今日午後、長野市が昨日公表した松代大本営象山地下壕の案内看板表示の修正内容について、「松代大本営追悼碑を守る会」で市に対し抗議の申し入れを行いました。【写真は副市長応接室での申し入れ。手前背中が黒田副市長】
昨日のブログ記事と合わせてご覧ください。
申し入れの内容は、➊公表された説明文は『長野市誌』とも矛盾するものであり、工事の主たる労働者は強制的に動員された朝鮮人労働者であった史実を明確に記す内容に変更すること。➋関係団体の意見を顧みず一方的に公表した説明文案を撤回し、改めて関係団体や在日団体、市民も交えた「検討会」を設置し協議・合意の上で説明文を確定することの2点です。
*申し入れ書=PDFファイル141009追悼碑を守る会長野市抗議・要請文
「再検討はない」と黒田副市長
対応した黒田副市長は、手続きの問題について「持ち帰って検討するとしたにもかかわらず、そのまま公表となったことは、順序が逆だと思う。怒りはもっともであり、お詫びする」と謝罪したものの、修正内容については「観光看板として、歴史の評価には立ち入らないことを基本にして検討したもの。文献を調査した上で、客観的事実をまとめたものだ」と述べ、「市長に意見は伝えるが、再検討はない」と頑なな姿勢を崩しませんでした。
客観的事実である「強制的に動員された事実」を断定せず伝聞形式で曖昧にした論拠は示しませんでした。いや、「示せませんでした」というのが正確でしょう。
民団、朝鮮総連も抗議
この日は、在日団体である在日本大韓民国民団(民団)と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の2団体と共同の申し入れとなりました。
民団県本部の金光慶議長は「必ずしも全てが強制的ではなかったなど、様々な見解があるとの記述の追加で、強制的事実がより曖昧で歴史の風化をもたらすことになり許されない」と述べ、「看板やパンフレットを直ちに元に戻す」ことを強く要請しました。
朝鮮総連県本部の李光相委員長は、一連の市に対応について「在日同胞や市民を愚弄する不当な行為であり許されない。不幸な歴史に真摯に向き合おうとする姿勢が全く見られず、東アジアをはじめとする国際社会から強く批判されるものだ」厳しく抗議し、朝鮮人労働者を強制的に動員した歴史的事実を明確に記すよう求めました。
在日両団体が揃っての抗議は、この問題がいかに重大かを示すものだと思います。【写真は申し入れ後の記者会見…右から民団議長・追悼碑を守る会会長・総連委員長】
新しい看板設置は10月末
予想された対応とはいえ、平行線に終わりました。極めて残念です。
しかし、これで終わらせることはできません。
新しい看板の設置は10月末頃、新しいパンフレットの発行は11月末頃とみられます。
週明けに「追悼碑を守る会」の幹事会を予定していますから、そこで今後の取り組みを協議することになります。
検討会の検討内容の検証
私としては、今後のために、「検討会」ではどんな検討が行われたのか、どんな文献を調査したのか。『長野市誌』の表記を引用しない根拠は何か。「全てが強制的ではなかった」とする見解の論拠は何か、いかなる文献で発表されているのか。「さまざまな見解」とは具体的に何を指すのか。「強制連行・強制労働」について広義、狭義のとらえ方についていかなる検討がされたのか。などなどを明らかにしたいと思います。
また、電話やメールで寄せられたとする意見について、その詳細を明らかにすることも必要です。
情報公開請求も含めて市の対応方を検証したいと思います。