長野市議会12月市議会定例会は、8日までに一般質問が終わり、9日・10日で常任委員会が開かれ付託議案等の審査となります。
質問から「12月市議会の論点[その2]」です。
公共施設維持管理基金の創設…検討中
将来的に公共施設の維持管理に必要な財源を今から基金を設置し備えていくことは、公共施設白書策定時から提唱している課題の一つ。公共施設マネジメント指針においても「基金の創設」が盛り込まれていることから、「財源の確保が必要であり検討中」とする。
新年度予算で「芽だし」的予算措置が必要である。
保健所の共同設置…デメリットに蓋?
県と市による保健所の共同設置の検討にあたり、県との共同研究の中で600項目を超えるデメリットが指摘されているものの、それを解消しうる手だてが未検討のまま推移していると小泉一真議員が指摘。県への情報公開請求で明らかになったとする。
「したたかな県に対し、市もしたたかな対応が必要」との苦言は、その通り。
施設や人材の集約化よりも、市民サービスの向上にウェイトを置いた検討が望まれる。
私は既に「保健所共同設置への期待と疑問」で、現状における問題点を私なりに整理し、県と専門職の人事交流等ができれば、現行の保健所体制で何ら問題はないのではないかと指摘してきたが、さらに、検討経過について調査し、「続報」としてまとめ提言していきたい。
マイナンバー制度の活用…本当に大丈夫か
個人番号通知カードの市内発送総数は158551通、11月30日現在の返戻保管分は8147通(連絡済を除くと7752通)とされる。不着率は4.9%。引っ越し等による移転先に連絡をとり、本人に届くよう手配中とする。
来年1月の利用開始にあたり、「マイナンバーカードの申請は任意であることに留意してPRする」。
行政への各種申請書類に個人番号記入欄が設けられていることに関し、介護申請時の対応や介護施設でのマイナンバー管理について、厚労省は、留意事項として、番号記載がなくても申請を拒まないこと、介護施設では個人番号の保管をしないことが望ましい、番号の記載がない場合は市が記入するの3点を示しており(未発表)、これに基づき対応する。
住民票のない生活保護申請者の場合、「個人番号がなくても申請は受理する」と明言。
あらゆる申請において個人番号がなくても申請が受理され、本人に不利益とならないことを確認していく必要がある。
信濃毎日新聞で報じられた視覚障がい者の皆さんへの点字対応も課題となっている。既に長野市は点字シール対応の検討を始めているが、どのように進められるのか、チェックが必要だ。
また、今議会には、市として個人番号を利用する事務について定める新しい条例案が提案されている。生活に困窮する外国人の生活保護申請事務の1件を定めているが、今後、拡大させる考えがあるのか、104の法定事務以外に個人番号を市独自に利用する事務が増加していけば、それだけ情報漏えいのリスクが高まることにつながる。
条例案への賛否は、熟慮して対応しなければならない。
徘徊高齢者SOS見守りネットワーク…警察・消防と協議中
実施に向け検討中としてきた「徘徊SOS見守りネットワーク」について、具体化に向けて、警察及び消防と協議中であるとし、24時間体制で認知症の行方不明情報を事務局に集中させ、協力事業社にFAX送信し、仕事の範囲内で発見に協力してもらう体制を構想していると答弁。
計画を整理したうえで、早期に協力事業者を募るとする。
また、キャラバンメイトなど、徘徊行方不明者情報のメール配信の登録者の拡充に取り組むとした。
早期実現を望むところだ。
「TPP合意の影響は限定的」…危機感感じられず
TPP交渉の大筋合意は、「聖域」とされた「農産物重要5項目」のうち、牛肉・豚肉の関税を大幅に削減するとともに、コメは米豪両国に対し無関税の輸入特別枠を新設し、乳製品も大規模な低関税輸入枠を設定するなど、譲歩に譲歩を重ねた「合意ありき」の安易かつ拙速な妥協となった。国内農家への打撃は大きく、農業と農村の崩壊を進め、食料の安全・安定供給を脅かしかねない暴挙といえる。
市内の農家にとっても大打撃である。
しかしながら、市側は、政府がまとめた「総合的なTPP関連政策大綱」により、国民の不安を払しょくする政策の目標が明らかにされつつあるとし、また、品目ごとの農林水産物ヘの影響も、農水省が発表した資料に基づき、米は「国家貿易以外の輸入の増大は見込み難い」、リンゴやブドウなどの果樹農家への影響も「限定的」とされていることから、大きな影響はないと言わんばかりの答弁を繰り返すのみ。
東大の鈴木宣弘教授のH26年度長野市農業生産額推計を基にした試算では、約40億円減少するとされている。
危機感が年度全く感じられない。農家への影響を過小評価することなく、危機感を持ったTPP対応策が求められる。
長野市版「ネウボラ」…吉田保健センターを軸に検討
妊娠・出産・子育て期において切れ目のない支援を行うワンストップの相談拠点として、国の子育て世代包括支援センターモデル事業を活用し、長野市版「ネウボラ」の実施を検討。今年度の1支所1モデル事業で提案のあった「吉田保健センターを軸に検討中。箇所数は未定」と答弁。一歩前進。
「ネウボラ」とは、フィンランドで実施されている妊娠から出産、子どもが生まれた後も基本的には6歳まで切れ目なくサポートを提供する総合的な支援サービスのこと。フィンランド語で「アドバイスを受ける場所」という意味。ネウボラには保健師や助産師がおり、ネウボラで支援をするための特別な教育も受けているそうだ。
施策の拡充が求められる。
カーブミラー設置、要望の2割にとどまる
通学路等の安全を確保するため設置要望が高まっているカーブミラーの設置実施率は、要望に対し約20%しかないことが明らかに。「予算の範囲内で優先順位をつけながら適切に対応する」とされるが、「予算の範囲内」ではなく、予算の拡充が必要である。
「1支所1モデル事業」…来年度から
地域の特性を活かし、地域の活性化を図るため、支所長が住自協と協議し企画立案する「1支所1モデル事業」を来年度から実施。
1事業につき最大で1,000万円を予定し、3年間計画で約1億5,000万円の事業費を想定する。
来年度では、小田切、七二会、中条地区で、地域公共交通・乗合バスやタクシーの運行方法の見直しにあたり大学等と連携し地区内アンケートを実施する予定とされる。