オスプレイ配備・飛行訓練で防衛省交渉

 26日午後、米軍機オスプレイの配備・飛行訓練問題で防衛省・外務省交渉が衆議院第一議員会館で行われ、長野県護憲連合の立場で交渉に参加しました。
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 「平和フォーラム」と「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」で取り組んだもので、昨年から通算で3回目の交渉。

東日本連絡会の湯浅一郎・代表世話人から防衛省担当者に申し入れ書を提出。

東日本連絡会の湯浅一郎・代表世話人から防衛省担当者に申し入れ書を提出。

CV22オスプレイ横田基地配備の撤回、日米地位協定の抜本改定などを要請

 要請事項は4点で、➊米軍機CV22オスプレイ及び特殊作戦コマンド(AFSOC)の横田基地配備計画を撤回するよう米国政府に要請すること、➋千葉県木更津駐屯地における米軍及び自衛隊エスプレイの整備工場の計画を止めること、➌沖縄県「普天間飛行場代替施設」という名の辺野古新基地建設計画を撤回すること、➍5月19日に沖縄県で発覚した米軍属による女性死体遺棄事件に関し、根本的な原因をなくすため、沖縄を中心に配備されている在日米軍基地の整理縮小・撤去、及び日米地位協定の抜本的な改定につき早急に検討することなどを求めました。

 外務省・防衛省側は、「日米同盟の抑止力の観点から必要とされる施策であり、日米安保条約に基づき対応しているもの」との姿勢を何度も強調し、平行線のまま(これは当然にして想定内答弁ですが)。
 日米地位協定の見直しについては、目に見える形での改定が行われており、今後もあるべき姿を追求する」と述べました。治外法権を是正することが「あるべき姿」だと考えるのですが、具体は最後まで明らかにしませんでした。

主眼はオスプレイの運用に関する意見交換

 要請事項はいわば「入口」で、主眼は、オスプレイの運用に関する意見交換です。

衆議院第一議員会館、国際会議室で

衆議院第一議員会館、国際会議室で


 オスプレイという新型輸送機の安全性、横田基地に配備されるCV22の運用、長野県を含むHエリア(ホテルエリア)における訓練内容、関係自治体への情報提供、日米合同委員会合意の順守など30項目にわたる質問に基づく意見交換です。

「米軍の運用に関わる問題は差し控える」と情報開示に自ら蓋

 重要と思われる答弁をピックアップすると…

➊オスプレイの安全性について…これまでの事故について米国は「人為的操縦ミスであり機体そのものの安全性は確立されているとしている」「開発段階からチェックしているため、米側の報告書は信頼に足るものである」と強調。つまり、米国が安全と言っているから安全なんだという理屈です。米国内専門家が指摘する機体の欠陥については、「一部の意見」と退け、安全性に目をつむり欠陥が隠蔽されているかもしれないという問題意識を持ちながら安全性を追求する姿勢は微塵もありません。

➋オスプレイの事故率について…これまで防衛省は長時間運用される中でオスプレイの事故率は下がる」としてきていますが、実際は低減しておらず、重大事故が続いています。こうしたことからか、「事故率は安全性をチェックする一つの目安に過ぎない」との考えを示しました。これは、従来、防衛省が示してきた「事故率は機体の安全性を代表する重要な指標」(2012年防衛省見解)を完全に否定する詭弁です。この違いを追及すると防衛相担当者は「説明するのは困難」という始末です。

➌横田基地配備のCV22の訓練内容について…ホテル地区では「飛行訓練及び夜間飛行訓練が行われる」と説明を受けているが「低空飛行訓練が行われるか否かは説明を受けていない」とする一方で、具体的な内容を追及しても「訓練内容は米軍の運用に関わることで承知していない。日米合同委員会の合意は順守される。公共の安全には配慮されている」との答弁を繰り返すだけです。

➍横田基地周辺及び関係自治体への情報提供について…「米軍からの情報提供があれば自治体に説明する」とし、主体的に情報開示を米軍側に求める姿勢は示していません。「米軍の運用に関わる問題は(答弁を)差し控える」との姿勢に象徴されます。「自治体の要望については適切に対応したい」としていますが、「米軍の運用にかかわる問題は承知していない」あるいは「差し控える」という姿勢では、関係自治体、住民の不安や不信、疑問に応えることにはならないといわなければなりません。
 米軍と自治体・住民、どっちを向いて仕事しているのかと言いたくなります。

長野県の要請に訓練内容示さず

 長野県護憲連合では、4月19日に佐久市や小諸市を訪問し、オスプレイの配備・飛行訓練問題で申し入れを行いました。県知事宛も準備していたのですが、熊本・大分地震への災害支援を優先させたいとの県側の意向で延期しています。

 長野県では、CV22オスプレイの訓練空域下にある関係17市町村からの意見を取りまとめ、北関東防衛局に訓練内容の情報開示を求めていますが、訓練内容の具体は明らかになっていません。
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 北関東防衛局は「(訓練内容について)Hエリアで行われている米軍の飛行訓練と同様の訓練が想定される」と回答したと伝えられています。
 米軍艦載機等の飛行訓練を指しているものと思われますが、佐久地域での度重なる轟音被害に対し、防衛局は米軍機か否かさえも詳細を明らかにしていません。
 「Hエリアにおける米軍の飛行訓練」とは何なのか、具体的な説明を求めていくことが必要です。

 6月は入ってからになりますが、県への申し入れを調整するつもりです。

沖縄での人命・人権蹂躙…日米地位協定の抜本改定へ

 沖縄県における米軍属による女性殺害という凶悪事件の発生に、沖縄県民から激しい怒りの声が噴出しています。

 沖縄県議会は5月26日の臨時議会で「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書」を採択しました。日米両政府による遺族及び県民に対しての謝罪と完全補償を求めるとともに、在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小、日米地位協定の抜本改定などを国に求める内容です。

 日米首脳会談では、再発防止策の強化が謳われましたが、綱紀粛正と再発防止を何度求めても問題は解決していません。米軍関係者による性犯罪は後を絶たず、女性の人権が侵害され続けているのです。

 米海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な縮小・整理、米軍人等を特権的に扱う身柄引き渡し条項を含む日米地位協定の抜本改定は、待ったなしの緊急課題です。

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