行政連絡区の代表者=「区長」の呼称を規則に明示

市議会や「活き生きみんなでトーク」(市民会議)において、区長の位置付けを行政上明確にしていないことが、区長の活動に支障をきたしているのではないかと指摘されてきたことから、H27年以来、住民自治協議会からの意見聴取や住自協理事会等において見直し案の検討がされてきました。

10日の会派総会で、「長野市行政連絡区に関する規則」を一部改正し、行政連絡区の設置に関する事項に「行政連絡区に代表者として区長を1人置く」(第3条2項)と定める考えが示されました。

行政連絡区の定義(第2条)
行政連絡区とは、「良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的として一定の区域の住民が主体的に組織する団体」であり、「当該行政連絡区の区域に係る住民自治協議会の代表者の同意を得て、その旨を市長に申し出、市長が告示した団体」であると規定。

市長と行政連絡区の協力関係(第4条)
「市長は、行政連絡区に対し、地区の課題または市と行政連絡区との協力を必要とする事務に関し、協力して取り組むよう求める」

都市内分権の推進を図る観点から、「良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行っている住民の自主的な団体」と位置付けられる住民自治協議会の発足に伴い、H21年度に区長委嘱制度を廃止したことから、「区長」という呼称が消え、区域内住民から選出された「行政連絡区の代表者」という位置づけになりました。

しかしながら、現場では「区長」という呼称がそのまま継続してきていることを踏まえ、位置づけの明確化が問われた格好となっているものです。

この度の見直しは、「区長」の呼称を復活させ規則で明確に位置付けた点がポイントです。

これはこれで「良し」としますが、現実的には、「自治会長」という呼称で対応されている区もありますから、私的にはあまり「呼称」にこだわってきませんでした。

むしろ、住民から選出・付託された行政連絡区の代表であり、住民自治の代表であることが、住民はもとより、選出された区長さん方に認識されるとともに、行政連絡区の代表である「区長」の仕事が明文化されることの方が重要ではないかと考えるからです。

すなわち、規則にある「市と行政連絡区との協力を必要とする事務」が何なのかということです。

地域活動支援課に問い合わせたところ、次の事務一覧が示されました。「長野市行政連絡区に関する規則」の内規という位置づけです。
区長さん方には周知されているとのことです。

《市が個別に行政連絡区と協力し合う事務一覧》

1. 住居表示実施について
2. 防災訓練実施について
3. 自主防災組織設置について
4. 墓地新規設置について
5. 投票所変更について
6. 土木要望のとりまとめ(緊急修繕箇所報告を含む)
7. 市道・林道工事について
8. 上下水道工事について
9. 犬・ねこの適正チラシの配布について
10. 街路樹愛護活動報奨金について
11. 保存樹木・樹林指定について
12. ゴミ集積所設置及び管理について
13. 地区市民遊園地新設・整備について
14. 火災予防運動について
15. トレッキングコース整備について
16. 水門の管理について   …など

「区長」の仕事は多岐にわたり大変です。また、住民自治協議会の総務部会を区長会で構成する地区が多いことから、住自協の構成員としての役割も加わり、大変さはさらに増しています。故に担い手探しに苦労されているのが実態です。

「区長」には、行政連絡区の代表者として市と協力・連携して地区の課題解決にあたる役割、そして自治組織である住民自治協議会の主たる構成員として自治によるまちづくりに向けた役割があります。この二つの役割を住民自治の視点からきちんと整理するとともに、「区長」を支える体制づくりが課題になっているといえます。

住民自治協議会の発足から10年…行政の下請け機関化を批判・懸念する声が住自協の役員の皆さんから強まっています。
しっかりと検証し、住民自治団体としての役割が全うできるような市との対等な協力関係を再構築していくことが問われていると考えます。

【参考】「長野市及び住民自治協議会の協働に関する条例」
    第三期長野市都市内分権推進計画

今回の見直しにあたり、「区長」を条例で位置づける意見もあったそうです。
住民自治協議会のまちづくりに向けた役割を含め、「自治基本条例」の策定を提案し続けてきていますが、この自治基本条例の中に「地域住民の代表者」を明確に位置づけていくことが肝要ではないかと考えます。

住民自治協議会発足から10年といった節目において、議会サイドから検討できないものか、さらに提案を続けていきたいと考えます。

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