昨日午後、長野市は、旭化成建材が杭打ち工事をした「長野市ものづくり支援センター」(信州大学工学部敷地内に整備された産学行連携支援施設)で、杭13本でデータ流用が判明したことを発表しました。
元請建設会社の10年以上前にさかのぼっての調査で、旭化成建材が杭の工事を行った市有施設は2件あると発表されてきていましたが、「まさか」って感じです。もう1件の市有施設ではデータ流用がなかったとされています。
市としては、「ものづくり支援センター」では、傾斜やひび割れ、不具合等は確認されず、施設の使用については問題はないと判断しているとする一方、旭化成建材側に安全性の確認をするよう求めているとしています。
こんな公式発表があった4日の午前、市議会会派「改革ながの市民ネット」で北部スポーツ・レクリエーションパーク、皐月保育園移転先で廃止される北部市民プール、(仮称)第四学校給食センター建設地を現地調査、担当課の皆さんから現地で説明を受けました。
北部スポーツ・レクリエーションパーク
総工費24億円をかけて、三才に整備されたスポーツ施設でH26年4月にオープン。H26年度は6万人、今年は10月までに4万5千人が利用。初年度は800万円の利用料金収入があった一方で管理費として2,200万円の経費がかかっています。
来年度から指定管理制度が導入され、フクシ・エンタープライズが選定されています。12月市議会で議決予定です。
野球やサッカーなどの球技に使用できる屋外グラウンド、マレットゴルフ場、スケートボードやBMXが楽しめるアクションスポーツ広場、親子連れで遊べる芝生広場などが整備されています。
照明設備を完備する砂入り人工芝の屋内運動場が特徴ですが、ゲートボールのコートの大きさが違っていたこと(規定が変更され小さなコートになった)でひと波乱あった施設です。
新しいルールに対応するため、今のところ利用者がライン・テープを張ってコートを作る必要があります(準備時間は無料)。
24億円もかけて整備したスポーツ施設、費用対効果、なかんずく投資効果が問われます。
公共施設マネジメントの観点から、意義のある投資であったといえるか、検証が必要でしょう。
また、当該施設は年額300万円以上という基準でネーミングライツ(企業等による命名権)を募集している施設の一つですが、応募者がなく、再募集が続いている状況です。
【参考】北部スポーツ・レクリェーションパークの案内(長野市)
皐月保育園移転先で廃止が予定される北部市民プール
皐月保育園の移転計画に伴い突如「廃止」が打ち出された北部市民プール。公共施設マネジメント指針の「試金石」(総務部長)とされる施設廃止問題です。
【関連】150902 「9月市議会の質問より➋…市民とともにつくる公共施設見直しへ」
【参考】「皐月保育園の移転改築事業について[20150917長野市社会福祉審議会児童福祉専門分科会・資料より]
市内に屋外市民プールは、青垣や城山、安茂里をはじめ9施設ありますが、H8年には12万人を超えていた利用者は、19年間で約4割減少し、H27年は猛暑で増加したものの7万4千人。
昭和の森公園内にS53年に整備された北部市民プールは、H8年には17,872人の利用者がH26年には5,156人、H27年で6,524人と減少しています。
地元や利用者の皆さんからは、突然の廃止方針に戸惑いと疑念が広がっています。
そもそもの皐月保育園の移転改築は、県道長野豊野線の改良整備が発端で、移転・改築先は公共施設マネジメント、より良い保育環境の確保、信州型自然保育の導入、既存市有地の活用などの視点から検討、結果、近隣に適当な用地がなく、昭和の森公園内の北部市民プールへの移転を方針化したものです。
事業費は約8億800万円と概算されています、
幼保連携型認定こども園としてスタートさせるもので、豊かな自然環境の中の立地を活かし信州型自然保育を推進するとともに、研修・実習機能を有する公立基幹園との位置づけです。
皐月保育園の昭和の森公園内への移転は、保育環境という点から見れば大変魅力的ではあります。
しかしながら、問題は北部市民プールの廃止です。
「素晴らしい保育園ができるから、利用者が減っている市民プールの廃止は勘弁して」という論理は通用しません。
「公共施設マネジメント指針で市民プールは見直し対象施設となっているから」「利用者が減っているから」と、利用者の声も聞かず、役所の判断だけで突然廃止を市民に通告する手法は間違っているといわざるを得ません。
