5月3日は69回目の憲法記念日でした。
安保関連法=戦争法が施行される中、まさに憲法の岐路に直面する憲法記念日です。
アベ政治の暴走を止めようと県内各地で多彩な取り組みが展開されました。
長野市内では、県護憲連合が街頭宣伝、信州護憲ネットで「市民の憲法講座」が取り組まれました。
市民の憲法講座では、安茂里在住の坂田雪男さん(92歳)に「満蒙開拓団、シベリア抑留の体験」を語ってもらいました。
社会民主党の「声明」、長野県弁護士会の「会長談話」を掲載します。
2016年5月3日
憲法記念日にあたって(声明)
社会民主党
1.本日、69回目の憲法記念日を迎えました。軍国主義時代の反省と教訓から生まれた日本国憲法は、権力の暴走に対する抑止力であるとともに、国民生活や福祉を向上させる指針となってきました。また、日本が平和国家として歩むことを決意した不戦の誓いとして、世界各国との信頼を築く礎となってきました。しかし今、憲法の三原則である「国民主権・平和主義・基本的人権の尊重」が形骸化され、憲法破壊が公然と進められています。社民党はこれまで一貫して、「平和主義・憲法擁護」の政治信条の下に改憲勢力と対峙し、国民の「いのちと暮らし」を守る活動に邁進してきました。これからも憲法改悪を許さず、憲法の理念が活かされた政治の実現に邁進することを、憲法記念日にあたり改めて誓います。
2.3月29日、多くの憲法学者や国民が憲法違反として反対してきた「戦争法」(平和安全保障法制)が施行されました。安倍首相は「さらなる理解が得られるよう丁寧な説明に努める」と述べてきましたが、社民党はじめ野党が提出した戦争法廃止法案の審議を拒否するなど、説明責任を果たそうともせず、南スーダンPKOへの新たな任務付与やACSA協定の参院選後への先送りを図りつつ、「戦争法」の既成事実化を図っています。社民党は、「2000万署名」や「戦争法」違憲訴訟などに取り組む多くの市民の皆さんとともに、「戦争法」の発動を決して許さず、「戦争法」廃止の実現と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回に全力を挙げます。
3.さらに安倍政権は、明文改憲に突き進もうとしています。昨年8月のいわゆる「安倍談話」では、「次世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」として、加害者責任に終止符を打ち、米国に追従した武力による「積極的平和主義」を進める方向性を改めて打ち出しています。また安倍首相は、予算委員会において、憲法9条を改正すれば「集団的自衛権の行使を全面的に認める」、「在任中に憲法改正を成し遂げたい」と述べ、「戦争できる国、する国」への転換をめざす意思を表明しました。さらには、災害を口実にした「緊急事態条項」の新設が画策されています。自民党改憲案では、武力攻撃や災害が起きた場合に首相が閣議で「緊急事態」を宣言すると、法律と同一の効力を有する政令の制定が可能となり、国民は国や自治体の指示に従う義務が生じます。「緊急事態」に名を借りて首相に権力を集中させ、三権分立も国民の基本的人権も地方自治も民主主義も否定する「独裁条項」にほかなりません。
4.「戦争できる国」へと舵を切る安倍政権の暴走に対し、世代や立場を超えて結集した「新たなデモクラシー」とも言える国民の怒りの炎はさらに燃え広がっています。この動きは「戦争法」反対だけではなく、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」や再稼働阻止・脱原発をめざす「さようなら原発」の闘い、TPP参加反対の闘いをはじめ、労働法制改悪・消費税増税・社会保障改悪による格差・貧困の拡大に対する怒りの輪も広げています。安倍政権のめざすものが「国民」より「国家・企業」の利益を優先するものにほかならないということを既に多くの国民が見抜いています。憲法の「生存権」を侵害し、「幸福追求権」「勤労権」「教育権」「思想・良心の自由」「表現の自由」など、国民に保障された諸権利を奪い、何より大切な「いのち」を切り捨てる暴走政治をなんとしても終焉させなければなりません。
