長野市…県基準を超えて保育料軽減へ

 長野市は、子育て支援の一環として、H27年4月から第3子以降の保育料(保育所・幼稚園)をさらに軽減する方針をまとめました。

 現行の多子世帯(子ども3人以上の世帯)の保育料軽減について、国の基準や新しい県の基準を活用しつつ、これらの基準を上回るもので、3人目の出産・育児を考えている子育て世帯には朗報となるものでしょう。
 所得制限の導入という課題は残りますが、一定の評価をするものです。

保育料軽減の国の基準と県の基準

 幼稚園や保育所、認定こども園などを兄弟で利用する場合、最年長の子どもから順に2人目は半額、3人目以降は無料とするもの。
 ただし、幼稚園では、年少から小学校3年までの範囲内に子どもが2人以上いる場合に限定され、第1子が小4以上はカウントされず、保育所では、小学校就学前の範囲内に子どもが2人以上いる場合を対象とし、第1子が小1以上はカウントされない制度となっています。

 県の新しい支援制度は、国の条件である「小4以上」「小1以上」といった「カウントする兄弟の年齢の上限」を撤廃するもので、出生順位第3子以降の3歳以上児も3歳未満児も「月額6000円(上限)を減額」するものです。県が市町村に対し2分の1を補助します。
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 2011年の出産に対する全国意識調査では、夫婦に尋ねた理想的な子どもの数は2.42人、実際に持つつもりの子どもの数は2.07人と、いずれも過去最低に。「子育てや教育にお金がかかかりすぎる」(60.4%)ことが理由とされ、若い世代ほど割合が高いとされます。
 また、県の子育て支援アンケート(H26.8)では、行政に充実を求めることに「保育料の軽減」(64.3%)、「教育費の支援・軽減」(52.3%)など経済的な支援への期待が高いとされたことから、新しい支援制度が検討されてきました。

市の新しい保育料軽減

 市の新しい軽減策は、保育所の保育料について、「第3子以降の子どもが3歳未満児の場合に「推定年収600万までの世帯(階層区分でA~D6)」を対象に無料とするものです。約75%の子育て世帯が該当するとされます。
 幼稚園の場合は県制度と同様です。
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 市における対象児童数は、保育所で1,130人、幼稚園で364人と見込み、軽減額は1億1,940万円となり、県から4,700万円が補助されることになります。市の負担額は約7,235万円となります。

 新しい軽減策については、概ね5年後を目途に3人目以降の出生数などにより検証するとしています。

 第3子以降の3歳未満児の保育所保育料を「無料」とする点が長野市独自の取り組みとなります。推定年収が600万までの世帯に限定される所得制限が導入されますが、600万以上の年収世帯でも「月額6,000円の軽減」は適用されます。

年収600万円世帯を境目とする合理性は

 「年収600万」を基準とすることについて、その合理性を問うたところ、「京都府などの取り組みにおいても、対象世帯の約75%をカバーする制度なっていることから、一つの水準とした」ということです。
 全てを無料とした場合の負担額も聴きましたが「試算していない」とのことでした。
 イマイチ説得力はありませんが、全体的には前進です。

 市では、子どもの医療費無料への助成について、「入院」費用については中学3年生まで拡大する方針を固めましたが、「通院」費用は小学6年生までで現行通りとしています。社会福祉審議会では「さらに検討する課題」とされているものの、早急な実現を求めたいところです。

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