26日午後、安茂里公民館で「第23回杏の里文化講演会」が開かれました。
今年のテーマは「土砂災害」です。
市立安茂里公民館と安茂里地区住自協の主催で、今年は信州大学副学長の赤羽貞幸氏を招き「土砂災害はどのような場所で発生するのか~災害の予知と減災」を演題とした講演会です。
南木曽や広島市、土砂災害が相次ぐ中での企画で、参加者の皆さんは真剣な面持ちで聴き入っていました。私も興味深くお聴きしました。
土砂災害とは大地を構成している土砂の移動に伴う災害
「大地を構成している土砂の移動」という定義は当たり前なのですが、ある意味、新鮮です。有史以来繰り返されてきた基本的な地質現象であり、自然の営み、「避けられない」大地の変動であるということでしょう。
赤羽氏は、3つに類型化される土砂災害、「斜面崩壊=山崩れ、土石流、地すべり」のうち、土石流災害を中心に、2006年7月の豪雨による岡谷・辰野土砂災害や地震による1847年の善光寺地震災害、2004年の中越地震を具体的な事例として、スライドを交えながら、土石流災害の特徴をわかりやすく解説。
とくに「土石流災害を起こしやすい条件を持った場所」として「地形=斜面傾斜・扇状地・天井川」、「地質=岩質・風化」「地質構造=割れ目・断層・活断層・褶曲地域」を指摘しました。
地域の弱点を知ることから
土砂災害の予知と減災について「災害に対する地域の弱点を知り、日ごろから減災対策を進めることが重要」と強調しました。
土砂災害の視点から見た地域の弱点を探るためには、過去の土砂災害履歴を把握すること、土砂災害を引き起こすような現象によってできた地形と地質を知ること、砂防関係の指定地を知ることが大事であるとし、「長野市防災マップ」や「県の信州暮らしのマップ」の点検確認を呼びかけるとともに、安茂里住自協が作成した「安茂里地区防災マップ」を減災の手引きとして活用することの重要性を指摘しました。
安茂里の大地は?
注目されたのは、安茂里地区の大地の特徴です。
東から勝手沢・金山沢・寺沢・太田沢・佐平沢・泥沢・犀沢・権現沢・蟹沢・滝沢川といった9つの沢と河川により、扇状地が形成されていること、小市地区では扇状地が犀川によって浸食されていること、太田沢や犀沢は天井川であること、1800mくらいの層を持つ裾花凝灰岩によって地質が構成されていること、活断層帯の信濃川断層帯(長野盆地西縁断層)の上にあることなどです。
いわば、「弱点だらけ」で「土砂災害の危険性が高い地域」として地質学的に再認識させられるものでした。だから安茂里地区の北斜面のほとんどが「砂防地域」であり、沢が「土石流危険渓流」に指定、全体的に「土石流災害警戒区域」及び「特別警戒区域」が指定されているということです。日頃からの防災意識の向上が重要です。
土石流災害に有効な避難場所の設定、山間部の沢周辺の管理、砂防堰堤のあり方などを今一度、再検証する必要性を痛感しました。
「1000年に一度」とされる善光寺地震の際の犀川のせき止め・決壊による大洪水被害の教訓の再認識も必要です。
「土砂災害から身を守るために」特別講座も
安茂里公民館では、昨日の文化講演会に引き続き、災害対策の特別講座が企画されています。
定員50名、関心がある方は公民館に申し込んでください。☎226-4059
◎第1回 「気象災害について」
11月18日(火)午後1:30~ 講師=長野地方気象台次長・矢澤易氏
◎第2回 「長野市の防災対策について」
12月16日(火)午後1:30~ 講師=長野市危機管理防災課係長・山口泰弘氏
防災マップリンク
★長野市防災マップ(防災情報)http://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/49975.pdf
★長野市防災マップ(地図一括)http://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/49974.pdf
★長野県・信州くらしのマップhttp://wwwgis.pref.nagano.lg.jp/pref-nagano/G0303G?mid=20001