9月29日に、長野市立皐月保育園の移転改築の問題で、会派に説明がありました。
経過を簡単に報告しながら、移転先の「今」と課題をお伝えします。
市の拙速な対応で、移転先が暗礁に
県道長野豊野線の改良・拡幅工事により移転を迫られている皐月保育園は、その移転建設用地を巡り、昭和の森公園内の北部市民プールを廃止した跡地に始まり、昭和の森公園内の噴水周辺用地などが検討されてきましたが、市側のボタンの掛け違い、市民合意に対する拙速な対応から、住民や保護者の合意が得られず二転三転し、打開策を見いだせない状況が続いてきました。
東長野病院が誘致を提案、急展開へ
ところが、今年5月19日に、独立行政法人国立病院機構・東長野病院側から病院敷地内にある「すくすく保育園」(院内保育園)と統合する形(園児の受け入れと保育士の雇用継続)で、新皐月保育園を病院敷地内に誘致したいとする提案があり急展開、病院側と基本的な合意が整った経過があります。(ブログでは初めての報告となりますが)
東長野病院からの提案は、市側の窮地を救うもので、議会側としても、昭和の森公園に隣接し、信州型自然保育の理念を実現できること、また病院敷地内であることから園児の健康管理にもプラスになることなどから、何とか軟着陸できるものと受け止めてきました。
下の写真ではわかりづらいのですが、東長野病院と清泉女学院大学との間の敷地となります。
院内保育園「すくすく保育園」との統合が白紙に
しかしながら、9月29日のこども未来部からの説明で、「すくすく保育園」の保護者等から園の存続問題が持ち上がり、病院側が「すくすく保育園」の在園児が卒園するまでの5年間に限り園を存続する新しい方針を決め、9月14日に皐月保育園の建設用地が具体的に提示されるに至っているとの報告がありました。
市側としては、この新しい提案を受け入れ合意し、10月には地盤調査、実施設計の契約を行い、H30年4月の開園を目指したい旨の説明です。
すくすく保育園は、厚生労働省第二共済組合が運営する国立病院内保育園で、㈱ピジョン(本社・東京)に業務委託されているそうです。保育士が6人、在園児は18人で運営されています。病院の医師や看護師の皆さんの児童を預かる院内保育園(認可外保育園)ですが、近隣地域の乳幼児も利用しているとのことです。
入園から卒園まで一貫して利用するケースはほとんどないとのことで、ある意味、特異な運営となっているようです。
「すくすく保育園」在園児の保護者から、「保育士をはじめ保育環境が変わることへの不安」が訴えられたことが背景になっているようです。
病院側の事情尊重しつつ、課題の整理へ
「すくすく保育園」の存続は、いわば院内問題であり、病院側の都合とはいえ、保護者の皆さんの意向に基づく病院の方針変更・決定は尊重せざるをえない状況にあります。
ようやくの打開策が頓挫してしまう道は何としても避けたいところでしょう。市側の事情は理解できます。
説明の折に、とりあえず、いくつかの課題を指摘しました。
一つは、「すくすく保育園」の存続が在園時の卒園までの5年間とされる点で、5年後に統合することになるのか。建設整備する皐月保育園の園舎やグランド及び受け入れ定員等は、5年後を見据えたものになるのかという点です。「すくすく保育園」の保育士の雇用継続も改めて課題となるが、その対応を如何に図るつもりなのかという点もあります。
部長は、「課題になることは認識しているが、病院内の問題でもあり、今後の協議課題である」と述べるにとどまりました。また、職員の雇用の継続については「当初は嘱託職員として受け入れる旨伝えてきているが、現状では明確に答える段階にない」とのことです。
二つは、借地となる建設用地が極めて変形であることについて、市では初めての設置となる公立幼保連携型認定こども園としての整備の理想、信州型自然保育の推進、職員等の研修・実習機能の充実などの新皐月保育園のコンセプトが活かされるのか、という点です。
これについては、「確かに変形であるが、昭和の森公園を活用できる条件は維持されているので、基本的にコンセプトの変更が生じるものではないと考える」としました。
三つは、すくすく保育園と皐月保育園が隣接・共存する形になるが、園交流をどのように図っていくのか、ということです。
部長は、「基本的にこれからの話となるが、しっかり協議していきたい」としました。
9月29日には、皐月保育園の保護者への説明会が開かれているはずです。保護者の皆さん、地域の皆さんの理解と合意は欠かせません。
10月4日に改めて会派総会で説明されることになっています。
もう少し、しっかりと課題を整理する必要があります。
なかなか順調に進まない皐月保育園移転問題ですが、保護者や地域の皆さんの理解を得て前に進むことを願います。