「全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ」
こう宣言した全国水平社創立大会が京都で開かれたのが1922年(大正11年3月3日)です。
「我等の中より人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする者の集団運動を起こせるは、むしろ必然である」とし、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と高らかに宣言したのです。日本における最初の人権宣言です。
全国水平社は、大正デモクラシーを時代背景とし、日本社会における固有の差別として固定化されてきた被差別部落の地位向上と人間の尊厳の確立を目的として、西光万吉氏らを中心に結成され、戦後発足した部落解放全国委員会および部落解放同盟の前身にあたるものです。
そして2年後の1924年(大正13年)4月23日、小諸の高砂座で長野県水平社が結成されました。
20日午後、長野県水平社創立90周年記念集会が部落解放同盟長野県連合会の主催により佐久勤労者福祉センターで開かれました。
県知事や県教育次長らも出席した集会には、狭山事件を考える住民の会長野県連絡協議会・会長として来賓出席しました。
部落解放同盟中央執行委員長・組坂繁之さんの「水平社創立90年の闘いに学ぶ」と題した記念講演が行われました。
現在も、結婚や就職をめぐる部落差別は深刻です。また、部落差別を助長する「部落地名総監」といった書籍が水面下で流通し、長野市内でも「被差別部落」(=同和地区)の所在を確認する電話が絶えません。
また、最近では、「ヘイトスピーチ」といわれる排外的・排他的な差別言辞が社会問題化しています。
被差別部落の身元調査としても行われている戸籍情報等の不正取得を防止するため、本人通知制度の創設を求めたのが3月議会の取り組みの一つでした。残念ながら、すべての市民を対象とした本人通知制度の導入実現には至りませんでしたが、弁護士や司法書士による不正取得が発覚した場合に、不正取得された本人に被害を通知する制度は導入することになりました。
90年という過酷な解放運動の歴史に立ってもなお、根絶されることのない部落差別を、人権問題一般に解消することなく、人権のアンテナを研ぎ澄まし、根絶に向け取り組む決意を新たにしました。
狭山裁判の再審請求は、今年こそが正念場です。