10日、本会議で一般質問を行いました。
取り急ぎ、まずは原稿を掲載します。
市側の答弁は、再質問のやり取りを含め、改めてまとめて報告します。
市議会中継・アーカイブ
質問の様子は「市議会中継」でご覧いただけます。9月10日個人質問…5番目です。
1.人口減少社会への対応、幻の市長宣言について
(1)市長は8月26日、議会に対し「人口減少社会への反抗宣言」をまとめ市民に向け発表したいと説明報告しました。しかしながら、「反抗宣言」というネーミングや市長宣言の在り方を巡り異論が続出し、記者会見では発表しないこととなり今日を迎えています。朝令暮改、幻の市長宣言となった格好です。初日の議案説明では人口減少社会への対応を重点とし一定の方向性が提起されたものの、従来の施策を改めて整理する域を超えず、新鮮味に欠けるものとなっています。
人口減少社会への対応を重点政策として取り組む姿勢は共有するところです。また、総合計画審議会においても「人口減少時代」をキーワードとして提言がされたところでもあります。
(2)この度の市長宣言を巡る顛末について、形式・手法と内容の両面から質問します。
まず、手法について。満を持しての「宣言」の“つまずき”は、単に言葉・表現の問題にとどまらず、加藤市長の“思いつき・独断専行”の弊害の表れではないのでしょうか。また、政策・施策の意思形成の場である部長会議はどのように機能したのでしょうか。第5次総合計画の策定プロセスとの整合性をいかに図る考えなのか、市長の見解を伺います。
(3)内容について。幻の宣言に盛りこまれていた部局横断組織「人口減少対策本部」の設置は、議案説明では踏み込まれませんでしたが、設置そのものは支持するものです。どのように対策を進めるのですか。また、庁内にとどまらず、総合計画審議会との共同歩調による有識者会議を設置し検討を深めることも必要であると考えますが。所見をうかがいます。
(4)日本創成会議の座長を務める増田寛也氏は「産業政策や社会政策が深く関わってくる問題であり、地方分権という視点を超える」発想が必要なこと、「若者流出を食い止める『ダム機能』を果たせる地域拠点都市という考え方」を提案しています。若者の雇用の場の確保がカギです。そして子育て世代の定住、健康長寿の促進です。その意味で産業政策・社会政策の視点が欠かせないし、「ダム機能」を掘り下げて考えていくことが重要だと考えますがいかがでしょうか。
2.新第一庁舎・市芸術館建設工事の工期延長と市民負担の増大について
(1)全国的に深刻な労務不足を大きな要因として、新庁舎・芸術館建設工事は約8カ月遅延することとなり、総事業費は現時点で6億3千万増加し159億8千万円となる見通しが示されました。労務単価の再引き上げが検討されていることから、最終的には160億円を突破することが確実視される状況にあります。
(2)3点質問します。
1点目。労務不足は「不測の事態」であり、大幅な工期延長は受注者の責に帰する事由にあたらないとして、顧問弁護士とも相談し「損害金の請求は行わない」としました。代表JVだけでなく地元企業への影響等も鑑み、慎重に検討されたものと推察しますが、釈然としません。契約通りの工事履行は第一義的に受注者に責任があります。市民会館と地下工事部分を担当する第一工区の落札段階、或いは契約締結以降、昨秋段階で「労務不足」は十分に予見されていた問題です。発注者にも受注者にも契約履行に対する「甘え」があったのではないですか。「損害金の請求は行わない」とした法令根拠、理由をわかりやすく説明いただきたい。
2点目。工期延長に伴う経費負担増について、第一工区の前田建設・飯島建設JVは、その請求を辞退したとのことです。その増額分は約7500万円とされますが、前田・飯島建設JVは、その増額分を契約金額の中に飲み込んだことになります。入札不調を経由した第一工区はギリギリの金額で落札されただけに、飲み込み分が下請け企業の人件費等に転嫁されないことを願うばかりですが、適正な労務費の維持確保について、どのような対策を講じるのか。
3点目。増額分6億3千万円の財源は、合併特例債で6億、庁舎及び文化施設建設基金3,000万円で調達するとのことです。合併特例債は7割が交付税措置されるとはいえ、約2億1千万円が新たな市民負担として生じることになり、結果、約14億6千万円の一般財源投入となります。
監査委員からは「大規模プロジェクトの進捗に伴い、将来負担の増加の影響が懸念される」と指摘されたところです。大規模プロジェクト事業の進捗によって、福祉や教育など市民生活に直結する領域の施策にしわ寄せすることはないと宣言してもらいたいと考えますがいかがか、見解をうかがいます。
3.松代大本営地下壕の施設案内の看板及びパンフレットの復元について
