長野冬季五輪のボブスレー・リュージュ競技施設「スパイラル」の存廃問題について、長野市は4日の部長会議で「2018年の平昌(ピョンチャン)五輪後は、冬季は製氷せず休止する」方針を決定したようです。
4日の信濃毎日新聞・夕刊で大きく報道され、夕方のTVニュースでも報道されました。
2月に提出された市公共施設適正化検討委員会の「一部休止」の『提言』に沿った結論です。
市側は、10日に予定されている市議会の各会派総会に報告・説明するとともに、施設がある地元の浅川地区住民自治協議会にも市の方針を伝える考えのようです。
市は、部長会議の様子が大きく報じられることを想定していなかったようですが、3月23日の市長定例会見で「新年度早々の部長会議で、方向性を決定したい」と答えていたことから、マスコミからは注目されていたようです。
議会に対して会派代表者には、一定の方向性が事前に伝えられていたようです。
決定内容は、議会答弁等から十分に想定されていたものですが、地元の皆さんとの間でボタンの掛け違いとならないよう、早急な対応が求められていると考えます。
5日の信濃毎日新聞は、スポーツ庁への取材で、夏季の練習に限定して施設を使用する場合でも、ナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点施設に指定することは「制度上、あり得る」との見解が示されたとも報じました。
また、「そり競技、存続に暗雲」との見出しで、競技関係者の「練習環境が消えることへの危機感が強い」との声を伝えるとともに、ジュニア選手の育成と発掘が課題となるとも報じています。
「夏場使用」についての市としての具体的な検討・協議は、競技団体と詰めながら進められることになりそうです。
私は、3月議会の質問でスパイラルの存廃問題を取り上げ、施設の有効活用の可能性と市民の重い負担を重視し、「一部休止」ではなく「全面休止」とした上で、施設の解体・廃止に向けた計画を練るべきと提言してきました。
夏場に練習施設として存続する方針が、競技団体の選手育成強化策や市の負担の面から、本当に有効な策となるのか、十分な検討が必要であると考えます。
【4月4日・信濃毎日新聞・夕刊より】
長野市は4日の部長会議で、存廃を検討してきた市有のボブスレー・リュージュ施設「スパイラル」について、冬季に製氷せずに「休止」とすることを決めた。1998年の長野冬季五輪の競技会場として整備されて以降、アジアで唯一のそり競技施設として大会や練習で使われてきたが、2018年の平昌(ピョンチャン)五輪後、競技施設としては運営しないことになった。部長会議は冒頭を除き非公開。市は部長会議の内容を明らかにしておらず、スパイラルがある地元の浅川地区住民自治協議会や市議会に報告した後に公表する。
市から意見を求められていた有識者らの市公共施設適正化検討委員会は2月、冬季の製氷は「『休止』とすることが妥当」と市に提言。製氷に多額の経費がかかる一方、競技者数は限られており、「市民の受益と負担のバランス」から「市民の理解が得られない」と指摘していた。この日の部長会議で、市も同様の判断をしたとみられる。
検討委はまた、夏季の競技トレーニングでの利用は続け、地域活性化に向けた活用を地元住民らと検討していくことも求めていた。このため市は今後、夏季の扱いなどを競技団体側と協議する見込み。浅川地区自治協とも、施設の活用策を検討する方向だ。
市の試算によると、施設を現状通り存続させ、国のナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点施設の指定を現期間が切れる18年度以降も受ける場合、市の負担は10年間で21億3千万円。一方、冬場の製氷を休止する場合、製氷のために使っているアンモニアを除去した上で、夏場の管理費などに10年間で1億9千万円、20年間で3億円を見込む。
スパイラルは96年、長野冬季五輪の競技会場として101億円をかけて完成。標高約1千メートルにあり、コースの長さは1・7キロ。完成から20年がたち、更新時期を迎えた設備も多いとして市は16年度、存廃を検討。検討委に意見を求めていた。地元や競技団体からは運営継続を求める声が出ていた。