低投票率を更新した昨年の市議選以来、喫緊の課題となっていた市議会基本条例の検証及び議会活性化の具体化にあたって、議長の諮問機関として議会内に設置された「議会基本条例検証・議会活性化検討委員会」(以下、検討委員会)は、答申書をまとめ9月21日に議長に提出、議長の強いリーダーシップのもとに答申内容が速やかに実現されるよう求めました。市民ネットから検討委員として参画してきました。
改選から検討委員会の設置までに7カ月間、そして今年6月になりようやく検討委員会が発足、その後、約4ヵ月間で13回にわたる協議を重ね、答申にこぎつけたものです。
先週10月17日に開かれた議会運営委員会で、答申の具現化について協議しました。早急に具現化が求められる10項目について実施することを確認した上で、詰めが必要な議会報告会の内容や答申で今後の検討課題とされた項目について、更なる詳細検討をどのように進めるのか、意見交換を行いました。
市民ネットの私からは、議会活性化を継続して推進する「議会活性化推進委員会(仮称)」の設置を提案しましたが、持ち帰り協議となり、11月5日の議会運営委員会に持ち越されました。
★議会報告会の開催など、優先的にかつ早急に取り組む10項目
各会派から提出された61項目にわたる活性化課題から、優先的かつ早急に取り組むものとして10項目を選定しました。
➊議会報告会の開催(H25年5月を目途に開催。回数・場所・内容はさらに検討)
➋委員会記録(常任・議運・特別)のホームページへの公開(H25年3月定例会から)
➌採択された請願のホームページへの公開(不採択の請願の掲載は今後の検討課題)
➍本会議録・委員会記録の速やかな公開
➎行政視察報告書のホームページへの公開
➏請願提出者からの意見陳述・意見聴取の制度化
➐傍聴者ヘの資料提供の充実
➑特別委員会における政策提言の充実
➒会派代表者会議への無所属議員の関与に関する配慮
➓議会基本条例等の研修会の開催
報道で注目されている通年議会や、議決案件の拡大など、“討論する議会”、“政策提案する議会”、“監視機能を強める議会”という観点からは、将来の検討課題に棚上げされた項目が少なくはありません。しかし、互いに議論を尽くし、譲り合い、合意をめざすプロセスに「討論する議会」が体現されたとも言えます。
私自身、検討委員を務め、「百歩譲って活性化を形に」と発言したことが多々ある一方、最大会派である新友会からは、最初はゼロ回答であった項目について、議論を通し具体化につながったものも結構あります。
これまで、検討委員会での協議の中間報告を余りしてきませんでした。”会議は踊る”で、”会派に持ち帰って再協議”が繰り返され、正直、議論に疲れ気味だったことがあります。まぁ、それでも正副委員長らの労を多とし、曲がりなりにも答申がまとまり、具現化が急がれる今日、ポイントを報告することにしました。
積み残し課題がたくさんありますから、議会活性化は絶えず「これから!!」です。
★全国のモデルになるような議会報告会へ…道は険しいけれど
特筆すべきは、議会報告会の開催について合意したことです。議決事項の概要と審査経過の報告と質疑を柱に開催するとともに、それらに関する市民からの意見聴取を行う場という形で、限定的に位置づけられています。議会報告を主とするか、市民との意見交換を主とするか、議論のあったところで、最大公約数的に合意できた中味として前者ということになりました。ただし、「今後、報告会を続ける中で必要に応じ見直す」との付帯意見が付けられています。
全国的には、議会報告会と意見交換会の2部制開催の傾向にあります。むしろ、意見交換に重きを置いているように理解しています。市民会館やサッカースタジアムなど、直面する重要課題を柱としたテーマ別議会報告・意見交換会といった仕組みも検討する必要があるでしょう。
問題は、市民の関心事に議会がどう応えるのか、あるいは応えようとしているのかということにあります。議会側の姿勢、或いは議論の論点について市民に情報開示し理解を得ていく、市民に開かれた報告会にしていくことが重要だと思います。
長野市の場合、行政側(市長をはじめ理事者側)が「元気なまちづくり市民会議」という直接対話の場を持っていることを考慮することが必要でしょう。中味に課題は残しつつも、執行権を持つ行政への市民からの直接要望の場となっているからです。
無論、議員個人は後援会をはじめ、それぞれに市民との対話のチャンネルを持っているわけですが、市議会として取り組む議会報告会は、議会としての市民対話チャンネルをキチンと持つことに意義があります。自ずと行政側のチャンネルとは性格が異なるものになります。
全国を眺めると、県都の市議会での議会報告会は大分市議会を除き、まだ例がありません(間違っていたらご指摘を)。しかし、県内では松本市や須坂市、小諸市など多くの市議会で既に取り組まれています。中核市規模の議会での具体化は、なかなか難しいことの表れなのでしょうか。大きな一歩にしたいものです。
いずれにしても、内容はこれからですから、論点を整理し、議論に臨みたいと思います。
★委員会議事録のホームページ公開も前進
本会議の議事録は既にホームページに「議会議事録検索システム」としてアップされています。しかし、常任委員会や特別委員会の議事録は「紙ベース」で、閲覧することが可能なものの、ホームページには公開されてきませんでした。
これを実現することになりました。情報公開の前進であるとともに、委員会における議論・審議が、ホームページ公開に耐えられるような真剣な議論に(今までがそうではないとは言いませんが…)さらに高まることも期待されます。
来年の3月議会からの実施となります。お楽しみに…。でも、予算案の審議がメインとなる3月議会の常任委員会の議事録は、大変重要な審査内容なのですが、冗長気味に感じるかもしれません…。
委員会のネット中継につなげたいものです。
★議運で視察に
11月に議会運営委員会で町田市・四日市市・大津市へ議会活性化の取り組みをテーマに視察することになりました。ホームページに公開される行政視察報告の最初の事例ともなります。
私は、長野市議会の活性化の取り組みは、先輩議員たちの取り組みも含め”すてたものではない”との自負がある一方、議会の活性化を考えようとする時、長野市議会を客観的にみる必要があると思っています。二元代表制が意図するものは何なのか、全国の自治体議会は何をしているのか、とりわけ先進的とされる議会の取り組みは何なのか、そして長野市議会はどういう位置にいるのか、こうしたことを共通認識にしながら、先例・慣例にとらわれず、また会派の利害を超えて、長野市議会全体の底上げをめざすことが重要です。
市民の代表で構成される合議機関であり議決機関である市議会全体の責任です。
「市民が主役」を体現し、信頼される長野市議会へ…この道程はジグザグですが、他の議会の取り組みに学び、試行錯誤を重ねながらも着実な前進を期したいと思います。
【参考】
①議会基本条例検証・議会活性化検討委員会の取組(市議会ホームページへ)
②検討委員会の答申書
③これまでの議会活性化の取り組み状況
④長野市議会基本条例