新第一庁舎、新しい議場での議会が始まりました。
フラットでオープンな議場です。やはり緊張感が漂います。
でも、新議場正面には市旗と並んで国旗「日の丸」が…。
議場への「日の丸」の掲揚については反対してきた一人です。議場は市民の幸せのための言論の府であって、国に忠誠をつくす場ではないと考えるからです。数の力…やむをえません。
さて、議会初日の25日、市長の施政方針、H28年度一般会計当初予算案をはじめとする66議案、報告案件8件が提案されました。
年金生活者を支援する臨時福祉給付金一人3万円、総額12億円余の補正予算を即決
消費税増税による負担軽減策で低所得の高齢者を対象に一人につき3万円を支給する「年金生活者等支援臨時福祉給付金」として12億6000万円余を盛り込んだH27年度一般会計補正予算案が提案され、全会一致で可決しました。
65歳以上の市民税非課税が条件で対象者は約4万人です。全額国庫負担です。対象者には申請書が送付されることになります。申請漏れの無いようにしたいものです。
市長の施政方針のポイント
◆ポイントを報告する前に、一言苦言。
市庁舎への爆破予告事件やマイナンバーカードの誤交付には触れずじまいでした。市民生活への影響や市役所の仕事への信頼について、お詫びを含め触れるべきでしょう。
また、人口減少対策を最重要課題としながら、自らがリードした「人口減少対策課」を「人口増推進課」に改めることにも触れずじまい。
◆長野市ひと・まち・仕事創生戦略…今後、さらに進行が見込まれる少子・高齢化及び人口減少を克服し、将来世代に活力ある地域社会を引き継いでいくための施策の方向性を示すもの、H31年度までの5か年計画。人口減少問題は、市政の最重要課題、さらにスピード感を持ち、国などによる支援も有効に活用しながら積極的に取り組む。
◆連携中枢都市圏「長野地域スクラムビジョン」…人口減少社会であっても一定の県郁人口を有し、活力ある地域経済を維持するための拠点を形成していく構想の目的が達成できるよう、中心的な役割を担う。
◆第5次総合計画…今年度中に基本構想案をまとめる予定、来年度から基本計画の検討を始める。来年度末には基本構想について議決いただく予定。
◆人口減少の克服による『長野市創生』元年の予算…一般会計予算額は1553億2000万円。「移住・交流の促進」「少子・健康長寿の推進」「魅力ある地域づくり」、三つの優先施策に約280億円の予算を重点的に配分。
人口減少の克服は一朝一夕にできるものではないが、国・県の支援策を最大限活用しながら取り組む。
今後も、前例踏襲の考え方からの脱却、事業の緊急性・優先線を十分に吟味し施策を厳選、事務事業の見直しや事業のサンセット化などに取り組みながら、安定した行政サービスが継続して提供できるよう取り組む。
◆移住・定住の促進…新たに「移住促進支援金」を創設。
◆地域発きらめき事業…地域の課題を全市的な画一的手法で解決を図るのではなく、地域のアイデアに基づいた事業を実施、「住んでてよかった」「住み続けたい」と思えるまちづくりに資するモデル事業を展開。
◆公共交通の整備…公共交通ビジョンに基づき、まちづくり等と連携して地域公共交通網形成計画等を策定し、公共交通ネットワークの再構築や利用環境の整備、利用促進に取り組む。
◆芸術館、文化芸術の新たな拠点…5月3日に竣工記念式典、5月8日にメインホールこけら落とし公演。「日本一の門前町大縁日」を継承する「表参道芸術音楽祭」の開催、「街角アート&ミュージック」を定期的に開催。地域の伝統芸能の保存継承は、補助制度を拡充し支援。
◆出産・子育て支援…長野版ネウボラとして「子育て世代包括支援センター」機能を整備。保健センター2箇所(吉田・犀南)に専任の母子保健コーディネーターを配置する。
子どものB型肝炎ワクチンがH28年度から定期接種化に。
病後児の保育を実施していた1施設(日赤・病後児保育ゆりかご)に加え、新たに1施設(厚生連・松代総合病院)で病児保育を実施。また、連携中枢都市圏において、H28年度から都市圏内の他市の施設も利用できるよう整備を進める。
◆放課後子ども総合プラン…全小学校区で実施へ。
◆子どもの貧困問題…大きな課題。貧困の連鎖を断ち切るために生活困窮世帯やひとり親家庭の児童への学習支援に取り組む。自宅を訪問する家庭教師方式と教室で受講する学習塾方式により学習支援を行う。
また、ひとり親家庭の親が、就職に有利な専門性の高い資格を取得するために養成機関に就学した場合に支給する「高等職業訓練促進給付金」の支給期間を市独自に延長。
◆マリッジサポート課を設置…市を挙げて結婚を希望する方の支援を積極的に進める。