こんな手法が「試金石」とされるようでは、公共施設の再配置計画の成り行きが極めて憂慮されます。
市は、「当該の住民自治協議会などに説明、地域の意見や要望を可能な範囲で取り入れ対応を検討していく」(8月市議会での総務部長答弁)としていますが、市民プール廃止ありきで、皐月保育園の移転改築計画の優位性を強調し、道路改良・安全確保等の後対応で市民に理解と合意を強いていくような手法は禍根を残します。
都市公園内の違った場所への移転は、不可能なのか(法的なハードルがあることは承知していますが)。市民プールも活用した計画にできないのか。素朴な疑問が残ります。
いずれにせよ、市民プールの今後の在り方にかかわり、全市民的な合意形成が欠かせない問題です。説明責任が問われます。
篠ノ井市民会館と合わせ、公共施設廃止の最初の事案となるだけに、市民の理解と合意という面から「試金石」とする取り組みを求めるものです。
青垣市民プールのようにスライダープール等の遊具を備えている施設以外の利用が低迷しているのは事実。しかし、利用者の声を聴き利用促進に向けた施設運営の改善は図られてきているのでしょうか。
北部市民プールの利用者6千人のニーズは、「城山市民プールに移動できる、あるいは移動する」と担当課では考えているようです。でも、城山市民プールはS46年建設で老朽化施設のトップ、今後の集約化の見通しは立っていません。 小・中学校プールの一般開放も、安全管理の面からなかなか困難な課題です。
どうも、場当たり的な公共施設マネジメントになっているのでは…とも思います。
公共施設マネジメント指針では、屋外プールは「老朽化や利用の状況に応じて集約を図るとともに、小・中学校のプールの在り方を含め、プール全体として総合的に見直す」とされています。
【公共施設マネジメント指針より】
「屋外市民プールは、一部の施設を除き利用が低迷しており、また、夏季2カ月間程度の稼動に対し、安全・衛生面での維持管理コストが大きい施設です。そのため、市民プールは、老朽化や利用の状況に応じて集約するとともに、小・中学校にそれぞれ設置されているプールについても同じことが言えることから、小・中学校のプールの在り方を含め、プール全体として総合的に見直しを行っていきます」
安茂里の市民プールも集約化を検討することになっていくのか、小・中学校のプールの在り方はどんな視点で検討されるのか、要チェックです。
(仮称)第四学校給食センター建設地
8月市議会の経済文教委員会で、施設の浸水対策、災害時の施設活用等が論点となった第四学校給食センターの建設問題。整備事業費は43億円です。
村山地籍で杭工事が始まっている現場を視察。現在、17mの杭を117本打つそうです。因みに事業者は旭化成建材ではありません。
【参考】(仮称)第四学校給食センター基本設計概要
建設地は、長野市洪水ハザードマップでは千曲川の氾濫により2mから5mの浸水被害が想定されている区域内になります。
施設の安全性やかさ上げ工事の必要性等について意見交換しました。
同ゾーン内には既に柳原支所や消防柳原分署があり、「浸水想定区域だから安全ではないと一概には言えない」との答え。なんか釈然とはしませんが、建設候補地を災害と無縁な地域では探しえない?長野市の地勢的限界なのかと思ってしまいます。
かさ上げ工事については、約2億円の経費がかかるが、何よりも地元から豪雨の際の周辺への影響を懸念する意見が強く合意が得られなかったとのこと。
かさ上げ工事に代わる浸水対策として、駐車場地下に776トン分の雨水貯留施設を整備するとのこと。時間雨量45ミリにまでは対応できるとされます。
災害時における施設稼働・給食(食糧)提供については、10月臨時会での経済文教委員会委員長報告の「災害時の給食センターの役割について危機管理防災課等と十分協議を行うこと」を踏まえ、災害の程度によるが、職員の確保、食材の確保、安全と品質の確保確認といった条件がクリアされた段階での給食(食糧)対応について、危機管理防災課と協議、検討していく考え方が課長から示されました。
災害時において学校給食センターを稼働させ、避難住民への給食・配食サービスができないか、委員会質疑で取り上げたことがありますが、当時は「職員や食材の確保が困難であり、災害時にセンターを稼働させることは考えていない」と答弁された記憶があります。
条件をつけての再検討に至っているもので、より具体的にしていくことが求められています。