(1)「強制的に」の4文字が削除された問題です。松代大本営工事の建設に従事した朝鮮人労働者は約6千人と推定され、さまざまな証言や記録から、朝鮮半島や日本国内の建設現場などから強制的に連行された労働者が数多く存在する事実が明らかになっています。アジア・太平洋戦争時には日本国内でも「徴用令」により多くの日本人が労働力として動員されましたが、戦争末期には当時植民地であった朝鮮半島でも「徴用令」が適用され、日本国内での労働力不足を補うために官憲もかかわった「強制連行」により、多くの朝鮮人が日本国内の建設現場などに動員されました。
これらは、「認識」の問題ではなく厳然たる「歴史的事実」です。朝鮮人労働者の「強制性」は争う余地がない史実です。
(2)この点において、8月11日の「松代大本営追悼碑を守る会」の申し入れの際に、対応した樋口副市長は「強制的な連行の有無については長野市誌に記載してある通りであり、市誌の内容が長野市の見解である」と答弁しました。長野市誌の記述を基本とする市の見解にブレはないと信じたいところです。
今日、ようやく検討会が設置され、「客観的な事実の記載に努める」方針が確認されたとされます。
(3)そこで、5点質問します。
1点目。「思慮を欠いた行為であり、混乱を招いたことを謝罪する」とするのであれば、段取りとして、まずは原状回復・復元したうえで、再調査・再検討することの是非を考えるべきではないのか。
2点目。それができないとすれば、市誌の記述を客観的に引用紹介する形で「史実」を説明案内とする措置を直ちに取ることが最善の方法ではないのか。
3点目。市長は、議案説明で「大きな論点の是非もさることながら」と論点を回避する姿勢をにじませました。また8月27日の記者会見では「あくまでも戦争遺跡であり、問題は踏み込まない。検討委員会をやることにあまり賛成していない」と述べています。真意を何か。
4点目。検討会は、庁内にとどまらず、外部の有識者、当事者である在日団体、市民参加により表記内容を検討すべきと考えるがどうか。
5点目。松代大本営地下壕について、商工観光部所管の観光施設から、教育委員会所管の歴史教育・学習施設、文化財施設に移管させることを提案するが、所見は。
4.介護保険制度の見直しについて
(1)地域医療・介護総合確保推進法により、これまでの介護保険制度は「地域包括ケアシステムの構築」と「費用負担の公平化」が打ち出され大きく見直されることになります。
負担だけが増えてサービスが切り捨てられるのではないかといった不安と懸念が拭えません。
市の介護保険課からもパネラーとして出席いただいた介護保険制度の見直しをテーマにした政策フォーラムでは、在宅介護、施設介護を担う現場の声として、次のような不安と懸念が相次ぎました。
これまで受けられたサービスを維持することができるのか、地域が支える地域包括ケアシステムは質の高いボランティアや専門員など十分なマンパワーを確保できるのか、現状16の地域包括支援センターで対応できるのか、現状の専門スタッフだけでは対応できなくなるのではないか、報酬単価の設定によってはサービスの担い手が減ってしまうのではないか、移動手段の確保やサロン活動の拠点となる公民館等のバリアフリーが課題として残っているがどう対応していくのか、広い中山間地域を抱える長野市内において、地域で受けられるサービスに格差が生じるのではないか、要支援2と要介護1では地域支援事業と介護保険事業で制度の境目となるが混乱が生じないのか、複雑な制度のもとでサービスの隙間に陥る危険性はないのかといったものです。
(2)保健福祉部長はこれまで「サービス水準や利用者負担など、現状と差異が出ないよう配慮しながら、効率的かつ効果的に介護予防と生活支援サービスが提供できる仕組みとしていきたい」と答弁してきていますが、列挙した不安にそれぞれどのように応えるのか、所見を伺います。
(3)新しい介護予防・日常生活支援事業において、NPOやボランティアなどサービスの担い手を直ちに充足できるとは考えにくい。また、住民自治協議会が十分な受け皿としていけるのかも未知数であることを考えると、地域包括ケアシステム、地域支援事業の拠点となる地域包括支援センターを生活圏域ごとに設置、増やすこと、専門スタッフを拡充しきめ細かい対応ができるよう機能強化することが求められます。このことは、介護予防に必要なサービス事業者の偏在や地域力の差異により、懸念される地域間格差を生み出さないためにも早急な対応が必要です。合わせて見解を伺います。
(4)全国一律の介護予防サービスから市の地域支援事業に移行するということは、長野市の力量が問われることになります。介護給付費の抑制を優先するあまり、必要なサービスが受けられなくなるようでは、到底市民の理解は得られません。国のガイドライン等が示されてきていますが、国の基準を超えてサービスを上乗せ提供する、温かい「長野モデル」を作り上げるべきと考えますが、見解を伺います。