらには、城山公園や茶臼山動物園に導入する方が、誘客効果を広げられるのではとも考えます。
◆期限も場所もとらわれずに再検討を
「期限にとらわれず計画内容を詰めたい」との答弁がありましたが、場所もとらわれず広く検討し直すことが必要でしょう。一旦白紙に戻し、費用対効果を改めて吟味し直すこと、建設候補地をさらに広く検討し直すことが、賢明な判断だと思います。
次世代エネルギーパーク整備事業の見直しを求める請願が市民から提出されています。議案が付託される経済文教委員会の委員会審査でより議論が深まることを期待したいと思います。