加藤市政に対する一般質問

 3月6日午前中に、一般質問を行いました。取り急ぎ、「こんな質問をしました」という意味で、質問原稿を掲載します。再質問を行った点は盛り込んでいません。時間がなく、端折って質問したものもあります。ご容赦ください。
 市行政側の答弁は、残念ながら、納得できるものは少なかったといわざるを得ませんが、個人情報の不正取得に対し導入を求めた本人通知制度については、制度そのものの導入は「国・県の動向を見て判断する」とされたものの、「不正取得された被害者に告知・通知することは準備する」との答弁があり、一歩前進と言ったところでしょうか。
 今回の質問で取り上げた、福祉や教育、雇用重点の施策展開をはじめ、情報公開、子育て支援策の充実、利用料金の引き上げ問題、消費生活行政の拡充について、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 明日には、新しい財政推計が示されます。健全で規律ある財政運営については、総務委員会等で吟味したいと思います。2月28日のブログに取り上げた課題等もあります。
 なお、通告していた「健康長寿都市・長野の方向性の具体化について」は、代表質問でも取り上げられ問題意識が重なったことから、健康寿命延伸に向け具体的な施策を体系的に整理し展開することを要望するにとどめました。

 順次、答弁を含め整理し報告したいと思います。
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◆33番 市民ネット 布目裕喜雄です。通告に基づき質問します。

1.「長野市を元気にガラッと変える」方向性について
(1)「デフレからの脱却」「新たな成長戦略」を掲げる安倍政権の下で、経済対策が講じられ、地方への波及効果が期待されつつも、地方・地域でその効果を実感できる状況になく、むしろ、厳しい賃上げ、円安、物価上昇、不安定な非正規雇用の拡大、生活保護費及び年金額の引き下げ、さらには4月からの消費税3%増税を控え、市民生活には疲弊感、閉塞感が押し寄せています。市民生活に活力を取り戻すためには、基礎自治体である長野市政において、市民生活の立て直しを最優先にしていくことが求められていると考えます。
(2)加藤市長は「長野市を明るく元気に“ガラッ”と変えていく」と表明し、子ども支援部の創設による子育て支援先進都市、大規模プロジェクトの検証、中山間地域活性化プロジェクト、支所機能の強化・支所長権限の向上などを新たに打ち出しました。これらの点は、その姿が具体的に表れつつあり、率直に評価し期待したいと思います。
 問題は、どんな方向に向かって変えるのかにあります。新幹線延伸・善光寺御開帳をチャンスとして街に賑わいを取り戻していく方向性も大事なことですが、私は、暮らしに疲労感、閉塞感が押し寄せている時だけに、福祉や教育、雇用を重点に、市民生活に活力と元気、幸せを実感できる市政の実現に向かって変わっていくことが重要であると考えます。
(3)そこで市長に伺います。平成25年度まちづくりアンケートにおける「行政施策の優先度」「住みよい長野市をつくるため、特に力を入れるべきだと思う施策」では、5年連続で「安定した雇用の確保」がトップ、そして、「バスや鉄道などの移動手段の確保」「商店街などの商業の活性化」「介護予防の充実、介護サービスの充実」「子育て支援の充実」が上位を占めました。アンケートから読み取れる市民の願いに応えてこそ、長野市政はガラッと変わったと評価されることになるのではないですか。市民の願いを、行政施策の優先度を図る重要な物差しと位置づけ、市民から見てメリハリの利いた政策・施策展開が求められていると考えますが、市長の所見を伺います。
(4)合わせて、「風通しの良い市政運営」について伺います。風通しがよくなるには現場主義で忌憚のない意見交換ができることに加え、市政に関する情報、政策・施策の決定に至るプロセスが市民に情報として開示され共有されることが大事です。
庁内会議における会議録作成指針(H25.6.3)により、部長会議・政策会議・総合調整会議など会議録を作成することになっていますが、課題は自主的かつ積極的な情報公開にあります。
 部長会議の会議録(要旨でしかないが)は、11月28日以降、ホームページにアップされていません。とみていたところ、3月4日に1月の部長会議の会議録がアップされましたが、もっと迅速な対応が必要ではないですか。さらに鷲澤市長時代にクローズされた政策会議の会議録等についても情報開示されることが必要です。見解を伺います。

