2日午後、選挙戦の合間を縫って(?!)、公共施設見直しのモデル地区とされている芋井地区の市民ワークショップに参加してきました。
4回目のワークショップで今回が最終回。
34人のワークショップメンバーが5つのグループに分かれて討議してきた内容を踏まえ、「私たちが考える地区内公共施設再配置案」をまとめ、それぞれ発表する場となったものです。
市議会の公共施設の在り方調査研究特別委員会に所属する市会議員を中心に6人が参加、グルーブ討議にも交えていただきました。
私も所属する特別委員会では、独自に芋井地区の公共施設の視察調査を行いました。所感を含めた全体的なまとめは、別途行いたいと思います。
まずは市民ワークショップ最終回の感想として報告します。
芋井地区の公共施設の現状(飯綱地区の観光施設等は今回の検討から除外されています)は、行政側の資料を参考までに写真でアップしときます。
➡「芋井地区の市民ワークショップ」…長野市公式HPへ
これまでの3回のワークショップでは、第1回で、小学校を中心とした芋井地区の公共施設の現状や人口素意見等の説明を踏まえ「地区の将来、こんな地域をつくりたい」をテーマに。
2回目は芋井小学校第一分校を舞台にして「公共施設でしたいこと」「したいことのために公共施設をどう利用するか」、
3回目では「運用面から見た将来の公共施設の再配置の形」をテーマに、小中学校や支所周辺施設を対象にした「したいこと」「私たちにもできること」、「一部の施設を減らせるとしたら、どこが減らせるか、減らす施設でしたいことは別の施設に移せないか」をグルーブ討議を経てまとめられてきました。
そして、最終回。
5つのグループは、信州大学工学部の皆さんの参加も得て、年代別にグループ分けされています。
再配置案のまとめの発表は、「みんなが安心して暮らせるまちづくり」や「若返れ芋井」、「週末趣味三昧ライフin芋井」「安全性、利便性、雇用、経済性」など、独創的な?コンセプトを含め多彩な内容でした。
共通項は、「安全」「若者」「定住」「住民交流」「地域交流」といったところでしょうか。私自身の所感にすぎませんが…。
各グループの「再配置案」を写真でアップします。
具体的な再配置案では、支所周辺、小学校周辺、第一分校の三つをゾーン拠点として、公共施設の機能面に着目した集約化が共通項で、廃止する施設においてもほぼ共通の傾向となっていました。
小学校に児童センターや保育園を統合・集約、高齢者施設機能の付加、支所に公民館を移設・複合化するなどの案が特徴的です。
支所や小学校のある集落からは離れている第一分校の活用では、雇用につながる民間利用やイベントホール、青少年の家のような宿泊施設といった案が示されていました。
若い世代からは、廃止する施設を「イベント広場」や「駐車場」として跡利用する案が出されていたのが印象的でした。
一方、課題としては「どこまで安全を確保できるか」、「施設間をつなぐ公共交通機関の整備をどうするか」(芋井地域循環ぐるりん号etc.)「駐車場の確保」などが挙げられました。
土砂災害警戒区域のレッドゾーン、イエローゾーン内に配置されている施設をどうするのかが「安全」面から考えて大きな課題に浮上しています。
アドバイザーとして参画している前橋工科大学の堤洋樹・准教授が、公共施設を通して『生活の質の向上』を考えること、他人任せにせず地域全員で考えること、自治体は公共施設の整備方針を明確な根拠をもって住民に説明すること、住民は要望ではなく、自分たちが施設利用を続けられる活動を自治体に示すことをまとめ的に強調し、ワークショップは「公共施設整備の具体的な設計の前に方向性を確認すること」に目的があると整理されていたことが印象的でした。
今回の一連のワークショップの試みと市民手作り再配置案を、具体的な再配置計画づくりにどう活かしていくのか、市民ワークショップの財産を芋井地区内でどう継続していくのか、他の地域にどう広げていくのかなとが課題であると考えます。
行政の責任とともに、地域住民の責任も問われることになります。
ところで、最終回に出席した樋口副市長が、最後の挨拶で、公共施設再配置計画づくりに向け職員に強調していることとして「固定観念にとらわれない柔らかな発想、地域現場を大切にするアプローチ、住民の意識が総意としてまとまることを大切にしなければならない」と述べました。ここまでは全く異論はありません。というか、言うだけではなく、こうした視点をしっかり全庁的に実体ある共通認識にし、公共施設の見直しを進めることが副市長の役割でしょうと言いたくなるくらい…です。
問題はこの後、「支所と公民館の集約化は慎重に考えざるを得ない。長期的な課題ではないか」と述べたことです。行政の答えを示す場面ではないにもかかわらず、市民ワークショップの意見に対し、感想を超えてそれを否定するかのような発言は、「地域現場を大切にする姿勢」といえるのでしょうか。少なくとも市民ワークショップの意義を逸脱するものといわざるを得ません。
それにしても、ワークショップに参画された芋井の皆さん、大変ご苦労様でした。
最終回しか参加していませんので、不謹慎な言い方になるかもしれませんが、面白かったです。
同時に、一つの行政区が広い中山間地域における公共施設のあり方、再配置の難しさも痛感しました。
私自身は、公共施設の見直しにあたり、市民との情報共有と市民合意の形成を重視してきています。市民の理解が不可欠だからです。
市民ワークショップの取り組み、如何にして活かすのか、いかにして継続していくのかが最大の課題です。