2月27日、3月市議会定例会が始まりました。3月24日までの会期です。
1513.4億円のH27年度一般会計当初予算、消費喚起や地方創生のための緊急経済対策、神城断層地震の災害復旧費等、約15億2400万円のH26年度一般会計補正予算など予算関係議案24件、条例関係30件、その他議案15件等が市側から提案されました。
施設建設のハード事業からソフト事業にシフト、1513.4億円の当初予算
H27年度一般会計予算案は、1513.4億円で、南長野運動公園総合球技場や長野駅善光寺口駅前広場の建設終了などにより、総額は過去最大だった前年度当初と比べ11.5%、約200億円の大幅減となる一方、重点配分した人口減少対策を重点優先施策と位置付け前年度比12.5%、251億円の大幅増としています。
全体的に、大規模プロジェクト・ハード整備の進展に伴い、人口減少対策や中山間地域の活性化といったソフト事業に力を入れる姿勢を打ち出したことが特徴です。
中核市である長野市が周辺自治体と連携して経済活性化などに取り組む「連携中枢都市圏」構想の検討と合わせ、旧合併町村の中山間地域に一定手厚く配分するなど市域全体のバランスに配慮していることも特徴といえるでしょう。
借金残高は1588億円、増える借金返済
H27年度末の市債残高見込みは、大規模プロジェクトの影響などでH26年度末見込みより36億円増の1588億円。貯金にあたる基金残高のH27年度末見込みは前年度末見込みより37億円減の308億円を見込みます。
大規模プロジェクト事業は本年度で2事業が完了し、借金返済のための公債費はプロジェクト事業の返済が今後本格化するため増加に転じることに。年々増加する扶助費などを合わせた義務的経費は当初予算で44.3%を占めることとあわせ、財政の健全化が課題となります。
サマーレビューとサンセット
カタカナ語で何のことやら…って感じですが…。
市は当初予算編成にあたり、予算編成前に事務事業を見直す「サマーレビュー」を初めて実施し、「サンセット(時限を定め終了させる事業)」の検討と合わせ、補助金や負担金の見直しを含め約1億1800万円を節減しました。
「サマーレビュー」の取り組みそのものは評価しますが、決算状況と事務事業評価を踏まえた「行政評価システム」の一環として位置付けて取り組んでいくことが重要であると考えます。
サンセット事業に、「人工透析患者等援護金支給(▲1583万円)」(H26年度で終了)、「耐震補強促進リフォーム補助金(▲1000万円)」(H27年度で終了)などが計上されている点については、直ちに納得できるものではありません。
15億2400万円の補正予算
補正予算案は、国の緊急経済対策を活用したプレミアム付き商品券の発行に4億9600万円、小中連携や小中一貫教育など、少子化や人口減少社会に対応した教育環境づくりに取り組むため、連携推進ディレクター4人を嘱託職員として雇用し、地域や学校に派遣する「地域発活力ある学校づくり推進事業」に1000万円、妊婦歯科健康診査に807万円、東京事務所の移転経費1600万円余、除雪費の追加分8億1100万円、神城断層地震の災害費等が主な内容です。
H27年度当初予算を前倒し実施する事業が結構あります。
教育委員会への市長関与を強める条例案や市民病院の地方独立行政法人化に向けた条例など30件
組織機構の見直しで市民生活部や文化スポーツ振興部を設置する条例、教育委員会制度の改変に伴う条例、子どもの福祉医療費で「入院」について中学校卒業まで無料とする条例改正、長野市民病院の地方独立行政法人化に必要な「評価委員会」の設置条例、信更地区における信田・更府小学校を統合する条例改正、市有料駐車場の料金を値上げする条例改正、いじめ防止対策推進法によりいじめ問題対策連絡協議会を設置する条例などなど…。
重要な条例案が沢山提案されています。
福祉医療費「入院」の対象年齢拡大…初日即決で可決
子どもの福祉医療費について、「入院」についてのみ現行の「小学校卒業まで」を「中学校卒業まで」に所得制限なしで拡大する条例改正案は、開会日に福祉環境委員会に付託され、全員一致で可決、本会議で成立しました。
「通院」についての拡大は、社会福祉審議会答申で、「できるだけ早期の実現をめざし、財政状況等を考慮しながら、その実施方法について引き続き検討することが適当」とされ、「早期実現」に向けて行政側は検討を進めている段階です。
できれば、「入院」と「通院」をセットで「中学卒業まで」拡大させたかったのですが、半歩前進と評価しましょう。
所得制限の導入の如何と経費(約1億円)が課題となっているようです。県の市町村への支援策の「中途半端」さも要因の一つと指摘しなければなりません。