「新市民会館の建設工事、再入札へ」…14日、本会議後の各特別委員会の審査が終わった午後4時過ぎ、議会内にニュースが走りました。
7月着工予定の新市民会館の建物本体工事の入札が2回にわたり成立せず、予定価格内での随意契約に移行するとの見通しに立っていましたが(11日のブログ参照)、14日、市が見積もり合わせを予定していた前田建設・飯島建設共同事業体が契約協議を辞退することになってしまいました。
これにより、既に落札している第一工区・第一庁舎建物本体工事をはじめ7つの設備工事等の契約は全て保留状態となり、7月着工は事実上不可能になったものと考えられます。
市では、見積もりを再計算し新たに設定する予定価格で改めて入札を行うとしています。市側が段取りしていた18日の議会への契約議案の説明、6月市議会での契約議案の議決はすべて先送りされることに。
再入札のための見積もり調整には3週間くらいかかるそうです。順調に再入札で落札できた場合には、7月下旬か8月上旬に臨時市議会が開かれることになりそうです。
【参考】6月11日のブログ=「新市民会館の入札不成立…巨額な随意契約に」
★合点がいかないこと
15日付の信毎報道によれば、辞退した前田建設工業長野営業所がその理由として『「資材費も人件費も全体的に値上がり基調にある現状で、これ以上入札額を下げることはできないと判断した」と説明』と報じられている点です。
資材費も労務単価も値上がりしていることは事実ですが、市では発注にあたり、見積もりは2月~3月段階での単価を基本としていることから、資材費の高騰や労務単価の見直しの反映は、落札価格に基づく契約後、速やかに実施することを公告していました。つまり、予定価格には外的な要因による見積もり単価の上昇分は見込んでいないことを予め明らかに市発注しているということです。
第一庁舎や設備工事などの入札は、旧単価で見積もられた予定価格で落札しています。第一庁舎などは2回目の入札で4億6,500万円も引き下げた価格で落札しているのです。
入札不成立・随意契約不成立の原因は、資材費や労務単価の引き上げが反映されていない予定価格の設定の問題ではなく、「実施設計と実施設計に基づく見積もりそのものに無理があるのではないか」、言い換えれば「実施設計通りの工事の予定価格としては、そもそも実勢を反映していない。意匠に凝った基本設計・実施設計そのものに問題があるのではないか」ということです。
市民会館だけ、外的な引き上げ要因を盛り込んだ契約となると、工事全体の整合性はどうなるのかという疑問も生まれます。
★事業費の圧縮、工期、工事の品質確保など、課題が急浮上
「入札を経て、151億円の建設事業費は圧縮できる」としてきたことに実現性はあるのか、H27年3月の完成は間に合うのか、工期が短くなることで公共工事の品質確保は大丈夫なのかといった問題が急浮上しています。事業費の検証や工事の検査徹底など、議会としてのしっかりとしたチェックが問われる問題です。
槇総合設計事務所が設計した新潟県の「鴇メッセ」での通路崩落事故が頭をよぎります(事故原因は明らかになっていませんが)。
既に落札している建設・設備工事では約3億6,000万円の入札差金が発生していますが、資材費や労務単価の見直しにより帳消しになることが予想されます。新市民会館建設では予定価格そのものが見直されますから、事業費圧縮の見通しは極めて厳しい状況にあります。市民への説明責任が問われます。
18日の総務委員会での審査が注目されます。
新しい市民会館=文化芸術会館の芸術監督に久石譲氏が内定し、期待が膨らんでいる時だけに、極めて残念な顛末です。