2.副市長二人制に対する考えと副市長の役割分担について
 加藤市長は二つの市長直轄プロジェクトを立ち上げ、迅速な問題解決を図るとしています。これはこれで成果を期待する一人ですが、特別職である副市長2人の存在意義、役割分担が見えてきません。鷲澤市政時代の副市長プロジェクトは、一部市長直轄に組み込まれたものの、他のプロジェクトは廃止または休眠状態と聞きます。市長にとっての副市長2人体制の意義と役割、副市長プロジェクトの継続性について、どのように考えているのでしょうか。見解を伺います。

3.子育て支援先進都市の具現化について
 3点質問します。
(1)一つは、ワンストップの「子ども相談室」についてです。
 子ども未来部が創設され、子どもに関する相談を最初に受け止め、相談内容に応じて関係部署との調整を行う総合的な相談窓口として「子ども相談室」が設置されます。子育てに関する相談に対し、専門機関につなぐ、振り分ける役割を担う最初の窓口、いわば「総合案内」との位置づけです。一歩前進と評価するものの、私は、案内にとどまらず、相談にその場で答える、即応できる「ワンストップの相談室」に機能を高めていくことが重要であると考えます。いかがでしょうか。
 さらに、子ども貧困対策法の施行も踏まえ、子どもの貧困状態を見抜き、貧困の連鎖を食い止める的確な対策が講じられるような相談機能、子どものSOSを受け止め、子どもの人権救済につながる相談機能の拡充につなげていくことも重要です。見解を伺います。
(2)二つ目は子育て支援情報サイトの立ち上げについてです。
特別委員会で、浜松市で市とNPO法人が協働して立ち上げている「子育て支援情報サイト」=ぴっぴを視察しました。悩みや不安をいだきながら子育てに奮闘するお母さん、お父さんをサポートする総合情報サイトで、素晴らしいサイトです。子育て支援先進都市を掲げる長野市においても、導入を検討されたいと思います。見解を伺います。
(3)三つ目は子どもの権利条例の制定についてです。
 子どもの権利条例の制定に向け、市はこれまで、「ながの子ども未来プランにおいて権利条例制定も含めて取り組むとされていることから、関係4課と調査研究し、県の条例制定も見据えながら、副市長プロジェクトで検討していく」と答弁してきました。
 こども未来部が創設される今日、子どもの主体と権利にしっかりと目を向け、子ども権利条例制定に前向きに着手すべき時であると考えますが、見解を伺います。

4.利用者負担見直しの再検証について
(1)12月議会では新斎場の利用料の大幅な引き上げが賛成多数で議決されたところですが、第6次長野市行政改革大綱実施計画によると、さらに10の事業で「行政サービスの利用者の負担に関する基準」に基づき、利用料・使用料の引き上げが計画されています。児童館・児童センターの利用者負担の導入、少年科学センターや青少年錬成センターの利用者負担の見直し、体育施設使用料の見直し、公民館講座受講料の有料化及び施設使用料の有料化、働く女性の家講座受講料の見直し、お出かけパスポート事業における利用者負担の見直しなどです。
(2)ここでは、子育て支援、健康長寿といった観点から、児童センターの有料化、少年科学センター、青少年錬成センター、公民館講座受講料を取り上げたいと思います。
 「行政サービスの利用者の負担に関する基準」に照らすと、児童センター等は利用者の負担割合を無料から50%に、少年科学センターは25%、青少年錬成センターは50%、公民館講座受講料は、もともと「利用者の負担に関する基準」の中では類型化されていなかったものですが、成人学校の有料化等に伴い整合性を図るものとされています。いずれも、H27年度からH28年度に引き上げを実施する計画です。
 「負担の公平性」を図ることが目的とされる見直しですが、基準ありきで利用者負担を強いる道ではなく、税金の使い道として、すべての市民がサービスを享受することにはならないが、子育てや健康長寿、市民活力の増大の観点から政策的に優先し負担を軽減する施策として市民理解を得ていく道こそ選択してもらいたいと考えます。
 施設の老朽化が顕著な児童センターは、施設整備を優先し、現行の無料実施を政策的に継続すること、少年科学センターや青少年錬成センターも現行の利用料を維持し、むしろ施設の更新を優先させること、市立公民館の講座受講料の有料化は、利用者の声をしっかりと聞き、市民活力の減退につながらないよう慎重に検討することを求めますが、見解を伺います。

