6日、20分の質問時間で一般質問を行いました。やはりすべてを質問することはできません。用意していた原稿を掲載します。
論点は改めて整理して報告します。
33番、市民ネット 布目裕喜雄です。通告に基づき質問します。
1.鷲沢市政3期の自己評価と今後の対応について
(1)市長は施政方針の中で、「道筋が現れてきている施策」がある一方、「まだまだ道半ばの施策」があり、「残りの任期も全力を尽くす」、そして「変革の年となるH27年に向け、自信と勇気と責任をもって歩む」と並々ならぬ決意とも受け取れる表明を行いました。「情勢を見極めて」というところに揺れる心情を察します。
自らの進退について、早期に表明されることが、「首長のけじめ」、「首長の品格」として求められていると考えます。善処を求めておきたいと思います。
(2)さて、3期12年間を振り返り、5点について自己評価を伺います。
一つは、政治姿勢の根幹とする「みんなの声が長野をつくる」との公約の実現度をどのように自己評価するのか。小さな声、声なき声に真摯に耳を傾け誠実に対処する姿勢に課題を残していると受け止めるがいかがでしょうか。
二つに、「箱モノばかり、福祉や教育の充実に独自の取り組みが希薄」との批判的声にどう応えられますか。
三つに、まちづくりアンケートで4年連続1位となっている「雇用の安定・所得の安定」、市民の最大関心事となっているこの問題について、何ができたと考えられますか。
四つに、民営化、民間活力の導入を歴史的使命とするあまり、官の持つ潜在的能力を十分に引き出し得たのか。所見を伺います。
五つに、「儲かる農業」に始まり、果てには「儲ける住民自治協議会」と、損得を価値観とする行政運営で果たして良いのかと考えます。産業において、生業を生業として成立させることに異を唱えるものではありませんが、格差と新たな貧困が広がる中、損得抜きで質の高い公共サービスの維持に心を配り、心を砕くことこそが行政の使命と考えますが、いかがですか。
2.第一庁舎・市民会館の建設事業費の増大が内包する問題と対応について
(1)新庁舎・新市民会館の建設事業費は、基本計画段階で新庁舎50億~65億円、新市民会館は約69億円程度とされ、合計で119億円~134億円と想定されると市民に説明してきました。そして、基本設計段階では、庁舎65億円、市民会館69億、計134億円の事業費、その財源等を示し市民の理解を得てきたものです。当然にして予算ベースの事業費として受け止めてきたわけです。その際、さらに事業費の圧縮に努めるとの姿勢が強調されてきたことも忘れてはなりません。
そして、今日、実施設計に入っている段階で、総事業費が134億円から17億円増大し、最大151億円を見込むとする報告がなされました。
パブリックコメントや議会側の要望等を踏まえ、工区分割発注の実施や地下2階への小ホールの設置、ホール面積の増などによる事業費増は、その限りにおいて、やむを得ないものと受け止めます。また、新たな国の補助金活用などにより、市の負担額の増大を回避する努力も、当たり前のことではあるが、多としたいと思います。
(2)しかしながら、事業費の増大・膨張について、「そうですか、仕方ないですね」と言える状況にはありません。そこで、3点質問します。
一つは、基本設計の変更があっても、市民に約束してきた総事業費134億円内にとどめることが必要であると考えますが、設計者との間でどのような詰めた協議がなされてきたのでしょうか。公共工事における品質確保、サービスの向上につながる質の高い公共施設は大前提ですが、何故、事業費の圧縮が不可能なのか、見解を伺います。
二つは、これまでの事業費積算が他の類似施設の落札額から算出したものであり、設計変更分を加味し予算ベースで総事業費は151億円となると説明したことです。建設事務局からは「イレギュラーな事業費提示となり陳謝する」とされたものの、市長は「建て替えの検討にあたり、現実の支出額である決算ベースで検討することが適切と判断」としました。昨日の答弁では、「正確な情報提供に欠いた点をお詫びする」とされましたが、まったく釈然としません。「イレギュラーな事業費提示」の意味するものは何なのでしょうか、何故、通常ではない変則的な事業費積算となったのか、他の大規模プロジェクト事業の事業費との整合性は図れているのか、説得力ある説明を求めます。
