14日夜発生した熊本市の震度7の巨大地震は衝撃です。
犠牲となられた皆さんに深く哀悼の意を表します。
今週末、九州地方は雨の予想。被害が拡大しないことを願うばかりです。
見直し迫られた皐月保育園の移転改築方針…何を教訓とするのか
公共施設マネジメント指針の具体化の「試金石」とされた北部市民プールの廃止を伴う皐月保育園の移転改築計画の方針転換は、市民合意の形成という点で大きな課題を残しています。
北部市民プールの廃止については反対意見が大勢となる中、現在は、皐月保育園の移転改築場所を昭和の森公園内の北部市民プールから公園エントランスの噴水周辺を候補地に変更し、地域住民との協議が続けられています。
しかしながら、アクセス道路の安全確保が大きな課題ともなっています。
施設の削減ありきの余りにも唐突な提案から、大きな見直しを迫られることになった今日的な現状を踏まえ、公共施設マネジメント指針を具体化していく上で、何を教訓とすべきかを質しました。
一方的な提案を反省、住民参加の仕組みづくりに活かす
総務部長は、「皐月保育園の移転改築計画は、県道の改良事業に伴い、時間の余裕が少ない中での提案、協議であったため、地元からは一方的で突然の計画説明と受け止められ、協議の入り口から行政との信頼関係が揺らいでしまった」、また「北部市民プールについても、市民プール全体の方向性が示される前に、なぜ北部市民プールが真っ先に廃止されるのかという地域の思いも重く受け止めている」と反省の弁を述べた上で、「合意形成までの時間は、事業特性や地域特性を考慮して十分に確保することが第一であり、粘り強く対話を重ねていく努力が必要であることを再認識した」、「今後、住民参加の仕組みづくりを検討していくが、まずは説明責任を果たすとともに、透明性を確保し住民と行政との信頼関係を醸成していくことが何よりも大切である」と答弁しました。
「事業特性や地域特性を考慮して」との部分は、若干気かがりではありますが、教訓とすべき今後の課題を示した姿勢は評価したいと思います。
問題は、教訓をどう活かすかにあります。
そこで、具体的に「情報共有」、「合意形成」、「パイロット事業の設定」について質問しました。
公共施設の見直し…全市的な情報共有を図るべき
行政区単位の説明会や全市的なシンポジウムの開催を提案
私は、公共施設の見直しについて「総論賛成・各論反対」とならないように、まずは総論として公共施設マネジメントの必要性を広く市民に周知し共通認識にしていくことが、個別施設の再編計画となる再配置計画を市民とともにつくっていくうえで欠かせないプロセスになると考えています。
市では、住民自治協議会への出前講座を一通り終え、今後、モデル地区での市民ワークショップやマンガ版リーフレットの作成・配布などに取り組むとしています。
しかしながら、住自協の役員のみが対象となる出前講座では限界があります。全市的な市民シンポジウムの開催、そして行政区単位の住民対象の説明会やシンポジウムを企画し、情報共有を進展させることが必要であると質しました。
「シンポジウムの開催は今後検討」、きめ細かな説明会には消極的姿勢か?
総務部長は、「住自協への出前講座は、公共施設マネジメントへの理解を深めるとともに、地域の状況、意見やニーズを把握する事前調査の目的もある」と述べ、まずは地域の状況や課題把握を通して、今後の情報共有のあり方などを検討したいとするにとどまり、行政区単位のきめ細かな説明会には言及しませんでした。
全市的なシンポジウムの開催は「今後、検討していく」とされたものの、早期開催の考えは示されませんでした。
全市的にゼロからの合意形成を
市民ワークショップ…さいたま市の取り組みを生かす
公共施設のあり方調査研究特別委員会で視察したさいたま市における市民との合意形成に向けたワークショップの取り組みは、大いに参考となるものでした。
ポイントは二つです。
一つは施設が設置されている当該地域の代表者だけでなく、全市的な利用者市民、納税者市民を委員として構成している点、
二つは複合化・集約化する施設を選ぶ段階からワークショップで合意形成が始まっている点です。
施設の利用者だけでなく全市的に納税者市民の意見を聞き、どのように施設を見直すのか、ゼロから検討されている点が大きな特徴です。
この手法を取り入れることを強く提案しました。
長野市の場合は、基本的に施設がある当該地区の住自協の意見しか聞いていません。利用者市民、納税者市民が置き去りにされているが故に、皐月保育園の事例のように方針転換を余儀なくされているのではないかと考えるからです。
「提案を十分に踏まえて検討する」と前向きに答弁
総務部長は「今後、市民合意形成の一つの手法として、市民ワークショップを実施する際には、議員指摘の二つのポイントを十分に踏まえて検討する」と述べました。
市民ワークショップが「一つの手法」と限定されている点は釈然としませんが、一応、前向きな姿勢が示されましたから、今後、実現を図っていきたいと考えます。
また議会中の特別委員会の中では、「施設再編にあたっては、複数の案を示し、多角的な検討・協議ができるようにしたい」と述べています。
パイロット事業の設定を
4つのモデル地区・モデル施設群で先行的取り組み進む
公共施設マネジメントの具体を市民に理解してもらうためには、モデル事業・パイロット事業が欠かせません。特別委での視察でも、このことを痛感しました。
既に、➊芋生地区での廃校となった中学校の活用、➋篠ノ井西口駐車場の活用、➌若槻地区のコミュニティセンターの建て替え、➍屋外市民プールの統廃合がモデル地区、モデル施設群として検討されています。
さらに鬼無里地区の小中学校の再編が加わるものと思われます。
市民の意見を聴きながら施設の再編を進めるという市行政側の基本的なスタンスを確立していくうえでも、パイロット事業を打ち出す必要があると提案しました。
「パイロット事業は有効。モデル地区・モデル施設群の検討の中で具体化したい」
総務部長は「モデル地区やパイロット事業の選定・実施は非常に有効である」とし、「モデル地区やモデル施設群の検討において、再編計画の策定段階から住民の主体的参加を求め合意形成が図れるよう、専門家の意見を参考に具体的な取り組みを検討している」と答弁しました。
今後、さらに公共施設のあり方調査研究特別委員会の中で、しっかりチェックしていきたいと思います。
マンガ版リーフレット作成進む
議会中の特別委員会で、「マンガ版リーフレット」の原案が示されました。
長野市公共施設マネジメント指針の趣旨について、わかりやすく理解を深めようと企画されたもので、長野俊英高校漫画研究部の皆さんに作画してもらっています。
委員会では、行政用語を避けることや指針の基本的な考え方がわかるような内容にすることなど意見を述べました。
このほど、公共施設適正化検討委員会での意見等も反映した改訂原案が示されました。
俊英高校漫研の皆さんには感謝です。
情報的にはまずまずの内容だと思います。
第一弾との位置づけで、シリーズ化していくことも提案しています。
なお、特別委員会で5月13日にモデル地区の施設を視察することになりました。