一般質問を行いました…原稿をアップ

 6日、本会議において一般質問を行いました。
 取り急ぎ、質問原稿をアップします。実際の質問では省略した部分もあります。
 なお、「市民病院の地方独立行政法人化」と「その他」の「人権・男女共同参画課の施策展開」は、質問時間内におさまらないことからカットしました。
福祉環境委員会の審議で取り上げる予定です。
 市行政側の考え方、答弁については、それぞれテーマごとに順次まとめて報告します。
 質問の様子は「長野市議会ホームページ・市議会録画放送」でご覧いただけます。「個人質問2」です。(3月10日に追加)
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「県の契約に関する条例」の共有化と長野市における公契約条例の制定

(1)長野県では昨年4月に「県の契約に関する条例」が施行されました。「公正で適正な契約による地域経済の健全な発展」「県民への安全かつ良好なサービスの提供」「持続可能で活力ある地域社会の実現への配慮」「社会的責任を果たす事業者の育成への配慮」を基本理念とするものです。
 千葉県野田市が先鞭をつけた、賃金の下限を条例で定めた公契約条例とは趣旨が異なるものですが、公契約において、地域経済の発展と安全・良好な公共サービスの品質確保という観点から、雇用の確保、労働者の適正な賃金水準など労働環境の整備に踏み込んだものであり、今後の県の具体的な取り組みを期待しています。
 求められる公契約条例は、受注者と発注者の合意を基本とする契約であり、公権力による規制ではないこと、自治体が定める労務報酬下限額以上の労賃が就労者(下請け就労者を含む)に支払われるように自発的に措置し履行するものであり、公共工事や行政の委託業務など公共サービスの品質確保を図るとともに、事業者相互間・労働者相互間の公正競争の実現を図るものであることが重要であると考えます。
 公権力的な規制を規定しない川崎市や多摩市の公契約条例がこれに当たります。
 
 市が締結する契約について、社会的要請の多様化を踏まえ、県の条例の理念・趣旨、制度設計を共有化し、長野市においても公契約条例の制定に向けて「研究」から「実施」に移行する段階を迎えていると考えますが、市長に見解を伺います。

(2)建設工事や委託事務の品質確保、ダンピング受注の排除、労働者への適正賃金の支払い等を担保する観点から、3点質問します。
 1点目。建設工事等における総合評価落札方式は、地域貢献度等の加点基準・項目が順次拡大されてはいますが、いまだ「試行」、試みのままです。早期の本格実施と、建設工事だけでなく、製造の請負、物件の買い入れ、その他の契約においても総合評価落札方式を拡大していくことを求めたいと考えますが、見解は。

 2点目。例えば、本庁における清掃業務・警備業務は、2年契約となっています。過去5年間の3回の落札状況は、清掃業務でH22年、1150万・落札率71.0%、H24年、1150万・落札率91.6%、H26年、1077万・落札率80.6%で推移。警備業務では、H22年、247万・落札率91.7%、H24年、246万・落札率89.5%、H26年、247万8千円・落札率99.5%で推移しています。
 基本的に人件費が中心となる業態の入札状況をみると、予定価格に大きな変化はなく、一方、業者の入札額には大きな開きがあります。業務内容に照らして、適正な発注仕様、予定価格の設定が行われているのか、前回落札額をベースとした予定価格の設定となっていないのか、従業員の適正な賃金・労働条件の確保がなされているのか、いささか懸念される状況です。
 予定価格の適正な設定をはじめ、適正な賃金水準の確保、社会保険・労働保険の加入など労働環境の整備に資する仕組みに改善されることを求めます。見解は。

 3点目。建設工事において、県は「契約後確認調査」を強化しています。「労務者の確保計画の比較表」(入札時の労務単価と工事完成時の実際に支払った労務賃金)の提出等を通じて、適正な賃金の確保状況を把握しようとするものです。大規模施設建設がまだ途上にある中、市としても導入を図る考えはないのか、見解を伺います。

