先週末ですが、自治労北信地連(長野・富山・石川・福井)の自治研集会が金沢市で開かれ、「交通政策とまちづくり」分科会の助言者(助言者というのはおこがましい限りですが)として参加してきました。市長選挙の最終盤で「迷い」もありましたが、振り切って(?)行ってきました。
25日夕方からのアルピコ交通労組川中島バス支部の定期大会に出席した足で金沢市へ。前泊で入り26日の分科会から合流しました。
25日の全体集会は、北信地連4県に共通課題の「北陸新幹線とまちづくり」がテーマ。北陸新幹線(長野~金沢間)のH27年春開業を控え、長野冬季オリンピックに合わせ開業し15年が経過した長野県、開業まで1年半に迫った富山県と石川県、そして金沢開業後概ね10年後とされる敦賀延伸をにらんだ福井県など、それぞれ問題意識に違いはありますが、並行在来線の維持・存続が共通課題です。
全体集会では、北陸中日新聞の解説委員である山本義之さんが「北陸新幹線の光と陰」と題して講演されたそうです。
首都圏との大幅時間短縮と輸送能力アップによる経済効果への期待や観光客などの増加による消費拡大と産業間活性化という「光」がありながら、JRから経営分離される並行在来線の行方、首都圏に人や事業所が吸い取られるストロー現象の「陰」に着目し、整備新幹線と並行在来線を生活の足として表裏一体で考える視点、国による交通基本法や総合交通計画の整備の必要性を指摘する講演だったようです。
富山・石川両県では、並行在来線を経営する第三セクター鉄道が始動しています。富山県では「あいの風とやま鉄道」、石川県では「IRいしかわ鉄道」と命名されています。両社とも開業5年間は激変緩和策として通学定期の値上げを抑え、現行本数を維持するダイヤ編成を考えているとのことです。国は県及び沿線市町村のJRからの鉄道資産購入を支援するため地方交付税措置を決めましたが、一時的な支援策に止まり、将来にわたる国とJRの関与が求められるところでもあります。
私からは、新駅設などを含め利用促進策が欠かせないこと、三セク鉄道会社に対し運賃やダイヤ編成について利用者視点で要請活動に取り組む必要性などを指摘しました。
地域公共交通の維持・再生の課題を巡っては、北陸三県では、富山市のライトレールや高岡市の万葉線の再生、福井鉄道福武線や越前鉄道の再生、金沢市におけるオムニバスタウン、公共交通利用促進条例の取り組みなど、試行錯誤とはいえ先行事例が豊富な地域です。参加者からは新幹線開業に伴う観光や産業の振興面からの発言が多く、私としては、並行在来線問題とあわせ、先行事例に光をあてつつ地域公共交通の再生に求められる行政としての課題に問題意識を置いていたため、ちょっとかみ合わなかった印象です。
石川県の参加者からは、新幹線により能登半島や加賀地域がより埋没してしまう危惧、二次交通としての新たな交通アクセス網の整備の必要性などが指摘されました。また「新幹線にはあまり期待していない。それよりも、買い物難民をはじめ、日常的な住民の足をどのように守っていくのか、行政は何をしなければならないのかをしっかり考えたい」との意見も出されていました。「その通り」とフォローし軌道修正を図ったのですが、なかなか新幹線から離れない進行となりました。
福井市役所交通政策課に所属する参加者からは、「福井県までの新幹線延伸はまだ先の話で現実感がないけれど、北陸新幹線開業で長野~福井間は金沢乗換で2時間余り、永平寺と善光寺のつながりなど門前町としての観光交流に期待をつなぐ」との発言があり、「そういえば観光交流パートナーシップ協定を福井市との間でも締結したな」と思い出しつつ、興味深く聴きました。名刺交換してきました。
金沢にはレポーターを務めた私鉄県連書記長と一緒に参加してきたのですが、「兼六園に行ったことがない」というリクエストに応じ、路線周遊バスを使って、男性二人でデート(?)してきました。色づき始めていました。