◆健康長寿社会の実現…計画最終年度を迎える「新・健康ながの21」と「第2次食育推進計画」について、成果と課題を明らかにするとともに、スポーツといった要素も積極的に取り入れ、さらなる健康寿命の延伸をめざしらしい阿多に計画策定につなげる。
◆がん検診…肺がんのヘリカルCT検査を新たに導入、ガンの早期発見、早期治療を促進。
◆市農業研修センター…H29年4月オープンめざし準備。
◆地域きらめき隊…支所を挙げて地域のことに取り組む必要があるため、住民自治協議会等と協働し「地域おこし活動」をより効果的に進めるため、支所機能強化の一環として、各支所に「地域おこし活動」を遂行する職員を「地域きらめき隊」として配置する。
地域コーディネーターの役割を担い、地区内の連携の核となって、住民自治協議会や区、住民団体、NPO等の多様な主体をつなぎ、地区の潜在力を引き出すことで、地域に新たな活動を生み出していくことを期待。
◆中山間地域応援団…人口減少の進行などにより集落等手での共同作業が困難となりつつあることから、ボランティアを募り派遣。
◆省エネルギー機器普及モニタリング事業…CO2削減に効果がある家庭用燃料電池を設置し、モニターとしてガスや電気の使用状況について情報提供できる市民を対象に補助金を交付。
◆中央消防署の移転整備…高機能消防指令情報システム整備を進め、今秋からの運用開始を目指す。篠ノ井消防署塩崎分署に救急隊をを配置、今秋からの救急業務開始をめざす。
◆活力ある学校づくり…小中連携や小中一貫教育をモデル的に推進する6中学校区で、特命担当指導主事(連携推進ディレクター)を配置、検討してきたが、新たに5中学校区で取り組みを進めるため、連携推進ディレクターを4人増員し8人と。H28年度には、市内小中学校の将来像を検討するため、(仮称)「活力ある学校づくり検討委員会」を設置。
◆学力向上…標準学力調査(NRT)を小学5・6年生から小学4年生に拡大、中学2年生の活用問題調査の実施教科を3教科から5教科に拡大。
◆公共施設マネジメント…新年度で公共施設再配置計画を策定、全庁的な公共施設マネジメントを推進する。
◆地域防災計画の見直し…より現状に即した防災体制を構築するため、H28年度に地域防災計画を全体的に見直す(避難所・避難場所の指定の見直し)。総合防災情報システムは4月から本格運用へ。
◆障害者差別解消法…障害を理由とする差別に関する専門の相談窓口を設置。市職員対応要領を定め、差別の解消に適切に対応。
◆木質バイオマスの利活用…3年間のモデル事業として市内のバイオマス発電所(おやまの発電所)で発電した電力を市役所第二庁舎での使用相当分を購入することに。
◆空き家対策…1月に「空家等対策推進プロジェクトチーム」を設置。空き家の実態調査に取り組み、「空家等対策計画」の策定をはじめ、空家の適正管理や利活用に積極的に取り組む。
◆橋梁の老朽化対策…「橋梁長寿命化修繕計画」(H24策定)に基づき、修繕が必要な215橋の修繕・耐震補強工事を進行中。またね市道橋1820橋の定期点検、老朽化対策を本格的に実施。
◆長野駅周辺第二土地区画整理事業…建物移転率96.4%、公共施設整備率85.9%、事業は最終盤に。
◆小中学校施設の耐震化…H27年度末で耐震化率は99%を見込む。非構造部材の耐震対策、S40年代後半からS50年代にかけて整備された学校施設の老朽化対策を計画的に進める。
◆学校給食センター整備…第四センターはH29年度の供用開始へ。第一センターは全面改築のための設計に着手、H31年度の供用開始をめざす。
議案提案が総括的概要の提案に
これまでの3月定例会では、市長が新年度予算案編成の重点を施政方針という形で提案し、各部局長が予算案のポイントと重点施策について提案する形をとってきました。
しかしながら、議案概要A4判で70ページ分を朗読提案するため長時間となること等から、今回から副市長が総括的に議案概要を提案(教育長と上下水道管理者は別途提案)することになったものです。市側からの提案です。
議会側としては「試み」という受け止めです。
これまで、時間はかかったものの、各部局長が自ら所管する仕事についてそれぞれ提案することで、施策展開に部局長として責任を果たす意味合いがあったと思うのですが…。
議会側としては、議員にとって、そして市民にとって分かりやすい提案となっているのか、という観点から検証しなければなりません。
今日の限りでいうと、市長の施政方針と、副市長の総合計画に沿った総括的な施策提案をもう少しキチンと分担した方がわかりやすかったのではと思います。
これも、市長が強調する「前例踏襲の見直し」なのでしょう。
でも、部局長の提案がないのはどうも…って感じです。なんでも簡略化すればいいというものでもないですよね。