5.個人情報の不正取得を抑止する本人通知制度の導入について
(1)司法書士や行政書士が職務で戸籍謄本や住民票の写しの交付を受ける際に使われる「職務上請求書」が偽造され、戸籍情報などの個人情報が不正に取得された事態が発覚しました。信濃毎日新聞が大きく取り上げました。長野市では愛知県警が摘発し有罪となった司法書士・行政書士によって、31件の個人情報が不正に取得されています。
身元情報をはじめ不正取得された個人情報は、売買されるとともに、脅迫やストーカーなどの犯罪に悪用されるケースも発生し社会問題化していることは周知の事実です。
 職務上の権限が偽って行使され、本人が全く知らない間に自らの個人情報が取得され悪用される事態は、許しがたい犯罪行為であり、人権侵害行為です。
人権擁護の観点から、市民の個人情報を守る手立てが必要です。再発防止策が講じられなければなりません。
(2)そこで、本人通知制度の導入を提案します。本人通知制度は、市町村が戸籍謄本や住民票の写しを代理人や第三者に交付した際に、本人に交付したことを知らせる制度です。事前に登録した市民に通知する「事前登録型」や、委任状によって戸籍等を交付した場合に委任した本人宛に交付したことを通知する「全市民対象型」の二通りの制度があるとされます。全国では380近い自治体で導入され、県内では、「事前登録型」で東御市・上田市が、また「全市民対象型」で松本市・塩尻市・駒ケ根市・山形村など、6自治体で導入されています。佐久市でも導入が準備されています。
 未だに同和地区等の所在を確認しようとする差別事象等が絶えない中、また、昨今の個人情報流出による犯罪の増加に鑑みて、県都長野市において、個人情報を守り、不正取得を抑止するために、事前登録型の本人通知制度の導入を求めるところですが、前向きな見解と取り組みを伺います。
(3)合わせて、「職務上請求書の」の偽造により不正取得された31件の個人情報について、本人に通知する手立てを講じるべきと考えますが、見解を伺います。戸籍等の不正取得が判明した場合に、取得された市民全員に不正に取得されたことを告知する「被害告知制度」を導入している自治体もあります。
人間の尊厳が侵害されないよう、人権政策を総合的に推進するために策定された「長野市人権政策推進基本方針」にのっとり、前向きに、かつ速やかに対応されることを求めます。いかがですか。

6.消費生活行政の充実について
(1)消費者基本法や消費者安全法、消費者教育推進法を踏まえ、全庁的に消費生活行政を推進する体制が求められています。消費生活行政は「消費生活センター」にお任せでは、消費者の権利を尊重し消費者の自立を支援する行政としての取り組みは全うできません。
(2)そこで3点まとめて質問します。
 一つは、消費生活行政を全庁横断的な取り組みとするために、長野市版消費生活基本条例を策定し基本方針を確立することです。現行の「長野市消費生活の安定及び向上に関する条例」について、H19年3月議会では「長野県の条例制定の動向やその整合性などを十分に見据えながら、条例改正作業を進めていきたい」と生活部長が答弁されています。県ではH21年1月に消費生活行政の基本となる「消費生活条例」を施行されました。市としての取り組み状況はいかがか。
 二つ目は、消費者教育推進法に基づき、消費者教育基本計画を策定し、ライフステージに応じ、学校教育、事業所、地域などで包括的に消費者教育を徹底していくことが重要と考えるがいかがかということです。
市では、長野市消費生活協議会に対し、H23年度に市長から消費者教育・消費者啓発の充実について諮問をし、H25年5月に「消費者啓発・消費者教育の推進について」提案を含む総括的な答申書が提出されました。しかし、H25年度では新たに協議会の委員を任命することなく、閉店状態となっています。県では、現在、「消費生活基本計画」の策定が進められています。答申を踏まえた具体的な施策展開を求めるが、対応はどうかということです。
 三つ目は、消費生活相談の充実と相談員のスキルアップについてです。
 詐欺まがいの悪質な商取引の手口が複雑化・高度化している今日、またそれらの被害に対応する法改正が頻繁に行われている中、相談員のスキルアップが求められるところです。
 センターでは、H24年度まで行われていた東京都の消費生活センター相談員による指導研修が事業終了するなど、研修の機会が減少している傾向にあるのではないでしょうか。
 国民生活センターや県の消費生活室が実施する研修により積極的に相談員を派遣し、スキルアップを通して市民の相談に的確に対応し解決する態勢を充実・強化してもらいたいと考えますが、見解と対応を伺います。

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