厳しい残暑が続きます。
連日のように大雨警報・注意報が発令されています。ゲリラ豪雨は勘弁ですが、もう少しのお湿りが…です。
熱中症等、ご自愛ください。
さて、長野市では今年度新規事業として、生活保護・生活困窮者世帯の子どもの学習支援、ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援の取り組みを8月下旬から始めます。
子どもの貧困対策の一環として取り組まれるもので、生活困窮者世帯やひとり親家庭の子どもに対し、基礎学力の向上のための学習支援、基本的な学習習慣の習得を目的とする事業で、期待を寄せている事業の一つです。
このほど、8月下旬から始まる「ひとり親家庭の子どもの生活・学習支援事業」の申請状況等について、こども未来部子育て支援課から説明を受けました。
ひとり親家庭子どもの生活・学習支援とは?
➊基本的な生活習慣・学習習慣の習得と学習支援を目的とします。
➋対象者は、児童扶養手当を受給するか、これと同様の所得水準にあるひとり親家庭の小学4年生から中学3年生の児童で、対象世帯は880世帯、1184人の児童。
➌H28年8月からH29年3月までの期間で年35回(週1回、1回2時間以内)の学習支援で、家庭訪問型と学習教室型の2方式。無料です。定員60人を想定し、660万円余の事業費を計上。
➍受託事業者は「株式会社トライグループ」(家庭教師のトライ)で、教室型はトライの教室(篠ノ井校・青木島校・七瀬校・上松校・長野運動公園前校の5カ所)で実施。
受講決定は申請者の33%に留まる
市では、対象者に個別通知し申請を受け付けましたが、申請者が222世帯、286人(小学生120人・42%、中学生166人・58%)に及び、予定していた60人を大幅に上回ったことから、定員を拡大し、抽選の結果、受講決定者は95世帯、95人(小学生38人・40%、中学生57人・60%)にしたとのことです。
学習訪問型が20世帯、学習教室型が75世帯となります。
予想を上回る申請に対し市は、個別通知の効果と受講時間の融通が利くことを理由に挙げていますが、支援を受けられる子どもは希望者の33%に留まっています。
まずは始めることに意義があると思いますが、希望者のニーズに応えられていないことは大きな課題です。
希望者の100%支援を可能に
希望者を限定せざるを得ない背景に、受託事業者であるトライの受け入れ対応の許容範囲があるとも思われます。
子育て支援課は「(希望者にどこまで対応できるかは)来年に向けた課題」としますが、「例えば」として示した検討事例が「対象学年を狭める」とか「回数を減らす」ことでは、事業目的からすれば本末転倒となります。
8月下旬から実施していく中で、訪問型、教室型のそれぞれの課題を拾い上げていくことがまずは重要ですが、申請希望者のニーズに100%応えるために、どんな仕組みを再構築していくかを考える必要があります。
私としては、中学校区単位で公民館を利用する教室型、教員OBや学生による学習支援の方法などを検討していく必要があるのではないかと考えます。厚労省も一つのモデルとして示している方向です。
学習支援の質の確保が課題ともなります。
ひとり親家庭の子どもの学習支援の未来形を目標として設定し、それに近づけていく方策を考え提案していきたいと思います。
このことは、生活保護・生活困窮者世帯の子どもの学習支援にも当てはまります。
生活保護・生活困窮者世帯の子ども学習支援…申し込み1人
市では、生活保護世帯や生活困窮者世帯の小学生から高校生までを対象として、基礎学力の向上のための学習支援や学習の場所・機械の提供などを通じ、高校等への進学や卒業を支援することで、子どもの社会的自立を促し、貧困の連鎖を防ぐことを目的とした事業を今年度から始めています。
保健福祉部の生活支援課が担当するものです。
子どもの貧困対策によりウェイトを置いたもので、学習支援、進学支援、修学支援を目的とします。対象年齢が小学生から高校生までとしていることが特徴です。
支援は、原則月2回で家庭派遣型は1日当たり2時間、施設利用の場合は1日当たり5時間とされます。
この事業の受託者は、「NPO法人プロ家庭教師のネットワーク・アイウィル」と「㈳シルバー人材センター」です。
「アイウィル」では、学習施設型は「ふれあい福祉センター」を利用しています。
生活保護世帯や生活困窮者世帯に対しケースワーカーや相談支援員の面談により制度を周知し、支援が適当であると判断した場合に参加を呼びかけることになっています。
対象者は153世帯、240人で、支援は40人を想定します。ひとり親家庭の学習支援とダブルでの支援は不可とされます。
8月9日の市長定例記者会見の中では、「今のところ、申し込みは1人」という状況です。
制度の周知はまだまだこれからといったところなのでしょうか。
貧困の連鎖を断つ総合的な学習・進学・修学支援へ
長野県では、ひとり親家庭や子どもだけで過ごすことが多い家庭環境にある小学生・中学生を対象にした”一場所多役”の「子どもの居場所」を松本市と飯田市でモデル事業として7月から開設しました。
学習支援、食事支援、悩み相談等を行うもので、30人程度の定員、かなり限定されています。
ただ、考え方としては「ひとり親家庭」、「生活困窮者世帯」を総合的にくくりえる仕組みとなっているのではないかとも推察します。
ひとり親家庭の子ども、生活困窮者世帯の子どもの学習支援を総合的に考え、放課後子ども総合プランにおける児童センター・こどもプラザ等の役割も含めて、より身近な環境で子どもたちの生活習慣支援、学習支援、進学・修学支援の仕組みを構築できないか、考えたいところです。
対象年齢の問題もあります。
また、子どものプライバシー、人権への対応も必要です。
9月議会に向け、豊富化したいと考えます。
ご意見をいただければ幸いです。