20日、午前中の会派合同会議に続き、午後には、連合長野が呼びかけた「よりよい公契約条例制定をめざす長野県公契約条例制定推進会議」に出席。
組織内の代表や自治体議員をはじめ、弁護士会や社会保険労務士会、行政書士会、印刷工業組合などの代表が参加しました。経済4団体や建設業協会などにも呼びかけましたが、今回は欠席となったようです。
メインは、多摩市公契約審議会会長である古川景一弁護士の講演です。川崎市や相模原市の公契約条例制定にも関わってきた方です。
古川氏は、そもそも公契約法や条例は、フランスではダンピング受注の横行による公共工事の品質劣化を防止するためにできたこと、アメリカでは公共工事による景気回復政策とダンピング受注の排除を目的に健全な企業を育成するためにできたものであり、こうした流れを底流として1949年のILO第94号条約につながっていったことが紹介されました。
その上で、公契約条例とは、受注者と発注者の合意を基本とする契約であり、公権力による規制ではないこと、自治体が定める労務報酬下限額以上の労賃が就労者(下請け就労者を含む)に支払われるように自発時に措置し履行するものであり、公共工事や行政の委託業務など公共サービスの品質確保を図るとともに、事業者相互間・労働者相互間の公正競争の実現を図るものであることが強調されました。
こうした観点から、「公契約条例=官製ワーキングプアー対策論」は一面的であること、千葉県野田市の公契約条例は、我が国における公契約条例の先鞭をつけた意義は高いが、「最低賃金法を条例で上乗せ」する条例の設計思想は、本来の公契約規整の原理(契約・合意による規律)から逸脱していると指摘しました。「なるほど」とある意味、新鮮な想いで聴きました。
また、長野県が検討する条例案については、実現を目指すべき政策課題が明確化され「ないよりはあったほうがよい」が「これでおしまい」にせず、今後、公契約条例に発展させていくことが重要としました。
私自身は、公契約条例の原点である下限額以上の労賃を保障する仕組みが希薄であり、実効性を担保する仕組みの構築になお課題を残していると考えていますが、公共サービスの品質確保に向けた第一段階というのが古川氏の評価でした。
多摩市の公契約条例をしっかりと研究し、今後の取り組みに生かしていきたいと思います。大変勉強になりました。