12日から一泊二日で、「市民ネット」で行政視察に出かけました。「改革ながの」の皆さんとの合同視察です。
12日は、学校給食をセンター方式から自校方式に転換させている埼玉県所沢市の小学校学校給食について、続いて東京都大田区に移動し、指定管理者の外部評価制度について、翌13日は神奈川県相模原市で策定された公共施設白書を調査テーマにしました。
詳細は順次報告していきますが、注目は所沢市小学校給食の自校調理方式への転換です。
所沢市ではH4年に小学校の大規模改修に伴い給食センター方式から単独校調理方式に切り替えていく方針を打ちだし、順次移行しています。現状では、共同調理場方式(センター方式)と単独校調理方式(自校方式)が併存しています。
訪問した児童600人の松井小学校は、H17年の改築に合わせ、調理場とランチルームを新設し自校給食方式に転換、ランチルームで学年毎に給食を提供しています。調理は(株)シダックスに民間委託されています。
応対いただいた中村校長先生は、残食がなくなり、食への関心や給食への愛着が深まり、食育の推進につながっていると自校給食の意義を熱く語ります。
調理上等の施設整備に2億3千万円かかってはいるものの、施設の維持管理費・人件費などのコストで比較すると、センター方式では1食あたり289円、自校方式では328円と、センター方式が安上がりなのですが、コストで推し量れない効果があると強調します。
第四学校給食センターの建設が大規模プロジェクトに加わった長野市、市側はセンター方式に優位性があると譲らないのですが、所沢市の事例のように自校給食への転換は可能であり、センター方式に比べかけがえのないメリットがあることを実感しました。段階的な自校方式の導入について、更に追求したいと考えます。
また、所沢市教育委員会では「特色ある学校づくり」を推進し、校長先生の権限(広い裁量権として)が、教育委員会から自律する形で尊重されているようです。形式ではなく実質になっていると感じさせるところがミソです。キャラクターもあるのでしょうが、中村校長先生が活き活きと自校の特色、生徒の魅力を語っていらっしゃったことが印象的でした。
相模原市では、昨年策定された公共施設白書の概要と白書を踏まえた「公共施設の保全・利活用基本指針」の策定に向けた課題がテーマ。
長野市でも公共施設白書の作成に取りかかっています。昨年の9月市議会の一般質問で取り上げた課題です。
「白書」は道路や橋梁などの都市インフラを除く公共施設757について、配置状況や利用状況、管理運営コストなどの分析を行い、更新・改修などの将来コストの推計を行ったもの。
ポイントとして、➊更新費(=建て替え費用)は今後60年間で約4793億円(年平均80億円)を要し、改修・修繕費用の実績(H20空22年度での平均約42億円)の約1.9倍のコストがかかること。➋H43年後までの大規模改修の集中期には年間約132億~162億円の更新・改修費用が必要なこと。➌大量更新時期(H44~53年度)には年平均で約230億円の更新・改修費用が必要なこと。➍今後の公共施設の更新・改修費用を年間155億円と仮定すると、今後15年間は現状の施設を全て保有していくことが可能であるが、H39年度以降は155億円では対応困難となり、延べ床面積で80%まで削減せざるを得ず、H45~53年度には60%程度にまで施設を縮小しなければならないと推計されることを内容としています。
これに道路や橋梁などが加わると、さらに厳しくなることは容易に想像できます。
現在、外部委員会で構成される「市公共施設マネジメント検討委員会」(委員長=根本祐二東洋大学教授)を設置し、「保全・利活用基本指針」を策定中で、H25年7月頃までにまとめる方針だそうです。
市民アンケートが行われているものの、白書の市民への周知等はこれからの課題とされています。公共施設の見直しは「総論賛成・各論反対」となることが容易に想定されます。だからこそ、公共施設の課題を市民としっかり共有することが一義的に求められると考えているのですが、相模原市では試行錯誤の状態と受け止められます。
相模原市議会でのやり取り、議会側のチェックの状況等も調べ、また神奈川県秦野市の取り組みも含め勉強し、長野市の公共施設白書の作成過程における課題を整理していきたいと思います。
因みに相模原市では「白書」作成をパシフィック・コンサルタントに委託したそうです。長野市では職員自力で作成するとのことです。
相模原市公契約条例についての資料を、急きょお願いし、用意していただきました。これも研究テーマです。
相模原市議会では、11日に県護憲連合総会での講師として来県してもらった金子富貴男市議に迎えていただきました。
JR相模原駅を下車すると200haもある在日米陸軍の施設、相模総合補給廠の長~いフェンスが目に飛び込んできます。爆音に空を見上げると米軍機が飛行しています。米軍基地がわがもの顔に存在している日本の実態を改めて実感しました。
まずは第一報です。視察報告書の形で改めて報告したいと思います。