新第一庁舎と市民会館(長野市芸術館という名称に決まりました)の建設工事はH27年3月の完成をめざし急ピッチで進んでいます。現在、免震装置の設置をはじめ地下2階~地下1階部分の工事が行われています。
3月市議会の総務委員会では、建設工事の進捗状況、労務単価の引き上げに伴う建設事業費の見通し、工事の安全管理と品質管理の徹底が議論の対象となりました。
★工事は1カ月程度の遅れに
本会議では「若干の遅れ」とされていましたが、委員会の中では「1カ月程度の遅れ。4工区に分けて同時進行しており、工事作業の工夫で年度内にあげられるよう努める」との考えを示しました。
ダンプトラックの運転手の確保、鉄筋工・型枠工の労働者の確保が困難なことから、全体的に工事が遅れてきているとのことです。
遅れを取り戻そうと工事を急ぐ余り、事故の誘発や“手抜き”工事があってはなりません。完成納期にこだわらず、安全管理と品質確保を徹底することを求めました。
とくに工事中の中間検査、合同検査の拡充を強く求めました。
★労務単価の再引き上げによる事業費の増大避けられず
庁舎・市民会館の建設費は、H25年度労務単価の引き上げや資材費の高騰を受け、151億円から153.5億円に増大しています(基本計画段階では134億円でした)。2.5億円の増加は外的要因によるものでやむを得ないと考えてきました。
ところが、H26年2月から労務単価がさらに7.1%引き上げとなり、これからの事業者との契約見直し協議を見据え、市側は153.5億円を超える可能性を滲ませました。
財政部長は本会議で、新労務単価の影響について「建設費の約20%が人件費に相当することを考えると、7.1%の労務単価引き上げで総事業は2%位の増加につながる」との見方を示しました。単純に考えると約3億円の増加ということになります。
問題となる点は、事業費の増大に伴う市費投入額の増加と財政に及ぼす影響、引き上げ労務単価による労働者への賃金支払いの徹底にあります。
★市費投入は2.4億円の増に
委員会では、事業に投入する市費(一般財源)が当初の10.1億円から12.5億円に、2.4億円増加する見通しを示しました。合併特例債などの有利な借金を活用してもなお、今日的には増加が避けられない状況のようです。
事業者との協議、契約の見直しに至る過程において、財源見通しを含めて市民への説明と合意形成が欠かせません。
★引き上げ労務単価による賃金を確実に
H26年2月から適用される公共工事設計労務単価は、長野県平均で7.1%引き上げられています。例えば、鉄筋工は20,300円/日で積算されます。
国交省は、「設計労務単価は工事費の積算に用いるためのもので、下請け契約等における労務単価や雇用契約における労働者への賃金支払いを拘束するものではない」としますが、労務単価引き上げの背景には、低賃金ゆえの建設業における労働力不足があることは明らか。
労務単価の見直しによる契約金額の増大分が、下請け企業の労働者にもしっかりと還元される手だてを講じることは、公共工事の品質管理の面からも必要不可欠なことです。
市は、元請企業に対し、「適正に賃金の支払いを指導している」としますが、その実効性は何ら担保されていません。契約に基づき、適正な賃金が支払われていることを担保しうる調査と実態把握が必要です。
これは、庁舎・市民会館の建設にとどまらず、サッカースタジアムの整備、斎場建設、学校耐震化など施設建設に共通の問題であり、財政見通しに関わってくる問題です。
最大の解決法は、「公契約条例」を策定し、市が発注する公の仕事(建設工事契約に限らず役務契約、指定管理者との契約を含めて)に関し、適正な賃金の支払いを担保する仕組みを作ることです。
★立体駐車場は平面整備で再検討へ
基本計画では、750台分の駐車場を確保することとし、新第一庁舎前の広場に立体駐車場を整備検討する計画としてきましたが(これはこれで議論のあったところですが)、新市長のもとで、広場前の景観が損なわることなどから、平面駐車場への整備に転換できるかを具体的に再検討することになりました。
新庁舎付近での民地を含めた新たな駐車場の確保が必要となります。民地の確保、費用対効果等々の課題はありますが、平面整備の方向でまとまるのであれば歓迎したいと考えています。
4月中には方針をまとめたいとのことですから、期待して待ちましょう。