三つは、本来、入札を前提とする公契約における事業費は、設計基準や公共工事設計労務単価等により積算され、予算ベースで公表されることを前提としています。競争原理が働く公正で透明な入札のもとで落札され、契約を行うことになります。落札ベースという事業費を示してしまうことで、公正な入札を阻害し、官製談合と批判されかねない危険性をはらんでいるのではないでしょうか。所見を伺います。
再質問
➊市民の理解を得ようとする余り、経費を小さく見せる意図があったのではないか。
➋建設事業に対する市民の信頼を揺るがせることになりはしないか。どのように信頼回復を図るのか。
➌研究機関である地方自治総合研究所に問い合わせたところ、研究者・識者からは、「特定の事業者を利することになるという点では完全にブラックではないが、公正な入札を全く阻害しないかと言えばグレーだといわざるを得ない」との見解も示されている。入札談合の排除や未然防止には、巨額のプロジェクトであるだけに、最大の神経を働かせなければならない。公共工事の発注において、予算の適正な執行が阻害され、納税者である市民の利益が損なわれることがあってはならない。入札談合等関与行為防止法に抵触することはないのか。
➍市長の公式謝罪と市民への説明責任を求めるとともに、公正で透明な入札の確保をしっかり担保することを求める。改めて姿勢と見解を問う。
3.南長野運動公園総合球技場のプロポーザル方式の透明性・専門性・客観性について
(1)80億円の総事業費を見込んだサッカースタジアム整備は、設計・施行一体型のプロポーザル方式で、71億4千万円で契約することになりました。しかも4面屋根付きで事業期間が8カ月短縮されるとのことです。80億が刷り込まれていることから、71億と聴くと思わず「安い」と思ったりするのですが、2位となった提案は、風対策や芝管理、トイレの数、事業期間の短縮で課題や疑問が残るとされたものの、事業費は58億3700万円で一番低価格でした。価格と技術・機能、工期、何にウェイトを置くのかで判断が分かれたものと伺えます。
プロポーザル方式故のことと受け止めるものの、この決定が6人の限られた選定委員に委ねられていること、技術提案であることから、選定には主観が入る余地を明確に残していることに疑念が残らざるを得ません。
(2)プロポーザル方式における透明性・専門性・客観性の確保について質問します。
一つに、プロポーザル方式による契約は巨額な随意契約となりますが、事業の決定・契約の透明性はどのように担保されるのでしょうか。庁舎・市民会館の際には提案やヒアリングが公開でしたが、今回はすべて非公開とされました。市民に開かれたプロポーザルとなるような工夫の余地はなかったのか、伺います。
二つに、選定委員会の人選は適正に行われているのか、学識経験者の中にJリーグの管理統括本部企画部長が選任されていますが、現場を踏まえた専門的知見があるとはいえ利害関係者とならないのでしょうか。地方自治法施行令では専門性を持った学識経験者は2名以上とされていますが、より専門性を高めるために5人程度の学識者を選定すべきだったのではないでしょうか。
三つに、J1基準・メインスタンドのみの屋根付きで試算された事業費の積算への信頼が問われると考えます。見積もりは適正だったのか、伺います。
再質問
➊選定委員であった副市長、教育長の選定にあたっての所感は?課題は何と認識しているか。
➋契約のプロセスにブラックボックスがあってはならない。情報開示を求める。
➌技術提案を受け、最終的に入札で決定する「総合評価落札方式」も国交省は推奨している。この方が透明性が高いと考えるが、どうか。
4.長野広域連合のごみ焼却施設建設の基本同意と今後の対応について
(1)大豆島地区を建設予定地とする長野広域連合のごみ焼却施設について、地元住民自治協議会から、5つの条件を付して「基本同意書」が提出されました。市民生活に不可欠な施設でありながらも「迷惑施設」とされるごみ焼却施設を長年にわたり受け入れてきてもらっている大豆島地区住民の苦悩・苦渋の決断であり、地区住民を代表する自治組織である住民自治協議会の基本同意を、ごみを排出し処理を委ねている市民の一人として、また議会人として、重く受け止めたいと思います。
