2月の大雪や労務不足等により8カ月遅れとなる新第一庁舎・市芸術館の建設工事について、2月の労務単価引き上げや資材価格の上昇、工事の遅れに伴う新たな経費、耐震のための特定天井工事などで事業費が約6億3.000万円増額することが、26日、議会に示されました。
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総事業費159.8億円に(現時点試算)
総事業費は153.5億円から159.8億円に膨らみます。9月市議会に一般会計補正予算案に追加し提案されます。
増額分は、労務単価や資材価格の上昇分を発注者に請求できるインフレスライド条項を適用する分として4億3,680万円、工期延長に伴う現場事務所や重機リース料の経費として9,300万円、ホール等の吊り天井の耐震化工事と2カ月間の工期延長に伴う経費として9,540万円、合計で6億2,520万円と試算されたものです。
労務単価の引き上げは、深刻な労務不足を反映して、国でこの秋にも再引き上げが検討され、年度末には再々引き上げも予想されます。
159.8億円は現時点での事業費で、最終的には160億円を突破することが確実視されます。
工期延長分の市と受注者の負担割合は8:2、前田・飯島建設JVは辞退
市側は、工期延長に伴う経費負担について、契約約款55条により発注者・受注者双方の協議により決定することになるとの考えを示してきました。不測の事態による工期延長という判断から「折半が妥当」と考えてきましたが、協議の結果「発注者8:受注者2」となったようです。
公共工事の品質確保と地元企業等の労務や下請けへのしわ寄せ防止を勘案し、インフレスライド条項の適用で平均5%上昇の内、1%までは受注者が負担するとの取り決めに準じたとのことです。
地下工事と市民会館建設工事の第一工区を受注した前田・飯島建設JVは、工期延長分の経費増額を辞退したそうです。第一庁舎建設工事の第二工区(北野建設JV)と設備工事に対応するものです。
前田・飯島建設JVが辞退した工期延長による経費は、第二工区の経費4800万円から推測して、5000~8000万円と考えられます。入札不調を経由した第一工区だけに下請け等へのしわ寄せとならないよう願うばかりです。
増額分の財源は合併特例債(借金)と基金(貯金)
増額分6.3億円の財源について、建設事務局から聞き取りしたところによると、約6億円が合併特例債を活用、3,000万円は市民会館建設基金から調達するとのことです。
「えっ!合併特例債はまだ使える枠が残っていたのか」(市は313億円の枠がある合併特例債について満額活用しているとしてきた)と確認すると、他の建設工事で発生した入札差金分が残っていて、年度当初で約8億円の枠がのこっているとのことです。入札差金により生じた不用額(合併特例債の不用枠の拡大)の活用については「緊急性・必要性に応じて」と慎重姿勢を崩さない財政当局が気前よく応じたものだと思います。やむを得ないとの判断なのでしょうけれど。
いよいよ懸念されるしわ寄せ
合併特例債はその70%が交付税措置されますから、約1.7億円市費負担が増えることになります。これで庁舎・芸術館建設の市費分は12億円位になるのでしょうか。
松代新斎場建設も5カ月の遅れで事業費の増大が見込まれます。他の事業へのしわ寄せがいよいよ懸念されることになるのではないでしょうか。