人口減少社会…「幻の市長宣言」で市長の姿勢・手法を質す[その1]

 人口減少社会への対応策は、今議会の焦点の一つです。多くの議員が質問で取り上げました。
 私は、人口減少社会の対策について、幻となった「市長宣言」の顛末における市長の手法と、施策の中身について取り上げました。
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朝令暮改・幻の市長宣言

 市長は8月26日、議会に対し「人口減少社会への反抗宣言」をまとめ市民に向け発表したいと説明報告しました。しかしながら、「反抗宣言」というネーミングや市長宣言の在り方を巡り異論が続出し、記者会見では発表しないことになりました。
 朝令暮改、幻の市長宣言となったものです。

「宣言のつまずき」…思いつき・独断専行の表れではないのか

 人口減少社会への対応を重点政策として取り組む姿勢は共有するところですが、「市長宣言」を巡る顛末を取り上げ、満を持しての「宣言」の“つまずき”は、単に言葉・表現の問題にとどまらず、加藤市長の“思いつき・独断専行”の弊害の表れではないのか。また、政策・施策の意思形成の場である部長会議はどのように機能したのか。第5次総合計画の策定プロセスとの整合性をいかに図る考えなのか、市長の見解を質しました。

「朝令暮改は変化対応」、「思いつきはアイデア」と開き直り

 市長は、「人口減少は地域の活力を減退させる大きな要因であり、見過ごすことのできない問題で大きな危機感を抱いている」とし、「解決に向かうアクションを起こすことができないか、熟慮してきた。(宣言は)職員と理念を共有する中で時間をかけて企画してきたもの」と答弁しました。
 しかし、「なぜ、熟慮してきたものが議会からの異論で見送りになってしまったのか」、こうした事態に対する反省の弁はありませんでした。
 それどころか、「経営においては、朝令暮改は変化対応」「思いつきはアイデア」と開き直る答弁も。この答弁は追加されたアドリブだったようですが、こうした姿勢、気質が「ワンマン」を危惧する要因なのです。

自戒を求め、「思慮分別」「熟慮断行」の言葉を贈る

 「変化対応」や「アイデア」は大事なことですが、不発に終わった打ち上げ花火、アイデアは生かされてこそアイデアです。行政のリーダーたる者、熟慮したことが議会の理解を得られないという事態を真摯に受け止めてもらいたいものだと思います。市長の“思いつき”に振り回される行政マンはたまったものではないと心配してしまいます。
 市長には、戒めの言葉として「思慮分別」「熟慮断行」の四文字熟語を贈らせてもらいました。市長は苦笑いで応えていました。

人口減少対策本部の早期設置と施策の検討を求める

 「幻の市長宣言」には盛り込まれていたものの、市議会初日の市長議案説明に盛り込まれなかった「人口減少対策本部」の早期設置と多角的な検討の開始を求めました。
 「人口減少対策本部」の設置は10日午前中の他の議員の質問に答える形で「設置方針」が表明されました。
 企画政策部長は「対策本部は、市長を本部長として部局横断的に取り組むものとして設置する。少子化対策、健康寿命延伸対策、企業誘致による働く場の確保、移住・定住促進など、各部局にまたがる人口減少対策の調整・推進を図っていきたい」と答弁しました。

有識者会議の設置を提案

 総合計画審議会においても「人口減少時代」をキーワードとして提言がされたところでもあることから、新しい委員で構成された第5次総合計画審議会との共同歩調と有識者会議の設置による検討を提案しました。
 企画政策部長は「次期総合計画策定の重要なテーマの一つ」とし、「総合計画審議会に人口減少問題に詳しい有識者を招くなどして対策を議論することは重要」の考えを示すとともに、「審議会の議論を踏まえて、有識者会議の設置の必要性について検討する」と答弁しました。

若者流出を食い止める「ダム機能」の発想で

 日本創成会議の座長を務める増田寛也氏が、「産業政策や社会政策が深く関わってくる問題であり、地方分権という視点を超える」発想が必要なこと、「若者流出を食い止める『ダム機能』を果たせる地域拠点都市という考え方」を提案していることから、このダム機能について掘り下げていくことの重要性も指摘しました。

「宣言にこだわらず…」との答弁は「市長声明」に

 市長は、人口減少対策について「宣言にこだわるものではない。議会の議論を踏まえ、さらに検討を深める中で改めて市民に強い決意を伝えたい」と意欲を示しました。
 この意欲のほどが、17日の総務委員会で明らかになました。
「人口減少社会に挑む市長声明…人口減少への反撃」という形で市民向けに発表する旨、企画政策部長から説明がありました。詳しくは「その2」で報告します。
 「反抗から反撃か…」。市長の想いですから、ネーミングや手法についてはこれ以上掘り下げませんが、「宣言」であれ「声明」であれ、問題は、人口減少時代において、その流れに歯止めをかけうる新たな取り組みです。質問でも、交流人口の増加、定住人口の増加、特色あるまちづくりの3点を重点に施策展開を図るとしている点について、「新鮮味に欠ける」と指摘しました。
 これまでの施策の寄せ集めでは、意味がありません。有効打に私たち議会人も知恵を絞りたいものです。

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