確かに、区民の総意として同意が形成されているのかという問題が完全にクリアーしているとは思っていません。住民投票や住民アンケートの実施を求める意見に対し、少なくとも住民アンケートを実施し広く住民の民意を推し量ることが必要であったのではと思案するところです。
しかし、市側が周辺環境整備事業と合わせ15回にわたる説明会を開き、住民への周知・協力要請を行ってきていること、大豆島地区の住民団体でつくる「ごみ・まち協議会」での協議を経て、48人が参加した住民自治協議会総会で、「5つの条件付きの同意」に賛成43・反対1、保留4で決定に至ったこと、住民自治協議会に対する参加度や認知度に課題を残しているもの、住民を代表する組織としての意思決定がなされていることに着目することが大切であると考えます。
だからこそ、同意の条件に対し、いかに誠実で的確な対応を図るかが重要な段階を迎えているのだと思います。従って、「ごみ焼却施設の建設に係る基本協定」や安全・安心を担保しうる「環境保全協定」、さらに「周辺環境整備に係る協定」等々、速やかに、かつ適正に合意・締結されることを強く望むものです。
(2)こうした基本的立場を明らかにした上で、条件の実行性、実現性に関連して質問します。
一つに、「次の込み焼却施設は大豆島以外とする」という点について。約40年先の行政方針を打ち出したものです。この際、基本的な考え方として、一極集中の大規模焼却施設から地域分散型のごみ処理・焼却施設に転換していくことを求めたいと考えますが、いかがでしょうか。人口減少・高齢社会を見据え、生活圏域でごみ処理・再資源化・再利用が循環し完結する仕組みを展望する時であると考えるからです。
二つに、広域連合では新年度、ごみ量予測調査を行うとしています。ごみ減量の促進と合わせ、焼却施設の規模、灰溶融施設のあり方、最終処分場のあり方について、広域連合の基本計画の再検証・見直しの必要があると考えますが、所見を伺います。
再質問
➊広域連合議会の福祉環境委員会で、事務局参事から「ごみ量予測の調査結果を踏まえ、また国や他自治体の動向も再調査し、事業の全体像を見直すことは必要」との考えが示されている。広域連合の立場と整合性・統一感のある対応を強く求める。安全性、環境保全、コスト面から、事業全体を見直すことを求める。
➋ごみ焼却施設の在り様の将来像を示すことで、協定の実効性を担保し、よって住民の理解を深めていく手助けになるのではないかと考えるがどうか。
5.第四学校給食センター整備事業について
(1)大規模プロジェクトに追加された第四学校給食センターの整備事業において、PFI方式ではなく設計業務のプロポーザル方式に転換させる考えが示されました。地元事業者の受注につながる選択を前向きに評価したいと思います。
(2)そこで2点質問します。
一つに、選定委員会を立ち上げることになりますが、説得力のある透明性を確保すべきであると考えます。所見は。学識経験者はもとよりであるが、とくに調理現場の声が反映されるような人選を求めたいと思います。見解を伺います。
二つに、第四学校給食センターの運営について、議会への説明の折、民間活力導入に向けた検討は「現状では困難」との教育委員会としての考えも示されたところです。第四センターの稼働に伴い、第三学校給食センターの改築に進む計画です。豊野学校希夕食センターの職員雇用と合わせ、雇用の継続が図られることが肝要であると考えます。確認の意味で質問しますが、安定的な雇用の継続を図ることを基本に、直営を維持すると理解しますが、その通りとの答弁を期待して、伺います。
(3)小学校給食において、センター方式から自校方式に段階的に転換させている所沢市を視察調査しました。改築した学校施設内に調理場とランチルームの施設を整備するために2億3千万円の初期投資があり、施設の維持管理費・人件費などのコストで比較すると、センター方式では1食あたり289円、自校方式では328円と、センター方式が安上がりとされるのですが、コストで推し量れない効果があると強調していました。学校長は、残食がなくなり、食への関心や給食への愛着が深まり、食育の推進につながっていると自校給食の意義を熱く語っていたことが印象的です。長野市教育委員会は、センター方式に優位性があると譲らないのですが、所沢市の事例のように自校給食への転換は可能であり、センター方式に比べかけがえのないメリットがあることを改めて認識すべきではないか。耐震化の改築・改修工事はヤマを越えてはいるものの、新規改築の学校において段階的に自校方式を導入することも、改めて考えるべきだと思いますが、所見を伺います。
