庁舎・芸術館の工期延長=(8+2)-2=8カ月

 6日に開かれた市議会・総務委員会で、市役所第一庁舎・長野市芸術館建設の工期延長について、ホールの特定天井の耐震化工事を含めて「8カ月」とする見通しが示されました。庁舎・芸術館の完成は、H27年3月末から、H27年11月末となることが確定しました。

 7月18日の総務委員会では、「工期の遅れ」として、吊り天井の耐震化工事に必要な工期を含め「8カ月+α」としてきたものです。
 この日の説明では、[労務不足による工期延長8カ月]+[特定天井(吊り天井の耐震化工事・設計変更)の工期2カ月]-[工法変更や現場作業の効率化による工期縮減2カ月]=8カ月とされました。(8+2)-2=8カ月の方程式の意味合いです。
 「8カ月延長」の内訳は次の通り。
➊東日本大震災での天井落下を受けた建築基準法施行令改正に伴う特定天井の設計変更によるもの…2カ月
➋全国的な建設需給のひっ迫に伴う、鉄筋工、型枠工、内装工など専門工の労務不足によるもの…5カ月
➌2月の大雪、近隣地域での工事集中によるダンプカー不足によるもの…1カ月

 H25年度以降の社会情勢の変化と、それに伴う急激な労務不足等は、発注及び契約時には見込めなかったもので、「不測の事態」であるとの認識を示しました。その上で、契約約款による工事遅延の損害金は、顧問弁護士との相談の結果、不測の事態であることから受注者の責めに帰すべき事由にあたらないこと、イベント・キャンセルなど現実的な損害がないことから、「遅延による損害金は請求できない」との考えを示しました。
 また、工期延長に伴う現場管理費や仮設費など増加する経費負担については、約款55条により発注者・受注者双方の協議により決定することになるとの考えも示しました。

★疑問晴れないものの、「やむを得ず」と判断
 必要な労務者を確保することができず8カ月もの工期延長となるざるを得ない点について、受注者の責に帰すべき事由とならないとの判断をやむを得ず支持するものの、2回にわたる入札不調の経過を振り返ると、落札し受注者となった「前田・飯島JV」に工期20カ月で完成できる力量があったのか、そもそも槇設計事務所による芸術館建設においてより高度な技術・技法が必要とされるホール建設において「20カ月工期」が適正であったのか、といった疑問は拭い去れません。
 さらに、わずか2週間余りの間に、工法変更や現場作業の効率化で「2カ月間」も工期が縮減できたとされる点について、知恵が出されたことを評価しつつも、「違和感を禁じ得ない。6月~7月段階の工期の精査が厳格にかつ十分に行われたのか」疑問を呈するとともに「発注者として工程管理、工法検討において監督指導体制をより強化すること。受注者に対しては、工事の安全・品質確保を大前提に、適正な工程管理、工法効率化を毅然として求めること」を要請しました。

★受注者の工期延長申し出は6月10日
 委員会の中で、受注者が契約約款21条に基づき工期の延長を申し出たのは6月10日であったことが判明しました。6月市議会の真っ最中、市側は「3カ月程度の遅れであり、挽回できるよう事業者と協議」との答弁を繰り返していた時期です。しかも、当時の総務委員会では「工事の安全確保という点からも工期延長について柔軟に対応すべき」と意見集約していたにもかかわらずです。
 私は「契約約款に基づく工期延長の申し出の事実は重い。延長の幅はともかく、延長という事実を市民にも議会にも隠すことなくオープンにし、理解を得ていく姿勢が行政に問われている。都合の悪いことは隠すと受け止められかねないような姿勢は市民の信頼を損ねるだけ。こうした姿勢こそ改めるべき」と強く質しました。
 総務部長は「芸術館のオープンイベントなどへの影響が懸念され、はばかられる状況があった。ご理解を」と正直に答弁しましたが、何とも気持ちは晴れません。

★見通しの甘さを率直に反省し、仕切り直しで
 発注者にも受注者にも、労務不足の見通しについて「不測の事態」を繰り返すのではなく「不十分さ、甘さ」があったことを率直に認め、厳粛・厳格に工程管理を行い、安全第一で品質が確保され、素晴らしい庁舎・芸術館を完成できるよう仕切り直すことの大切さを指摘しました。

★松代新斎場の建設も5カ月遅れ
 今日の議会レクで、松代新斎場の建設工事においても、建設地内に大きな転石が多くあり、杭地業工事での3カ月の遅れに加え、労務不足等によりさらに2カ月、合計で5カ月の工期延長が必要と説明されました。
大峰新斎場は予定通り今秋11月から供用開始となりますが、松代新斎場は来年3月オープンから8月オープンにずれ込むことになります。
 他の大規模プロジェクト事業は、概ね計画通り進捗しているとのことですが、予断を許さない状況か続きそうです。

★新たな課題、山積…
 再び、今日の議会レクで、アルピコ交通からの不採算バス路線の見直し協議、市立長野高校への中高一貫教育の導入、新幹線延伸・善光寺御開帳プロジェクトに3億1800万円投入、市立公民館3館(芋井・篠ノ井・信更)への指定管理者制度導入、中央消防署移転に伴う中心市街地の消防体制、暴力団排除条例のパブリックコメントの結果などなどが報告・説明されました。
 9月市議会に向け、新しい課題が山積です。

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