不安定雇用を助長する非常勤職員のパート化

(1)昨年12月16日付で指示された総務部長通知、「非常勤職員の任用見直し」は、「効率的な行政運営、コスト縮減、適正な人事管理」を目的とするもので、「今後、事務補助に従事する非常勤職員の勤務形態を原則としてパート勤務、一日当たり5時間45分勤務に切り替える」というもので、事務補助に従事する嘱託職員は今後3年間で、臨時職員は原則H27年度からパート勤務に変更し、今後2年間ですべてをパート勤務に切り替えるというものです。
既に嘱託職員1206人のうち、事務補助に従事する職員285人を対象に任用の見直しが進められ、新年度では38人がパート化に応諾し、今後5年間で157人を対象に切り替えを予定するとしています。「パートでは続けられない」と3月末をもって退職せざるを得ない嘱託職員も出ています。
 非常勤職員のパート化で雇用は極めて不安定なものになり、同一労働・同一賃金、均等待遇の原則に反し正規職員との格差を拡大するものとなります。総務部長通知によれば、社会保険が未加入となり、年間賃金は、月給制の嘱託職員では、名目賃金で181万4400円から、112万1956円と約70万円もの賃金引き下げとなります。手取りにおいても、174万8059円から135万6149円と約40万円近い引き下げとなります。
(2)こうした一方的で大幅な賃金切り下げ、労働時間の短縮は、労働者に対する不利益行為の強要にあたり、民間の労使関係、雇用契約では許されないことです。「賃金カットの許容範囲は現給の10%以内」、これは判例で確立されているものです。民間における労働雇用契約の法理に反するもので、市役所という「公」が行うべきものではないといわなければなりません。ワーキングプアーを構造的に作り出し固定化させることを極めて憂慮します。「公務職場は任用制度だから、何でもあり」みたいな姿勢と手法は抜本的に改められなければなりません。まずは任用から雇用契約に転換させることが必要であると考えますが、見解を伺います。

(2)総務部長通知は、2年から3年で全ての非常勤職員をパート化する原則を示しながらも、最長で10年間の経過措置を置いています。しかし、こうした経過措置が、現場では十分に周知されず、極めて乱暴で一方的な対応、あるいは間違った対応になっていると聞き及んでいます。
 そこで、3点について提案、確認したいと思います。

 一つは、本人同意確認の徹底と不同意の場合の雇用継続についてです。賃金切り下げ・労働条件の変更は本人同意が不可欠です。通知を根拠に本人同意をないがしろにし、当事者が辞めざるを得ない状況に追い込まれるケースがあるとすれば、それは退職強要にあたる違法行為となってしまいます。本人が不同意の場合は、生活がかかっている問題ですから、経過措置に照らして、嘱託職員として身分を保証し雇用継続を図ること。

 二つは、パート化する職種が事務補助であることを明確にし、職員の間に雇用不安と混乱を広げないことです。今回の対応は事務補助職員を対象にするものとされながら、専門的な業務にあたる職員に対しても、雇用打ち切りを示唆するような対応がなされています。例えば、学校給食センターで調理業務につく嘱託職員は、「専門的な業務」につくものであり、パート化の適用対象外であることを明確するとともに、専門的業務にあたる職種をすべて列記し、間違った対応が生まれないよう徹底を図ること。

 三つは、社会保険の加入について、社会保険加入の事業主負担を免れるよう勤務時間が設定されているのではないか。すなわち週40時間の4分の3、30時間を超えないように制度設計されているのではないかとの疑念が残ります。安定した雇用を保証する観点から、労働条件の同意にあたり、社会保険の加入をはじめ、当事者の意向を尊重し、柔軟で適正な対応を図ること。