6.公共施設維持管理基金の創設等について
(1)作成中の「公共施設白書」は担当課では6月頃になるとのことです。昨年9月議会で、市民とともにつくる公共施設白書、市民とともにつくる公共施設見直し計画を求めてきました。
この度、相模原市の公共施設白書の作成について視察調査しました。
相模原市は、とりあえず箱モノだけを対象としていますが、政令市の財政力をもってしても、施設の更新・改修費用を考えると、延べ床面積で15年後には80%までに縮小、20年後には60%まで縮小しなければならない推計のもとに、「施設の保全・利活用基本指針」を策定中とのことです。市民の理解と合意形成が最大の課題としていました。
(2)公共施設の老朽化・劣化という深刻な問題に直面している中、施設の改修・更新・維持にいかに備えていくのかが、行財政運営の最重要課題に浮上することは間違いありません。これから大規模施設への新規建設投資を迎える長野市にとっては、更に、市特有の五輪施設の保有・維持、広大な中山間地域における施設サービスの維持が問われる長野市にとっては、より深刻な問題だといえます。
(3)公共施設白書の作成と同時並行で、いかに財政的に備えていくのかを考えなければなりません。こうした観点から、三点提案し、市の対応を求めたいと思います。
一つは、公共施設維持管理基金を今から創設し、将来に備えること。
二つに、公営住宅ストック総合活用計画とか、上下水道施設の維持計画、道路・橋梁の長寿命化計画など担当課ごとの維持改修計画を束ね、公共施設の維持管理に特化した横断的・総合的な部局を編成すること。(副市長プロジェクトに加えるのも一つの方法か)
三つに、当面の対応として、5人の職員で構成する行政管理課を拡充し、統合的な機能を付加させていくこと。
以上、提案に対する所見を伺います。
7.長野市版公共交通ビジョンの策定について
(1)人口減少・高齢社会は、すなわち一人暮らしの高齢世帯、高齢者の夫婦世帯が増加し、移動手段を持たない世帯が飛躍的に増加していく社会といえる。ここに、公共交通が果たすべき役割が凝縮されていくのではないか。こうした問題意識で、公共交通ビジョンは策定されるべき。所見は。
(2)歩いて楽しいまちづくり、買い物・通院など生活圏域の中である程度完結できるまちづくりを考えるべき。そこにおける市民の円滑な移動を保障するのが公共交通ネットワークである。LRTかBRTかといった選択的な検討議論の前に、長野駅前広場の整備や長野以北の新駅設置など、既成・規定のまちづくり計画の後追いにならないよう、新しい発想で都市計画と連動した「まちづくり」構想をしっかりと位置づける必要がある。市街地における利便性の高い交通軸とともに、市街地交通軸と中山間地域交通を結節させる交通ネットワークを展望すべきである。所見は。
(3)「交通権と公設民営で公共交通ネットワークを形成する」とする問題意識をもってビジョンの策定に臨むべきである。所見は。
(4)パブコメが終了した県の新総合交通ビジョンは生活交通へのシフトを打ち出し、公共交通を巡る課題を網羅的に整理している点を評価するが、公共交通基盤の整備や利用拡大の目標指標が設定されず、市町村への具体的な支援も漠然としたものとなっている。市の公共交通ビジョンは、公共交通優先のまちづくりを柱に、交通ネットワークの整備目標、自動車規制の目標、公共交通利用拡大の具体的な指標を設定し、まちづくりの指針、市民の公共交通利用の指針となるよう策定されるべき。所見を。
8.その他
(1)米軍機オスプレイの低空飛行訓練の監視について
オスプレイの国内低空飛行訓練が6日から始まる。県ではオスプレイの目撃情報の収集を県民に呼びかけているが、墜落と隣り合わせとなる危険な低空飛行訓練に対し、監視するという観点から、市独自に目撃情報の収集を市民に呼びかけるとともに、戸隠・鬼無里地区において、支所を拠点とする監視体制を早急に作るべき。前向きな対応を求め、見解を伺う。