県版第三弾目の政策フォーラムは「県の契約に関する条例」をテーマにしたシンポジウム。
9月6日午後、自治体議員などで構成する実行委員会主催で、県労働会館で催されました。
県が行う建設工事の契約をはじめ、印刷などの製造の請負契約、県庁舎の警備や清掃などの「その他の契約」において、「労働者の適正な賃金水準などの労働環境の整備」が実効性ある形で取り組みが進むのかがテーマです。
パネラーとして、県の契約・検査課長から「長野県の契約に関する条例と今後の取り組み」について、県の契約に関係する現場からの声として、建設労連・宮川信一書記長から「建設現場の問題点と今後の課題」、印刷労連地方協議会・栗林正直議長から「県の印刷に関する発注の問題点と課題」、県の契約審議会に労働者委員として参加している連合長野・高橋精一副会長から「県の取り組み方針に関する審議会の意見」などを提起してもらい、意見交換が行われました。
県では制定された「県の契約に関する条例」に基づき、10月20日までに「県の契約に関する取組方針」を決定する段取りになっています。
審議会では、「(入札にあたっての)予定価格の適正な設定」について、「製造の請負、物件の買い入れ及びその他の契約において、より適切な予定価格の設定について検討する」とされ、ダンピングによる前年度落札価格を基準としないような方策が検討されそうです。
また、『庁舎等の清掃業務において、一般競争入札に係る最低制限価格制度の拡大を検討、警備業務や印刷業務において最低制限価格制度の導入を検討』、『「その他の契約」において、サービスの質の向上や、環境配慮及び多様な労働環境の整備への取組を評価項目とする総合評価落札方式の拡大を検討』、『「その他の契約」において、契約期間を複数年とすることで有利となる契約の対象業務の拡大を検討』など、最低制限価格制度の導入の拡大、総合評価落札方式の拡大等が検討項目になっています。
適正な賃金水準の確保に関しては、『建設工事、製造の請負、物件の買い入れ及び「その他の契約」において、資格総合点数等に、事業者の障がい者雇用、仕事と子育ての両立支援などの多様な郎地同環境の整備への取組を評価する項目の追加を検討』、『建設工事において、適正な労働賃金の支払を評価する総合評価落札方式等を試行』との方針が現段階で盛り込まれています。
適正な労働賃金をどのように設定するのか、そしてどのようにチェックできるのかがこれからの課題です。「最低賃金」や「労務単価の90%」といった基準を「下限額」として定めることができるか否かがポイントです。
県では、建設工事に関しては「契約後確認調査」を強化する考えで、「労務者の確保計画の比較表」(入札時の労務単価と工事完成時の実際に支払った労務賃金)の提出等を通じて、適正な賃金の確保状況を把握したいとしました。
現場からは、「建設工事において労務単価が引き上げられているが、下請け段階では、ほとんど反映されていない。サンプル調査ではいまだに5,900円(日額)の落差がある」、「価格競争の結果、前年度価格を基準としているため、予定価格そのものが上がっていない」との厳しい指摘が相次ぎました。
国では、インフラの品質確保とその担い手の確保に関する制度改正として、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)、公共工事入札契約適正化法(入契法)、建設業法の3法を改正しました。「担い手3法」といわれているそうです。これら法改正については、技能労働者の確保に向けた具体的な方策が盛り込まれているのか、勉強が必要です。
県の契約に関する取組方針の成り行きを注視するとともに、長野市において公契約条例の制定(市は消極的)はもとより、総合評価落札方式の拡大、加点の基準の拡充、適正な賃金水準の確保に関する契約規定の明確化・具体化、発注者としての労働賃金の適正な支払状況の監督と指導に取り組んでいきたいと考えます。