 それぞれ、見解と対応方を明確に示してもらいたいと思います。

より良い公共交通ビジョンを

(1)公共交通を「必要不可欠な都市機能」と位置づけ、公共交通の役割と将来像、そして将来像の実現に向けた基本方針と推進施策を体系化したビジョン素案は、推進施策において、「地域公共交通の日」の設定、「もう2回バス乗車運動」の実施、スマホ向けの「バスロケーションシステム」の導入、バスの乗り方教室の開催など利用促進に向けた施策の具体化が明記される一方で、基幹交通軸における新交通システムの導入、市街地周辺におけるゾーンバスシステムの導入、公共交通への利用転換に向けたインセンティブの導入、ICカードの鉄道利用への拡大、市街地への自動車の流入規制の導入等は、いずれも検討課題とされ、残念ながら「先送り感」が否めないものとなっています。
 また、現在居住している地域で、生活圏域内の移動、市街地への移動などについて、10年後にこのように変わるというイメージが描きづらい内容であることも課題であると考えます。

(2)より良い公共交通ビジョンを願う立場から、5点提案し、見解を伺いたいと思います。

 1点目は、公共交通ネットワークの維持・拡充に向けてです。
 交通空白地域への対応の基本的な考え方は盛り込まれていますが、より具体的に、市が中心的役割を担いつつ、交通事業者と連携して「市民主体・利用者主体」のスキームを作ることです。存続が危ぶまれる路線バスの維持をはじめ、市営バスやコミュニティバスの維持、交通空白・交通不便地域における交通ネットワークの形成にあたり、市としての役割・責任を「維持基準」として設定し、市民と事業者によるパートナシップ協定により路線等の利便性を高め利用促進を図るシステム、そして市としての最低保障基準の仕組みづくりなどをより具体的に整理していくことが必要であると考えます。
 NPO法人等によるコミバスの運行や過疎地有償運送の導入が検討課題とされていますが、現実的には大きな困難が伴うことが予想されます。事業者任せ、行政任せから脱皮し、市民の参画度・決定度を高めていく仕組みとして、市民の間にマイバス・マイレール意識を広げ、市民主体の検討スキームの見える化を図ることが重要ではないでしょうか。

 2点目は、公共交通への利用転換についてです。
 地球温暖化防止の視点からの利用転換の促進、県が実施するノーマイカーウィークの活用・拡充を通じて、市独自のノーマイカー事業を新たに制度化すること。
 また、公共交通への利用転換を図るためのインセンティブとして、マイカー通勤抑制に制に取り組む事業者への法人税軽減措置等による誘導策の構築。合わせて、交通ICカード「くるる」の汎用化の展望を示すとともに、買い物ポイント、エコポイント制度を早期に導入すること。

 3点目は、生活圏域ごとに「公共交通網がこのように便利に変わる」というイメージが膨らむような内容を盛り込めないかということです。

 4点目は、ビジョンにおける指標の設定です。
 公共交通ネットワークの人口カバー率、公共交通分担率、鉄道や路線バスの利用者数など将来目標を数値で明示し取り組みを推進することです。

 そして、最後に「公共交通ビジョン」の理念と基本方針、推進施策を実効性のあるものとするために、改正・地域公共交通活性化再生法に基づく「地域公共交通網形成計画」、そして「再編実施計画」を早期に策定し施策の具体化を推進することです。構えとこれからの工程について伺います。

お出かけパスポートの見直し…利用者負担は200円を上限に

(1)1回定額100円運賃で乗り放題という制度は高齢者にとっては魅力的で画期的な事業です。今回の見直し、一律30%の利用者負担の統一基準に合理的な根拠があるわけではありません。
 市長は昨日の答弁で「急激な負担増を軽減するため、例えば、上限を設定することを検討する」と答弁しました。半歩前進と受け止めます。
 見直し原案では、一律30%の利用者負担で、長野駅から戸隠中社までは370円、鬼無里までは360円、善光寺大門から信州新町・大原橋までは420円、新町中学校までは390円となります。いずれも3倍以上です。