5.私たちの「いのちと暮らし」は憲法によって支えられ守られているという、これまで当然のこととしてあった前提を、安倍政権の意のままに変えさせるわけにいきません。今夏の参院選は、平和憲法の岐路がかかった極めて重要な選挙です。社民党は、日本国憲法の貴重な価値を再認識しはじめた人々、平和を愛し憲法改悪に反対する多くの人々とともに全力で闘います。世界に誇れる日本国憲法が「栄えある70周年」を迎えることができるよう、皆さんと手を携えて改憲の流れを押し戻していきます。
以上
69回目の憲法記念日に寄せる会長談話
2016年(平成28年)5月3日
長野県弁護士会
会 長 柳 澤 修 嗣
昭和22年5月3日に施行された日本国憲法は、今年、69回目の憲法記念日を迎えた。日本国憲法は、わが国が平和的に繁栄し、国際社会から高い信頼を得るのに重要な役割を果たしてきた。しかし、今、日本国憲法は、大きな試練にさらされている。
昨年9月19日、平和安全法制整備法及び国際平和支援法(いわゆる「安全保障関連法」)が成立し、本年3月29日から施行された。安全保障関連法は、歴代内閣が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を容認し、外国軍隊に対する後方支援を拡大し、自衛隊の海外における武器使用権限を拡大するものである。安全保障関連法は、憲法の定める恒久平和主義に反し、違憲無効である。さらに、安全保障関連法の審議に先立ち、閣議決定により憲法9条の解釈を変更し、国会においても、十分な審議を尽くすことのないまま、多くの国民が反対する中で、拙速にこの法律を成立させたことは、立憲主義に反するものであって、政府の姿勢は、まさに憲法を蹂躙するものである。当会は、安全保障関連法の運用・適用に反対し、その廃止を強く求めるものである。
さらに最近、政府関係者からは、緊急事態条項や憲法9条の改正に向けた発言もなされ、今や、憲法改正が、政治課題にのぼろうとしている。
先の大戦により、わが国は、国民が存亡の危機に陥った。国土は焦土と化し、310万人を超える国民が犠牲になった。戦争の生々しい傷跡が残る中で制定された日本国憲法は、「日本国民は、・・われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と宣言した(憲法前文)。戦後、70余年を経て、戦争を経験した世代は少なくなり、またわが国をとりまく国際情勢も変化しているが、私たちは、憲法に込められたこの崇高な理想を心に刻む必要がある。
さらに、憲法は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定している(憲法13条)。私たちが、自分の信ずるところにしたがい、豊かで幸福な人生を全うするためには、私たち一人ひとりが個人として、最大限尊重されなければならない。
立憲主義は、人類が多くの過ちを繰り返し、苦難の歴史を経た結果、確立した近代憲法の基本理念である。憲法は、国家権力のあり方を規定するものであり、そのあり方を決めるのは、主権者である私たち国民である。私たちは、歴史を知り、わが国を取り巻く情勢を正確な情報に基づき冷静に分析し、そして、どのような国を目指すのか深く考えなければならない。憲法に何を託すのか、問われているのは、私たち自身である。
本日の憲法記念日を、憲法の意義について改めて認識するとともに、これからの国のあり方を考える機会としたい。
また、憲法が施行された翌々年(昭和24年)に制定された弁護士法は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と規定し(第1条第1項)、「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」と規定している(同条第2項)。私たち弁護士は、憲法から負託されたこの使命を改めて自覚し、その職責を果たすため、誠実に努力しなければならない。
言うまでもなく戦争は、国民の尊い命を危険にさらし、その生存を脅かすものであり、最大の人権侵害である。当会は、弁護士の使命を果たすため、これからも日本国憲法の基本理念を堅持し、戦争のない平和な社会を守るための取組に全力を尽くす所存である。
以 上