永田町発…一挙に衆議院解散風が加速し、消費税10%導入の一年半の先送り、12月2日公示・14日投票が確定しつつあります。
”大義なき解散”ですが、消費税10%引き上げ、集団的自衛権の行使、原発再稼働、労働者派遣法の改悪にNO!の声を突きつける国民審判にしたいものです。
とはいえ、準備は全くなし! わが社民党にとっては”荊の道”です。
解散風が突風となり吹き荒れる11月10日から12日、長野市議会・議会運営委員会の行政視察で、神奈川県相模原市・愛知県豊田市・山口県防府市の市議会を訪問。議会運営や委員会のインターネット中継、議会報告会等の取り組みについて学んできました。道中はもっぱら解散の話題でしたが…。
副委員長として報告書をまとめる必要もあり、私見を交え、簡単にまとめてみました。
まずは相模原市議会です。[写真は相模原市ホームページ・トップ]
相模原市議会
(1)相模原市は面積328.8㎢、人口72万人の政令指定都市。一般会計の財政規模は2,576億円に上る。
相模原市議会の須田毅議長(全国市議会議長会国対委員長)は長野市南石堂の出身だそうで、歓待を受ける。[写真下]
相模原駅に隣接する17ヘクタールに及ぶ米軍補給廠が返還されたことから、跡地を商業・業務・国際交流施設などを備えた開発が検討されている。
(2)相模原市議会での調査事項は、議会運営、委員会インターネット中継、議会改革の取り組みの3点。相模原市議会・議会局から説明を受ける。
議案質疑重視と一会期制の導入
➊議員定数48で、5つの常任委員会(総務・民生・環境経済・建設・文教)+議会運営委員会に特別委員会が7つ。予算は各常任委員会に分割付託、決算は分科会方式の決算特別委員会で審査。
➋議会運営の特徴は議案審査中心主義で、それは議案質疑に表れている。通告性に基づく議案質疑は、一人10分で会派の構成人数を乗じた時間を基本とし、会派代表が行う議案質疑(市の一般事務の質問を含む)を「代表質問」としている。従って一般質問は個人質問のみである。
長野市議会の議案質疑、代表質問・個人質問とは異なる仕組みとなっている。委員会審査においても、所管事項調査の比重が少ないのも特徴といえる。
なお、陳情も請願と同じように取り扱い審査・議決する。
➌議会改革の一環で、H26年3月定例議会から通年議会を導入している。
定例会の開催を通年1回とするもので、H27年からは、1月に「開会会議」を開催、2月、5月、8月、11月に「定例会議」を再開し、同年12月末までを会期とする運営となる。
地方自治法102条の2に基づく通年議会ではなく、「一会期制」を導入したもの。休会中には必要に応じ臨時会議を議長が招集する。
議会機能の強化、議会の活性化、市民意見の広聴機能の向上、緊急時における議会対応、専決事項の対応、機動性のある常任委員会の開催を図ることを目的としている。しかしながら、専決処分への対応は従前どおりとしている。
➍議会改革では、議会運営委員会の諮問機関として「議会改革等に関する検討会」を設置し取り組みを進める。選択制の一問一答方式や質問席の設置をはじめ(長野市議会導入済)、委員会のインターネット中継、本会議場への大型モニター設置、議会広報の充実として市議会ホームページの独立(独自ドメインの取得)とフェイスブックの開設に取り組む。
委員会のインターネット中継
➊H21年度から導入を検討し、H24年3月定例会から実施。
放映対象は、議案、請願、陳情を審査するために開催される常任委員会・特別委員会・議会運営委員会・決算特別委員会分科会の4委員会。
放映の種類はライブ中継・速報版(開催翌日に公開)・録画放映(開催から約5日後に公開)の3段階で、録画は約8年分(2回の任期分)保存される予定。
視聴件数はH25年度でライブが9,315件、録画が119,508件で、約3割弱増加している。一方、議会傍聴者は減少しているとのことだ。
➋放映設備の整備は、2つの委員会室を整備し、カメラや映像モニター・マイク・放映用パソコンなどの初期投資に3250万円、保守点検や放映システム使用料などの運用経費として年246万円の経費を要する。
機器類はパナソニックシステムネットワーク、放映システムソフトは会議録研究所を採用する。撮影方法は、委員が卓上のマイクボタンを押すことで自動的にカメラが向くものとなっている。
発言者(委員のみ・理事者側はなし)のテロップも自動化されている。タッチパネル操作となっている。
インターネット中継用に専門の議会事務局職員1名の配置を要する。因みに委員会は自由討議方式である。
➌1委員会室に、4台のカメラ、大型モニター1台、中型モニター1台等が配置されている。
考察・所見として
➊議会運営や議案質疑の在り方については、それぞれの議会毎に規則化、申し合わせされているものであるが、長野市議会としても経験則のみに偏らず、議会としての議決責任・説明責任という観点から多面的・多角的に検証することの大切さを改めて痛感する。
特に、「形式的」になっている議案質疑の充実は要検討ではないだろうか。
➋委員会インターネット中継は、長野市議会において新庁舎・議場に合わせ導入を検討しているものだが、放映設備をどこまで整えるのかが課題である。
これまでも議会運営委員会で横須賀市議会や堺市議会の放映設備を視察してきているが、相模原方式は、スタンダード的なものとして考えてよいのではないかと思われる。
システム導入にあたっては、映像・音声・テロップ等自動化されたシステムを多角的に検討し、議会事務局の負担増につながらない対応が必要である。また、導入コスト・管理運営コストも慎重に検討する必要がある。
また、インターネット中継における不適切発言の扱いなどルールを明確化するとともに、議事録との整合性にかかわる修文の基準作りも必要である。具体的な検討を急ぎたいところである。
➌通年議会とは、議会の会期を1年とし、その間は議会の判断で必要に応じて会議を開けるようにする制度で、議会が常時、活動可能な状態になることから、長の専決処分が減少し議会が審議できる案件が多くなること、十分な審議時間の確保が可能になること、議会運営の充実・活性化が図られるなどのメリットを勘案し導入する自治体議会が増加している。
市民ネットでは長野市議会の議会活性化検討項目に「通年議会の導入」を検討課題として提案した経過があるが、議長に臨時議会招集権が付与されたこともあり、検討を見合わせてきている。
通年議会とするには、従来の「定例会」の運用に工夫を加えて実現する方法と、地方自治法改正による新たな「通年の会期」を設定する方法がある。相模原市議会の1会期制・通年議会は、前記にあたるものだ。開催日数の増加に伴う費用弁償等の議会予算の増加を抑えることも考慮されているのであろう。ただし、長の専決処分の減少には対応していないことから、実質的には4定例会期制と大きく変わらないものとなっている。
とはいえ、議会の活動能力が常時担保されることで、議会機能の強化と議会運営の充実が図られ、二元代表制のもとにおける議会の役割を全うする視点は重要である。政策立案・政策提言を充実させる視点からも通年議会の意義を主体的に考える必要があろう。
全国的に増加する「通年議会」導入議会の試行錯誤をより深く検証しつつ、また議長による議会招集権の活用による議会機能の充実、大規模災害等の緊急時における長の執行権の担保と議会の役割と合わせ、引き続き検討したい課題である。
議場の写真
議会運営委員会の視察では「議場」を拝見している。「国旗・市旗」の掲揚方法が目的の一つとされる。相模原市議会は固定の立て掛け方式。
豊田市議会・防府市議会は続報で。
★12月26日仕事納めの日にアップしました。
20141226議会活性化で視察➋豊田市議会…議会運営委員会
20141226議会活性化で視察➌防府市議会…議会運営委員会