(2)平均運賃300円の設定に鑑み、現行100円の3倍以内を限度とし、最低運賃100円を維持しつつ、当面2倍の200円を上限とすること、或いは利用者負担を段階的に引き上げる経過措置の導入を提案したいと思います。
 市長の政策判断の範疇にあるものです。しかも、おでかけパスボード事業は、「特別な財政事情」として特別交付税措置されている事業ですから特別な対応があってよいはずです。高齢者の外出支援、健康寿命延伸、公共交通の利用促進という観点から、市長の英断を求めたいと考えますが、見解を伺います。

市立長野高校の中高一貫教育導入は拙速、小中連携こそ喫緊の課題

(1)市立長野高校に中高一貫教育を導入する基本計画に基づき、H29年4月の中学校開校に向け、当初予算には、中高一貫の教育計画の策定と校舎実施設計に要する経費692万4千円が計上されています。この間、市議会は、中高一貫教育の導入について慎重論を大勢としてきたと受け止めています。予算措置による事業の具体化は余りにも拙速であるといわなければなりません。

(2)教育委員会においては、「なぜ生徒数の減少が見込まれる時期に新たな中学校を新設するのか」「生徒数減少など、周辺の中学校への影響はないのか」の点について検討したとしていますが、その検討プロセスは十分に説得力のあるものとはなっていません。改めて説明責任を求めます。

 さらに、「市立長野高校の新規入学定員が60名減少することで、中学生の高校進学の選択を狭めることにつながらないか」「単位制の総合学科高校でありキャリア教育を重視する市立長野高校の建学理念を発展させることに何故につながるのか」「小中高一貫した特色ある教育システム『長野市モデル』を研究・開発し、市内の小・中学校に還元するとされるが、その実効性はどのように担保されるのか」、そして何よりも「中山間地域において小学校、中学校の存続が危ぶまれる状況にあって、小中連携教育、或いは小中一貫教育を最優先にすべきではないのか」といった疑念が広がります。
 これまた、どのように説明責任を果たされるのか、質問します。

(3)信更地区において二つの小学校の統廃合が進められることになりました。中学校との連携がより問われる局面を迎えています。これは信更地区に限ったことではありません。国の動向を見据え、小中連携・小中一貫教育の具体化こそ喫緊の課題であると考えます。
 H29年4月開校のスケジュールをいったん凍結し、再検討することを求めます。

長野市民病院の地方独立行政法人化

(1)地方独法化により、自治体病院に求められる政策医療を継続し充実させる市民病院となるのか。税金を投入する根拠、市行政の関与・責任を希薄化させてはならないと考えます。見解を伺います。

(2)また、長野市内に、長野赤十字病院、厚生連篠ノ井及び松代総合病院、同新町病院、中央病院など、総合的病院が7施設存在する中で、自治体病院である市民病院が担うべき医療をどのように制度設計していくのかが問われています。
 へき地医療拠点、救命救急センター、基幹災害医療センター、小児救急医療拠点、地域がん診療拠点、周産期母子医療センター、認知症疾患医療センター等の機能について、加えて急性期、回復期、どちらにウェイトを置くのかといった点で、どのように役割分担し、充実させていくのか。基本的な市としての基本的な構え、構想を伺います。

「人権・男女共同参画課」の施策展開

(1)組織機構改変において「人権同和策課課」と「男女共同参画推進課」を統合し「人権・男女共同参画課」に統合されます。課の名称から「同和」が消滅することで、部落差別根絶に向けた取り組みが後退しないかを懸念します。
 「すべての国民の基本的人権の享有及び法の下の平等を保障する日本国憲法の理念並びに部落解放都市宣言(昭和51年3月29日長野市議会議決)の精神にのっとり、人権意識の高揚を図ることにより、部落差別等あらゆる差別のない明るい長野市を築くことを目的」とする「人権を尊び差別のない明るい長野市を築く条例」に基づき、いまだ厳しく深刻な部落差別に向き合い、根絶に向けた取り組みを強化すべきですが、見解は。

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