タイムリーな話題ではありませんが…。2月に入っての続報です。
芸術館のオープニング企画発表
1月18日、長野市芸術館で、長野市文化芸術振興財団によるオープニング・シリーズ自主事業ラインナップ記者発表がありました。長野市芸術館は、5月8日(日)に開館します。
久石譲芸術監督は、「市民の皆さんが長野市芸術館に来やすい環境を作りたい。アートを日常にしてほしい。アートを語れるような環境にしていきたい」などと抱負を語られたようです。
こけら落とし公演は久石監督が読売日本交響楽団を指揮。久石監督の祝典序曲や、クラシックで初めてタクトを振るった曲というチャイコフスキー交響曲第5番を演奏するそうです。
➡長野市芸術館(長野市文化芸術振興財団)のページへ
久石監督が、大ホール見切れ席の問題で「ばかげた話」とコメントしたとの報道が一部にありましたが、真意は計り知れません。
芸術館「見切れ席」のその後
1月6日のブログ記事、『芸術館大ホール「見切れ席」…舞台の7割が見えるよう改修』で当面の課題についてまとめましたが、その後1月12日の総務委員会で、設計者負担で改修工事を行なうことが明らかにされました。
設計者側が全面的に瑕疵と責任をを認めたものと受け止めます。
今後、最低でも7割見えるようにする改修工事の確実性が問われるとともに、それでも3割見えない座席が残ることについて、どのように対応するのかが現在的な課題として残っています。
因みに久石監督によるこけら落とし公演のチケットは、S席8000円、A席7000円、C席4000円です。C席が「見切れ席」に当たるのか、未確認ですが、既に完売となっています。
総務委員会の質疑応答について、もっと早くに報告すべきだったのですが、1月17日に開いた市政報告会に合わせて発行した「市政直行便NO.44」で、直近の状況を含め特集として報告したこともあり、またその後、視察続きとなったこともありで、今頃の報告となってしまいました。
改修工事は2月から、4月竣工をめざす
改修工事の見通しについて、2月3日の記者会見で市長は、「2月上旬から中旬の早い時期にかけて(日程を)明らかにして着工し、4月の中旬ころまでには竣工させたい」との考えを示しました。
改修費については「まだ承知していない」とのことです。
総務委員会では、「改修費について判明次第、議会に示す」とされていたのですが…。
槇設計事務所の参考人招致…提案するも否決に
ところで、1月12日の総務委員会で、今後の改修工事の確実性等について「槇設計事務所を参考人として招き質疑すべき」と会派として提案しましたが、賛成少数(改革ネット・共産党の委員3人)で実現しませんでした。
反対する理由が振るっています。
「設計契約は長野市が発注したもので、議会が契約・発注したわけではないから、呼ぶ必要はない。提案者は勘違いしている」…これは新友会所属の、しかも議長経験のある委員の発言です。
市行政との契約の履行にあたり、受注者側に問題があれば、それを直接質す権能が議会には当然にしてあります。
二元代表制のもとにおける議会の権能・役割を貶める発言であることを自覚されていないようです。困ったものです。
しかも、新友会所属の総務委員会・副委員長は、一旦は賛意を示したものの、採決では否決に回るという顛末も。
数の世界、仕方ありません。提案が否決されたため、今後の改修について、「(市芸術館建設工事の)発注者の責任として、市がしっかり管理監督をしていくべき」と強く要請しました。
今後の総務委員会でしっかりチェックしていきます。
市政直行便NO.44の特集記事を再掲
市政直行便NO.44で「12月市議会の焦点・論点」の一つとして特集した「芸術館大ホール・見切れ席問題」を再掲します。
5月にオープンする市芸術館大ホールで、2階席の約90席に及ぶ座席が「見切れ席」(舞台が見えづらい席)であることが判明。極めて残念な顛末です。3割ぐらいしか見えない席もあり、責任問題を含めて波紋を広げています。
2階席の約24%が「見切れ席」
市芸術館は、1階916席、2階376席の計1292席。「見切れ席」は2階席の左右の壁際に位置する座席で、それぞれ40~45席。全体の約7%、2階席では約24%に相当します。
座席に下駄履かせ、最低でも7割見えるよう改善・改修へ
1月に入って市は「座席の高さをあげることで見やすさを改善する。最低でも舞台の7割が見えるようにする」と発表。
客席の位置や見えにくさに応じて座席を15~26cmかさ上げするというものです。
座席前の足を置く通路部分も15~18cmかさ上げします。
座席が列単位で一体構造となっているため、改修工事は「舞台が見えにくい席」(約90席)を含む列単位で行うことになります。
中央部分を除く片側109席、両サイドで218席が対象となります。【下の写真は信濃毎日新聞より】
いわゆる下駄をはかせる「かさ上げ工事」は、コンクリート製にすると荷重がかかり過ぎるため、木製仕様になるそうです。
通路の歩行の安全性や座席の座り心地は確保するとされています。
設計者が瑕疵を認め、改修費を負担
芸術館「見切れ席」問題を集中審議した1月12日の総務委員会で、市は「改修の費用は設計者の負担とすることで合意した」と述べました。金額は明らかになっていませんが、設計者側が見えづらい席が発生することを市側に伝えてこなかった瑕疵と責任を認め、全額費用負担することになったものです。
7割見える確実性を厳しくチェック
市側は、安全性や座り心地を確保するため最低でも7割見えるよう改修することが適当と判断したとします。100%見えるようにするには1メートル近いかさ上げが必要で安全性等が確保できないとしました。安全性と鑑賞性を保てるギリギリの線ということなのでしょう。
設計者の算定では、舞台床面の見える率は、最低で38.2%とされていますが、客席に観客が座ると1割程度しか見えないようになります。
改修工事によって本当に7割見えるようになるのか、厳しくチェックすることが重要です。
同時に約90席の個々の見えづらさの解消度合いを明らかにするよう求めています。
「見切れ席」の運用も課題に
改修しても舞台の3割が見えない席が残ります。見えづらさの状況を市民に正しく情報開示することがまず必要です。
次に「見切れ席」をどのように運用するかが課題となります。
鑑賞性が問われる演劇や舞踊等において、「見切れ席」を販売しないという方法、或いは値段を安くして販売する方法が考えられます。市では「検討中」としています。これまた要チェックです。
また、収益性の観点から得られるべき利益・価値が損なわれるという問題が浮上します。得られるべき利益・価値が損なわれることに対する補償問題をどう考え対応していくのかも今後の課題となります。
しっかり監視します。