公共交通ビジョンで掲げた課題の進捗状況を問いながら、利用促進・利用転換につながる施策の早期実施について質しました。
交通空白地域なくす「運行基準」の早期策定を
地域の公共交通を守るために、住民の主体的な取り組みを大前提に一定の基準を設定する、それが公共交通ビジョンで示された「運行維持基準」です。
基準は、行政と交通事業者がどこまで負担するのか、地域住民がいかに主体となって利用促進するスキームを考えるのかの物差しとなるものです。
これからも不採算路線が拡大と交通空白地域化が懸念される中、運行維持基準のたたき台を示し、地域住民に働きかけていくことが求められます。
現状と今後の見通しについて質問しました。
企画政策部長は、「運行基準は、地域の皆さんに運行路線の課題解決に主体的に参画してもらい、市と一緒になって利用実態やニーズに合った適正な輸送サービスを確保していくために設定するもの。現在、他市の状況を調査し学識経験者の意見を聞きながら、運行見直しに際しての市の支援メニューを含めて、基準原案を作成しているところ」と進捗状況を示しました。
今後、議会にも説明していくとしていますから、もう少し待ちたいと思います。
バスロケやバスナビの導入、ノーマイカーウィークの取り組み、早期実現を
生活路線バスの利用環境の整備や利用促進を図るため、スマホや携帯でバスの運行情報を知ることができるバスロケーションシステムや乗り継ぎ案内をするバスナビゲーションの導入や「もう2回バス乗車運動」の施策展開を求めました。
いずれも、公共交通ビジョンの中で利用促進の課題施策とされているものです。
特に「もう2回バス乗車運動」については、昨年3月議会では、県の「ノーマイカー通勤ウィーク」と連携して取り組むとされましたが、具体化が見えていません。
県のノーマイカー通勤ウィークは、長野県環境保全協会に委託されてから、参加事業者が半減しており、県でも見直しを検討している段階ですが、市独自の施策展開が問われている課題です。
私は、世界的にカーフリーデーとされている9月22日を「長野市民公共交通の日」として定め、県の通勤ウィークの期間設定も考慮しつつ、「長野市民ノーマイカーウィーク」を設定し、「もう2回バス乗車運動」を試みとして市民に提起、利用促進を図り、その期間は、くるる利用ポイントを倍増するなどして利用誘導を図ることを提案しました。
企画政策部長は、バスロケーションシステムは「乗り継ぎ案内や病院等への目的地の検索システムを併せて考えることで、バス利用者の増加が期待できる」としながらも、「既に導入している都市の状況や導入効果を踏まえ検討していく」と答弁するにとどまりました。
バス利用者を増やすことのできるツールであることは間違いありませんから、検討から実施へ加速化させることを強く求めました。
「もう2回バス乗車運動」については、「具体的な仕組みを検討しているところ」とし「県のノーマイカーウィークとの連携やくるるポイント付与の増加を含めて考える」と答弁。
今年の秋ごろには、具体化されることを期待したいと思います。
スイカやパスモなどの交通ICカードの利用実現へ
スイカなどの交通系10カードの市内交通機関での利用は、観光振興にとっても不可欠となっています。「くるる」は長野市の地域独自ICカードであり、スイカやパスモといった交通ICカードと相互に使うことができません。大都市圏で使える、いわゆる10カードも利用可能とするため、まずは「片利用」の実現という視点から、県を巻き込んで真剣に検討し具体化することを求めました。
企画政策部長は、「国ではH32年度までに10カードを全国で使用可能とする目標を定め、地方独自カードの片利用共通接続システムの仕組みを検討している。県でも、県内共通で使えるICカードの導入について市町村と検討するとしていることから、国の動向を注視しつつ、県の協力を得ながら考ええていきたい」と答弁しました。
新年度に策定する「地域公共交通網形成計画」及び「再編実施計画」の検討の中で考えていく姿勢を示しました。
県に対しては、交通運輸労組連絡協議会の申し入れでも取り上げてきた課題です。
ようやく、県が本腰を入れる姿勢を見せ始めていますから、期待しましょう。
公共交通利用促進条例の制定を
金沢市や高松市では、公共交通の利便性を高め、市民一人一人による公共交通の積極的な利用を図るため、公共交通利用促進条例を制定し、利用促進策に取り組んでいます。
安全で快適、人と環境にやさしい地域公共交通の形成を図るとともに、公共交通ビジョンを実効性のあるものにしていくため、長野市においても公共交通利用促進条例を制定していくことを提案しました。
【参考】金沢市公共交通利用促進条例
高松市公共交通利用促進条例
高松市「他都市との条例比較表」より
企画政策部長は「条例制定は施策の実効性を担保する効果があると考えるが、まずは公共交通ビジョンの施策推進を柱に置き、市民への公共交通への意識の高まりを促す中で、調査研究していきたい」と述べるにとどまりました。
予想通りの答弁でしたが、公共交通ビジョンの施策推進が足踏みしているが故に、取り組みに発破をかけるために取り上げた課題です。
芽だし提案といったところです。
引き続き、具体的な提案・提言につなげていく所存です。
新年度においては、策定される「地域公共交通網形成計画」及び「再編実施計画」により具体的な施策展開として盛り込めるかが鍵です。